そう言えばこんなのもありました。
ボコーダー
配信機材をいろいろと揃えていく中で、基本的な機材を揃えるのは当たり前として、追加でいろいろな機能を持つ機材を揃えていこうかと考えていた事がある。
その一つがIK MULTIMEDIAの「iRig Pads」というMIDIパッドで、MIDIにアサインした音声をパッドを叩くことで再生させるという製品である。
だが、実はこの「iRig Pads」以外にも考えていた機材がある。
それがボコーダーと呼ばれる、音声を加工する機材で、入力された音声のピッチやフォルマントをスライダーやツマミ等で調整し、リアルタイムに音声を加工する機材である。
このボコーダーとしては有名な機材が昔から存在していて、RolandのVT-3という機材がソレにあたるわけだが、昨年10月に新型のVT-4が発売され、密かに注目していた。ところが、近年配信が盛んになった頃から、VT-3等ボコーダーは品薄状態となり、価格が高騰していた。当然新発売のVT-4もその人気で品薄となり、かなり高値で取引される製品となっていて、私としては手が出せない製品になっていた。
なのでソフトウェアで実現する手段などもいろいろ考えたのだが、遅延が大きくて導入を諦め、ハードウェアとしてもそもそも製品に手が出ない事もあり、しばらく放置していたら、すっかりその存在を忘れていて、ふとimpressのAV Watchを見たら記事として紹介されていてその存在を思い出した。
impress AV Watch 小寺信良の週刊 Electric Zooma!
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1165825.html
専用ハード故の使い勝手
ボコーダーに入力する音声データは、何も人の声とは限らない。
楽器の音をマイクで拾ってそれを入力すれば、それを加工する事ももちろん出来る為、このボコーダーが一つあると、それはそれで面白い演出が可能になる。
ただ、やはりその主目的は肉声の加工であり、人の声をそのまま加工したり、エフェクトを当ててみたりする事に使用する事の方が多いかも知れない。
このVT-4を使用する事で、通常の音声をマシンボイス風にしたり、或いは男性の声を女性の声のようにしたりして加工できる事から、配信などで使用するという人も多く、前出の記事のようにVTuberとして利用する人多い。
「恋声」という音声加工ソフトも有名でそちらを使っている人も多いかと思うが、こちらはPCのソフトウェアで動作する関係から、どうしても加工後の音声が遅延する。それにより、リアルタイムで配信する放送では非常に使いにくく、結果として配信で使う場合はこのような専用ハードに頼った方がやりやすい。
私も前々職の時に経験した事だが、スタジオ収録の際に実際にしゃべっている声をボコーダーで変調させ、面白い音声を作った事がある。使っているところを見た事があればすぐわかるが、専用ハードから生み出される変調した音声は、使い方次第で結構面白いことができる。
配信や動画制作、音楽制作をしている人は、一つ持っておいても良い機材ではないかと思う。
AG03と被る…
で、私の環境の場合を想定してみると、実はウェブキャスティングミキサーであるYAMAHA「AG03」と機能的被るところがある。
VT-4はUSB接続でPCに接続でき、そのままマイク入力デバイスとして機能する。その際ループバック機能があるので、PCの音をそのまま取り込む事ができるので、VT-4によって加工したボイスとPCの音をミックスさせて取り込む事ができる。
つまり、AG03との違いはこのボコーダーとしての機能だけであり、むしろVT-4があればAG03は不要のように思える。
だが、VT-4はマイク音声とPC音声以外の音を入れるのが難しいので、汎用的に使おうと思えばAG03の方が使いやすい。
なので、この両者を同時に使おうと思うと、かなりの工夫が必要になる。
AG03をオーディオインターフェースとしてPCで使用し、VT-4からの出力をAG03のアナログ入力に接続してやれば、VT-4で加工した音声と、AG03での通常のマイク音声を同時に取り込む事が可能になる。もしくはAG03のマイク入力を外すという手もある。但し、この場合VT-4はUSBでPCと接続せずに、電源のみ給電して使用する…そんな感じだろうか。
正直、AG03とVT-4を同時に使う意味はホントにないかもしれない。
逆に音声入力チャンネルが多い普通のミキサーと組み合わせる方が現実的かしもれない。
ま、やり方次第といったところか。
とりあえず、音声を変えるという事が比較的簡単にできる機器としてVT-4は最適な機器であると思う。
配信などで使用してみたい、という人は検討してみてはどうだろう?