ある意味本命のビデオカード?
TU116採用
NVIDIAから、GeForce GTX 1660Tiが発表となり、搭載されたカードが発売となった。
価格は各ベンダーによって異なり、3万円半ばから4万円台後半まで広範囲に渡る。Turing世代のコアを搭載としながらも、RTコアとTensorコアを非搭載とした事で低価格化させたモデルである。
Turing世代のコアである「TU116」を採用した事で、従来のPascal世代よりも性能を向上させているというのがNVIDIAのコメントだが、その理由は整数演算と浮動小数点演算を同時に処理できるというアーキテクチャを持っているためと考えられる。
というのも最近のゲームのシェーダー処理では、約6割が浮動小数点演算、約4割が整数演算となっており、従来はこれらの処理を順次処理していたものを、Turingでは同時処理するため、性能が約1.5倍に上昇するというのである。
また、L1キャッシュも最適化を施し、Pascalと比較してTPCあたりのヒットバンド幅を4倍にしている。これにより、GTX1060と比較して50%の性能向上が期待出来るようだ。
まだ他にも効率化・最適化された機能が実装されており、総合的にみても性能向上となっている事は間違いがなく、GTX1070に迫る性能をミドルレンジ価格帯で実現したものになっている。
現実的な製品
GeForce GTX1660Tiに関しては、情報サイトにもっと詳しい記事が載っているので、検索してそちらを参照願いたい。
ココからは私が感じたGTX1660Tiについて書いていきたいが、このビデオカードこそ、現実的に考えて今もっとも優れたコストパフォーマンスと先見性を持っているものではないかと思っている。
というのは、現時点でRTコアによるレイトレーシングや、Tensorコアによる深層学習は、まだまだ未知数で現実的ではないと私は思っている。
だとしたら、主力は従来のグフィックス処理になるわけで、この性能を如何に低価格で高性能にするかがポイントになってくる。
そういう意味ではTuring世代のコアを低価格で提供出来る体制の方が重要で、3万円台で前世代のGTX1070程度の性能を提供できるという事は、企業的にも製品的にも相当に強いと言わざるを得ない。
おそらくコストを3万円台にする為に、メモリ周りを従来の1060系と同等のものに抑えているのだろうと思うが、ビデオメモリが6GBという容量は決して少ないわけではないので、現実的に考えてコストパフォーマンスはバツグンに良い製品ではないかと思う。
同じく、コストパフォーマンスに優れるという意味においては、AMDのRadeon RX570も相当にコストパフォーマンスは良いが、性能的に考えると言うまでもなくGTX1660Tiに軍配が上がる事は間違いない。
1~2万円台の行方
個人的に気にしているのは、さらに価格帯が下に入るビデオカードの今後である。
NVIDIAで言えば単純にTU116のさらに搭載コア数を少なくしたものがラインナップされるのか、或いはさらに低価格モデルのコアを作り出すのかというところだが、最近はCPU内GPUの性能もバカにはできないのでこの価格帯のディスクリートGPUの存在そのものが危ういものに思える。
AMDにしても、RyzenGと称されるGPU内蔵のRyzenに関して、内蔵しているGPUのアーキテクチャはVegaアーキテクチャを採用し、性能はそのGCNの搭載数によって決められている。
これと同様の事が今後のIntelにも言えるわけだが、NVIDIAはx86系コアを製造していないので、もしローエンド市場へと製品を投下するのならやはり1~2万円の価格帯製品を展開していく必要がある。
従来でもGTシリーズ等で製品を出してきているので、おそらくその流れで同じような価格帯で製品展開していくと思われるが、その製品数は限りなく少なくなっていくだろう事が予想される。
前述したように、このレンジの製品は既にCPUと一体化したGPUが主流なので、どうにも製品になりにくい背景がある。
AMDなどはおそらく個別製品を出していく事も疑問になってくるが、Naviはローエンドから製品展開していくと言っている手前、そのAMDが言っているローエンドという市場がどの価格レンジに入ってくるのかが気になる所である。
どちらにしても、現在のPCパーツは以前より遙かに高価格化している傾向があり、ランクは数年前より確実に1ランクは上がっていると思われる。
それだけ性能も上がっているという事ではあるが、格安でPCを構成するのが昔より難しい時代なのかもしれない。
何はともあれ、TU116を搭載した製品はAMDにとっては痛いところを突かれた製品になると考えられる。
Naviの登場が急がれる状況だが、果たして今後のAMDの対応は如何に?