Ryzenが好調のAMDだが、次はAPUが待ち望まれる。
Renoir
第3世代Ryzenが好調なAMDだが、RyzenはGPUを内蔵したCPU、つまりAPUではないので、低価格PCの分野では残念ながら不利に働く。
別途ディスクリートGPU(外付けビデオカード)が必要になると、低価格に収めるのが難しくなるからだが、もちろんそんな事はAMDだって分かっているハズである。
そこで次世代APUをAMDは計画しているのだが、現行の「Picasso」に続くAPUとして「Renoir」を計画している。
従来の「Picasso」は、12nmプロセスでZen+CPUとVega GPUを組み合わせたAPUだったが、次なる「Renoir」では、いよいよ7nmプロセスとなり、CPUはZen2、GPUはNaviに…となるのだと思っていたら、どうやらGPUはVega世代に留まる可能性があるようである。
話の出所は、AMDのopen-source AMD GPU display driverの記述になるのだが、それによると「Renoir」のサポートに関する記述において「GFX 9」と記載された行があるらしい。この「GFX 9」とはVega世代の事を指し、Naviだった場合は「GFX 10」となる。また他の行ではVega 10という記述もあるようで、構成としては7nmプロセスではあるものの、Zen2+Vegaという構成というのが濃厚になってきた。
但し、統合されるVegaは旧来のものと比較して若干改良されているようで、「Picasso」まではVideo Core Next(VCN) 1.0を搭載するのに対し「Renoir」ではVCN 2.0になるようだ。
Vegaで良かった?
考え方にもよるが、APUに統合するGPUとして、仮にRDNAアーキテクチャのNaviだった場合、確かにPCゲームの動作はVega世代よりは速くなるかもしれない。
だが、もともとAPUに搭載されるGPUは多くのComput Unitを搭載できないため、その動作性能は決して高くはならない。
VegaからNaviへ変わった事で劇的に性能が変化するのは、やはりComput Unitを多数搭載しているケースであり、APUでは確かに性能は向上するかもしれないが、その差はディスクリートGPUほどではないだろうと予測できる。
であるなら、私としてはVega世代だというのはむしろ朗報ではないかと思うのである。
Vega世代はNavi世代と比較してGPGPU性能は高い。つまり、グラフィック処理としては劣るものの、従来RadeonがGeForceより優っていた部分、つまりグラフィック処理以外にGPUを利用する事において有利に働く。つまりVega世代が統合されるなら、「Renoir」世代のAPUではFluid Motionが利用可能なのではないかと思うワケである。
残念ながら、RDNAアーキテクチャのNaviでは依然としてFluid Motionが提供されていない。
CPU部分のZenアーキテクチャは、Zen+よりもZen2が断然性能が上というのは今までの検証でよく分かっている。そのZen2を4コア程度搭載し、それでいてVegaが搭載されてFluid Motionが利用可能なら、このAPUで大抵の事が出来てしまう。3Dゲーミングでは最高性能はもちろん出せないが、Intel CPUとなら互角以上の性能は出せるはずである。
これなら現世代のCeleronやCore i3と比較しても、十分対抗できる性能を持つAPUになるように思うのだが、どうだろう?
Tom’s Hardware
http://j.mp/2Z829MH
出るまでは分からない
ただ、この情報も現時点での話なので、果たして本当にこの話どおりの「Renoir」が出てくるかは分からない。
それでも時期的にそう外れた話でもないので、おそらくZen2+Vegaという構成はほぼ間違いないのではないかと私は予想している。
そうなれば…この構成で小型PCを一台組んでみるというのも悪くないかも知れない。Mini-ITXのマザーと組み合わせて、ストレージも最低限の高速SSDで組めば、日頃のちょっとした事を処理するPCとしてはかなり有用なものが出来そうな気がする。
IntelのCore i3やCeleronを使用すた同構成PCよりもずっと高性能になるだろうし、USB3.0以上の外付けストレージとキャプチャユニットと組み合わせれば、録画キャプチャPCとしても性能的には劣る事のないものになりそうな気がする。
ま、使い方はいろいろあるだろうが、少なくともPCゲーム以外であれば性能として不足する事はまずないものになりそうな気がする。
ま、このようなPCを組む前に、Zen2世代に完全対応したX570未満の新チップセットも必要になるだろうが、それもそう遠くない内に出てくるだろう。
Intelもいろいろと対抗策を打ち出してきているものの、現在のAMDのCPU事業はかなりの部分でシェア獲得が進んでいる。この好調な状況を続けるためにも、下のレンジでの製品展開が今後は今以上に必要になるだろう。
今後のAMDに大いに期待したいところである。