DSで西村京太郎

 DSソフトをほとんど買っていないため、NDSがただのお飾りになっている現状を変えようと、DSソフトを何か買わないとなぁと思っていた時の事。
 ホントはドラクエ4を予約するつもりだった。
 移植作品だからという理由で、Amazonでは評価が厳しい人も多いのだが、ドラクエ4はドラクエシリーズの中でもかなり上位にランクインするほどの名作だと私は思っている。
 PS版をそのまま携帯機に移植した…という感じの作りは、PS版と比較すれば確かに表現能力の限界で格下に見えるかもしれないが、NDSというプラットフォームで再現されるゲームでは最高峰と呼んでも差し支えないと思う。
 だからドラクエ4を予約するつもりでいた。
 だが。
 何故か私が購入したのは、DS西村京太郎サスペンス「殺意の罠」だった。
DS西村京太郎サスペンス「殺意の罠」公式サイト
 何故コレを購入したのか?
 やはり私が元々ミステリー好きであるという理由ももちろんだが、ドラクエ4という結論が見えている作品よりも、今は新鮮な何かが欲しかった。
 おそらくそれが本当の理由なんだと思う。


 DS西村京太郎サスペンス「殺意の罠」(以下殺意の罠と略)は、西村京太郎が原案・監修のNDS用アドベンチャーゲームである。
 ハッキリ言って、推理小説としての枠で見ればそう大したものではない。
 が、アドベンチャーゲームとして見た場合、かなりの良作といえる。
 それはかつてのかまいたちの夜などと同じだ。
 文庫本という、歴史の長いジャンルで内容を見た場合、その中身の出来具合は他と比べて大した事はない。が、全く違うジャンルで作られていると見た場合、その中身は既存のアドベンチャーゲームと比較してかなり良くできているし、表現力も電子デバイスならではの演出を加えられている分、文庫本とは比較にならない。
 殺意の罠はまさしくそういうソフトで、ホントの意味でのミステリー好きでは若干…いや、相当に物足りない作品に映るかもしれない。
 が、推理アドベンチャーゲームとして見たとき、実によく作られた作品と言えるソフトであり、その随所に遊び心が用意されている。
 私が一番関心したのは、物語の途中に挿入される、いわゆるアイキャッチである。
 TVで放送される西村京太郎サスペンスは、CMに変わるときかならず画面が暗転して“西村京太郎サスペンス”と出てくる。
 あれはCMを入れるという意味だけでなく、場面を一度リセットするという意味合いもあるのだが、殺意の罠にもちゃんとコレが入っているのである。
 アドベンチャーゲームは、プレイヤーがアツくなると時間を忘れてプレイする事が多く、物語の区切りというものが見えにくい時があるが、殺意の罠ではこのアイキャッチが入るため、物語にちょうど良い区切りを与えてくれる。
 テレビっぽい演出を狙っているだけでなく、そうしたタイミングを取るという狙いもあるところに、このソフトがちゃんと計算されて作られているところがよく分かる。
 アドベンチャーゲームとしてもかなり良作と言えるだろう。
 まぁ、私も今日始めたばかりであり、まだ深いところまで進めていないため、内容については分からないことも多いが、少なくとも駄作ではないだろう雰囲気はある。
 しかもメインストーリー以外にも50本ほどの短編ミステリーが用意されていて、短い時間に推理するという楽しみ方もできる。
 値段は4,000円に満たないソフトだが、価格分以上には遊べるのではないかと思う。
 来年2月には赤川次郎の夜想曲がDSで復活らしいが…
 メジャー作家作品がゲームに進出ってのがこれからのトレンドになるのだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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