Yahoo!ニュースのトピックスにニンテンドーDSのマジコンの被害総額が全世界で3,000億円に達するという試算があると報じられた。
そして本日、任天堂が提訴していた「NDSのマジコンの輸入・販売の差し止め要求」が東京地裁に認められた。
マジコンそのものがグレーゾーン製品であり、そのマジコンによって実際問題被害を受けている事を考えると、提訴が認められたのは流れから考えて間違ってはいないと思う。
ただ、その流れの中において語られる被害総額に関して、必ずしも試算が正しいのか? という事において疑問がある。
この被害総額というのは、殆どの場合において、実際にマジコンで流通している非合法データで遊んでいる人がゲームを買っていたら…という事をベースにしているはずだ。そうでなければ被害にはならない。
だが、もしマジコンがなかったら、その人は本当にそのソフトを買っていただろうか?
この部分は、正確に「こうなる」という部分ではないため、あくまでも想定の域を出ない。
しかし、マジコンがなかったらその対象となるソフトが確実にそれだけ売れた、という事は考えにくい。
ゲームソフトというのは、中身において品質が常に一定とは言えないシロモノである。
おもしろい作品もあればつまらない作品もあり、良く出来た作品もあれば粗悪な作品もある。
特にコンシューマ機において、そのデキの良さを確認する術が今のところゲーム紹介雑誌やサイトに限られている所に問題がある。
お試しという事ができないのである。
だからソフトを買ってみたらあまりにもデキが悪かった…となると、被害者は消費者側になってしまう。
この事について、開発側は何の保証もしない。
だからマジコンを使うという人もいるのは事実なのである。
言い訳がましく聞こえるかもしれないが、粗悪なものに対して開発側が何の保証もしていないという事は、一方的に消費者側が被害者になるのである。
この流れをどうにかする方が私には先のような気がしてならない。
そしてPSPやPS3では、PlayStation Networkで体験版がダウンロードできるというサービスを始めている。任天堂もWiiやNDSなどでそうしたサービスへと入りつつある。
この流れを一刻も早く作り上げねば、消費者を黙らせることはできないはずだ。
ただ、マジコンは被害を与えるから差し押さえる、では、あまりにも一方的で被害総額も正しい判断基準にはできない。
今まで開発側はあまりにも守られすぎてきたと私は感じる。
もちろん、ダメな作品を連発する開発会社は淘汰されてきてはいるが、それでも被害を被り続けてきたのは消費者だ。
この部分の品質をゲーム機メーカーは消費者に保証してきていない以上、一方的な訴訟はある意味無理無謀というものである。
ニンテンドーDSのマジコンによる被害というのは、あまりにも大きな社会現象だという事は理解する。
なので訴訟そのものが一方的とは言わないし、ここら辺で釘を刺しておきたいという事も理解する。
それだけに、体験版によるお試し制度をゲーム機メーカーはより推進すべきだ。
少なくとも私はそう思う。