シースルーの液晶というものが存在する。
商品化されているかどうかは知らないが、技術発表会などで展示されたというのを見たことがある。ちょうと窓のようなものが液晶になっていて、実際に窓にそれを使用して、窓にPCのデスクトップが表示されている、というものだった。もちろん、タッチパネルになっていて、窓でタッチ操作するWindowsみたいな感じだった。
そんな大きなものではないが、もっとハッキリ映る有機ELパネルにシースルーの機能を持たせてしまった、そんなディスプレイをTDKが開発・量産した。
画像を見てもらえば分かるとおり、ディスプレイの裏側が透けて見えている。
スペックは対角2.4inch(36.0×47.9mm)で、QVGA(240×320ドット)の解像度を持つ。約40%の透過率を持っていて、シースルータイプでありながら150カンデラ/平方mの輝度を持っているという。
ちなみにこのディスプレイを裏側から見た場合は、マジックミラーのように表示内容は裏移りしないそうで、例えばケータイをこのようなシースルー構造にしてデザイン性を出したりすることが可能だ。
この透ける有機ELディスプレイは、その表示駆動方式としてパッシブマトリクス方式を採用している。今の液晶のほとんどは画素1つ1つに薄膜トランジスタ(TFT)を使用したアクティブマトリクス方式なのだが、コイツは画素に対して縦横のラインでトランジスタ制御している単純マトリクス方式(別名パッシブマトリクス方式)であるため、技術的世代は一つ前になる。しかし40%の透過率を持たせた事はスゴイ事だし、何よりカラーフィルターの採用でRGB各色の輝度寿命が同一で色ズレがないというメリットもある。用途で考えれば、仕様はあまり大きな意味は持たないだろう。
携帯電話のメインディスプレイや、モバイル型電子機器での利用を想定しているとの事で、これからの発展が見込まれる製品である。
しかし、これでスケルトンタイプのケータイとか出てきたら面白い事になりそうだ。
日本発のデザイン性に富んだケータイを期待したい所である。