今、私は業務で今年入社した新人さんの教育などという、大層な役回りをやらせてもらっている。
製造業の新人さんというと、工業系と思われるかもしれないが、今年はそうした工業系に限らない形で4人入社した。
メインである製造での研修は入社後3ヶ月くらいまでに終わったが、今年は従来の年と違いその後に各部署長の下で人間教育などという、これまた今までやったことのないような教育を行う事となり、今まさにその教育を行っている訳である。
…部署長の下なのに、何故私も教育しているのか?
ハッキリ言おう。私にもわからん(爆)
部署長は3人しかいないため、人数合わせで私が抜擢されたのではないかと思うが、何故私なのかは私にはサッパリである。
そんな訳で、7月11日から2週間ずつ持ち回りで新人さんが回ってきて、今3人目の新人さんが私の元に来ている。
私の所では、自分の会社と他の同業者の違いを知ってもらうという事、新しいビジネスプランの必要性を知ってもらうこと、サービスの本質を知ってもらう事など、おおよそ製造業とは直結しないような事を教育している。
ま、私がそういう役回りを会社内で行っている為、そういう教育内容になっていくわけだが、イマドキの新人さんは製造業でもこういう事を知っておく必要があるという所が、ある意味かわいそうな所ではある。
で、今私の所に来ている新人さんは、実にかわいい女の子。
製造業での女の子なので、バリバリの製造技術者になる事は考えにくいのだが、今の世の中はジェンダーフリー。なので可能性はゼロじゃない…が、今回に限って言えばゼロではないかと思う。
なのでこの女の子で言えば管理系での活躍が見込まれる事から、ある意味私の教えられる事が当人の今後に役立ってくれるのではないかと思っている。
ココまでが前フリ。
本題はここからである。
今日、その新人さんと協力工場へと行ってきた。
この協力工場は私の勤務先と違い、大量生産する事を念頭に置いた業務を行っている所なのだが、今のこの時期、とても忙しいという事だった。
大量生産品を製造する会社が忙しい。この事は今の日本経済から考えるとかなり異例な事である。他に作ることができない特殊なものを作っている所以外、今の世の中量産品工場が忙しいなどという事は考えにくいのが今の世の中だ。
この協力工場では自動車部品を作っているという事だが、自動車産業だから忙しい、という事はそれ自体も希有な話である。
ではどうしてこの協力工場は忙しいのか?
実は忙しいというだけで、景気が良いという事ではないのである。
日本の円は今、1ドル80円を大きく下回り、75円に達する勢いである。
自動車産業は国内需要よりも海外展開での収益がダントツ多いわけだが、この円高による影響はかなり大きい。なので、自動車メーカーからすればできる限り海外での調達に切り替えたい所なのだが、自動車メーカーは部品加工メーカーに大型発注するケースが多い為、注文を出した数量は発注した部品加工メーカーから買うことになる。
だから、円がこれ以上下がる前にその部品を買い切ってしまいたい、という思惑が自動車メーカーに生まれ、その思惑から納期がかなり前倒しで進行する事となるわけである。
部品加工メーカーも同じ値段で買ってもらえるウチに納品してしまわねばならない為、タイトな納期を飲まざるを得ない状況でとにかく急いで作るしかない、だから忙しくなる、と言うわけである。
全体的に物量が増えているわけではなく、ただ単に納期だけがタイトになっている…これは製造業としては先の見えない厳しい現実に直面している事になる。
この為替レートの問題が日本経済に大きく影を落とす事は容易に想像できる事なのだが、物量が減るという問題のみならず、時間というものまでが悪い方向に働く可能性を強く持っているという現実は、実に危機的状況と言わざるを得ない。
さらに、円高になれば輸入は有利に働くはずなのだが、不思議な事に加工するための材料や燃料は逆に値上がりしているという、悪い状況がより景気の悪化を加速させている。これも危機的状況である。
この円高は何をもって円高となっているのか?
その明確な理由をこの国に偉い人達は理解しているのだろうか?
国内の主要メーカーが完全海外進出せざるを得ないと判断したとき、日本国内は経済のドーナツ化現象を起こし産業が残らなくなる…なんて危機感も現実に起こってしまう可能性もある。
日本の偉い人、この危機をどうやって乗り切るのか、明確な打開策はあるの?
景気がよくて円高になっているのなら問題はないが、不景気で円高が続いているというこの状況が健全である訳がない。
世界経済が混迷しているのは分かるが、国を動かす人達が迷走していては、国民はどこを目指して進めばいいのかわかるはずもない。
偉い人、そこのところ、よく理解して欲しい。
私自身も不安だが、今年入った新人さんたちは、こんな状態の国を今後支えていく人材と考えると不憫でならない。
そこ、よく理解して欲しい。