東芝が書く事に主眼を置いたPCを発表した。
脅威の569g
12インチというサイズで考えた時、NECのノートPCなどでは800gを切る重さのノートPCというのは存在していた。
それだけでも十分軽いとは思う。私が使用してるノートPC「VAIO Duo 13」は1400g程度あるノートPCだが、それを手に持った私の感想は、それだけの重さであっても「軽い」と感じるからだ。
これは、今までのノートPCがそれ以上に重かった、という事に起因しているワケだが、私の中での常識では1000gを下回るノートPCは概ね10.4インチモニター搭載のノートPCだったりするわけで、12インチというサイズで600gを下回るというのは、驚異的としかいいようがない。
但し、今言っている600gを下回るPCというのは、物理的なキーボードを持 つPCではない。どちらかというとタブレットPCと呼ぶべきものであり、それならその重さでもアリなんじゃない? という人がいるかもしれないが、それでも12インチという画面サイズである事を考えると、この軽さはある意味感動モノである事に違いはない。
そんな軽いPCを開発したのは東芝。その名も「dynaPad」と呼ばれる製品である。
キーボードはオマケ
この12型タブレット「dynaPad N72」は、あくまでもタブレットであり、ノートPCとは言えない。
開発意図としても、キーボードを打つという事よりも、紙に実際に書くような使い方を想定している。
だから書き心地の良いデジタルペンをワコムとの共同開発で作り上げたり、専用のアプリを搭載したりと、とにかくタブレットとして使用する事を最前面に押し出した製品である。
しかし、だからといってキーボードがないとなると、活字を入れ込むのにやはり困る。残念ながら手書きによる活字入力よりもキーボードによる入力の方が速度は断然早い。これは入力プロセスを考えても解る事であり、生産性を上げるには、やはりキーボードは不可欠となる。
そこで東芝は一応キーボードを準備はした。しかし、あくまでもdynaPadは紙の要素を多分に持たせるという方向性を維持する為、キーボードとのドッキングは角度固定のハメコミ式にし、ヒンジを持たせたクラムシェル型にする事を拒んだ拘りを見せている。こういう割り切り方は、本来のタブレットとしての使い心地を犠牲にする事はないため、ある意味英断なのではないかと思う。
とにかくdynaPadは、紙として使用する事を大前提としているのである。
dynaPadで思う事
基本的なスペックなどは情報サイトを見て戴きたい。あえて私が説明するよりはずっと詳しく書かれているはずだ。
なので、ココでは私がちょっと感じた事を書いていく。
dynaPadはタブレットという形態を持ったPCだが、Microsoftはちっょと前にSurface Bookという2 in 1のノートPCを発表した。
数年前は、MicrosoftがタブレットPCにカバーキーボードを取り付けてノートPCのように使えるタブレットPCをSurfaceとして売り出した。
Microsoftが今回Surface Bookを発売した背景はよくわからないが、消費者のニーズとしてタブレットPCよりもノートPCの需要の方が高いとするなら、このdynaPadはある意味間違った方向性から出てきた製品という事になってしまう。
果たして、東芝の判断が正しいという事なのだろうか?
それともMicrosoftの方が正しいのだろうか?
もっとも、MicrosoftのSurfaceとdynaPadが全く同じ製品ではないため、dynaPadならタブレットPCでも買う、というケースはあるかもしれない。
だから判断がどうこう言う以前の話だと言われればごもっともな話なのだが、2社が全く異なる方向性で似たような時期に製品を出してきたという所に、ちょっとした違和感を感じてしまう。
私としては、紙のように使えるPCというのはとても興味があるし、使ってみたいという気持ちはある。
しかし、それでも最終的にはクラムシェル型のPCの方がいいかな? と思うのではないかという気がする。
これは長年PCを使ってきた人であればあるほど、そう思うのではないかと思う。
結局は慣れたスタイルが一番良い、という結論に至るのだろうが、PCは長年そのインターフェースに問題があると言われ続けてきた。
両社の方向性がその答えを見せてくれるようで、今の私はちょっとそこに興味があったりする。
来年の初め辺りに、その答えが出てきそうな感じで今からちょっと楽しみである。
とりあえず無事dynaPadが発売される事を祈ろう。