私の悪い予感が的中した…。
在日米軍も変わっていくか?
ありとあらゆるところで、今日のトランプ氏大統領当選の話が出ている。それだけ米国が世界に与える影響が大きいという事だが、当然、日本だって影響を受けることは間違いない。
今の日本は、これだけの経済大国になっていても米国との関係は無視できないし、今回の結果で大きな変革が必要になるかも知れない。
特に大きな問題になるだろう事は、何と言っても日米安全保障条約である。
トランプ氏は以前より米軍を他国に滞在させる事の費用を問題視している為、この点は無視する事のできない問題へと発展する。
在日米軍の規模が大きく変わるようであれば、日本の国防に大きく問題が生じる。
深刻な赤字問題がある今の日本で、国防において自国での防衛の為に防衛費が拡大する事になると、国家予算の配分に大きな変化を生じる事になるだろうし、その変化によっては、日本の自衛隊の在り方も変わってくる事になる。
しかもこれは隣国の韓国も同じ事で、実は韓国の方がもっと深刻な問題になる。
沖縄の人たちからすると、在日米軍がいなくなる事で問題視されていた事が一気に改善する可能性もあるわけで、喜ばしい話になる可能性もあるかもしれないが、国家として考えた時には、それらは決して安全になる話とは直結するものではない。
自衛隊は国防軍ではない
だが、この変化で私の中では一定の変化が望める良いチャンスではないかと思っているところもある。
それは国家としてその存在がもっとも不安定と言える自衛隊が、正式な軍隊という位置付けになる可能性があるという事である。
こういう話をすると、私武上は「日本を戦争のできる国にしたいヤツ」と思われるかもしれないが、私はその存在が不安定な状態にある事を嫌っているだけで、何も日本を戦争のできる国にしたいわけではない。
というのは、今の自衛隊は組織として軍隊でないが故に正式な国防軍という立ち位置になれていないのである。
日本人の中には、自衛隊は日本の国防を担う準軍隊と思っている人もいるかもしれない。準軍隊という言い方そのものがそもそもオカシイのだが、正式に軍隊でない以上、自衛隊の国防に関する行動にはそれなりに制限がつくと考えた方がよい。
そしてもう一つ、これはとても大きな問題だが、自国を防衛できる軍隊を持たないという事は、独立国家としては非常にオカシイという事である。いかなる場合であっても自国を守る事ができる組織が軍隊であり国防軍なワケだが、自衛隊は軍隊でないが故に、定義上ではいかなる場合であっても国防できない組織でしかない。
軍隊が軍隊として機能する非常事態になってはいけないのだが、隣国では核開発をしているワケで、ただ一方的にやられる事態を迎えてしまっては、そもそも自衛隊という武力
持つ組織がある事自体、無意味になってしまう。
少なくとも今の状態では、国家防衛機能として万全な体制にはない事だけは間違いがなく、今のままではあまりよろしいわけではない事は、国民として知っておいた方が良いと私は思っている。
御託を並べるしかない
この自衛隊の存在に関する事を持ち出すと、時々「御託を並べる必要はない」という人もいるかもしれないが、日本が法治国家である以上、この御託が大切なのである。
何事にも「定義」というものがあり、自衛隊もこの定義によって定める必要がある。
しかし、今はその定義ができない、或いは不明確な状態にある。
何故なら、自衛隊は軍隊と明言できないからである。
この辺りは深く話をしようとすれば、ホントに深い話になるため、これ以上は私も書けないのだが、これに関する論議は長い間いろいろな場所で話されている。
そして自衛隊を軍隊にするとなると、当然だが憲法第9条の改憲に関わる話に繋がり、さらにややこしい話へと発展する。
だが、前述したように日本は法治国家である以上、これは避けて通れない。
今回、トランプ氏が米国大統領となった事で、国内の在日米軍の扱いが従来と変わる可能性が見えてくると、この部分にはどうしても触れる必要が出てくる。
残念だが、この難解な問題を避けて通ることが許されなくなるのである。
方針の今後が見えてこない
ただ、トランプ氏は選挙前にいろんな事を言ってきているが、必ずしもその言っている事を実施するかはまだわからない。
実際、在日米軍を引き上げてしまうと、米軍もそれなりの維持費を国内で賄う必要が出てくるし、日本から一切の運用費を徴収する事ができなくなる。
それだけでなく、中国や北朝鮮の脅威を押さえるには不十分なパワーバランスになる為、米国としても望まないアジアスタイルになる事はほぼ間違いない。
トランプ氏としても、米国が明らかに不利になるような行動は採らないし採れないはずである。
そう考えると当初言っていた「自分の国は自分で守れ」という趣旨が貫徹されるとも言い切れない。
今までのトランプ氏の言動は、総じてそういう事を考えねばならない発言が多い為、現時点でその真意とそこから生まれる今後の事実は大きな隔たりがあると考えられる。
面白いのは、こうしたトランプ氏の一連の発言に対しての反応が、何も日本だけに留まらないという事であり、さらにいうなら、米国内ですら、同じ状況であるという事である。
いや、むしろ米国内の方が騒ぎとしては大きいと言えるかもしれない。
それらがある程度収束した後、米国外の問題へと波及していくものと考えられる。
人によっては「所詮、他国の問題」と対岸の火事のように思っている人もいるかもしれないが、おそらく米国内の問題がある一定の目処が付いたあたりで対岸の火事が目の前の火事になり、その火消しに奔走する事になるのではないかと、一国民として思っている。
本音で言うと、今回のトランプ氏の当選は、かつて日本国民が自民党を信用できなくなり、そこから民主党を選んだ事で政権交代があった…というあの時と状況が重なって見えていたりする。
日本ではその時、民主党を選んだ結果が良い結果に繋がらなかったわけだが、今回のトランプ氏当選はその時の民主党と同じになるのか、それとも米国の明るい未来へと繋がるのか?
個人的にはこの部分に興味があったりする。
日本の事ではない、とはいうものの、日本も後々には絡んでくる事だけに、その興味は尽きない。