PS4 Proが発売された頃から気になっていたのだが…。
HDR対応TV
私の認識不足なのかもしれないが、現時点で私はHDR対応TVという存在は知っているが、HDR対応ディスプレイというものを見た事がない。
TVは、UHD-Blu-rayの影響なのか、対応している機種がある事は知っているが、PC用モニターで明確にHDR対応と謳っている製品を見た事がない。
PC用モニタの場合、Adobe RGBに何%対応とかいった表記がされる事は多々あるし、広色域対応モニタなんだな、という事は漠然とわかるのだが、それらはあくまでもPCのビデオカードから入力された信号を再現する上で、今まで再現できていなかった部分をパネルに色として表示できる、というような意味合いだったりするので、HDRと似てはいるものの規格として何か明確なものがあるかというとそうでもない。
つまり、TVという製品を持つ家電業界ではHDRという明確な指針が立ち上がっているものの、PC業界ではまだ明確なものがない、という事になる。
それだけにHDR対応のPCディスプレイというものが存在しているのか? となると、多分まだ存在していないのではないかと思う。
…というか、あるのならぜひ教えて欲しいところである。
信号とパネル
HDR対応といっても、現在発売されている対応テレビの全てが同じ品質で表示できているかというと実はそうではないらしい。
というのは、HDR対応といっても、それはHDRに対応する信号、おそらくHDMI 2.0aで拡張されたHigh Dynamic Range(要するにHDR)信号を入力できることが条件であるだけで、どのように表示するかというところまで明確に規格化されているのかというとそうでもないという事実がある。
だから、HDR信号が入力され、それを受け付けることができても、それを表示する能力に関して言うと、最低限のところだけは決まっているかもしれないが、まだまだあいまいな基準しか存在しない。
ここらへんはパネルの能力とも関係があるので、明確化が難しいのかもしれないが、消費者側としては何がよくて何が悪いのか、何が合格ラインなのかを判断できる材料がほしいしところではある。
ただ、一つだけその比較において参考となる数字がある。
それがnit数という明暗の差を表す数値で、このnit数が高ければ高いほど、明暗差の表現幅が広くなる、つまり表示画質が鮮明になるということのようで、この幅がつまるところパネルの性能の指標の一つになる。
ただ、この指標の一つも明確に規格に則ったものとは言えないので、これがさらに混乱を招く要因になっている。
正直、PS4 ProというHDR表現が当たり前にできる機器が家庭に普及する現状を考えると、消費者に明確にわかる基準がないとただただ混乱するばかりで、製品の宣伝にとどまってしまうだけの形骸要素としか言いようがない。
旧来のPS4もHDR表現が可能なファームウェアがすでに配信されている以上、業界全体がこのあたりを明確にしていかないと場合によってはせっかく持っている機能が使われなかったり、あるいは使えると信じていたのに機器が対応していなくて使えないなんて事ばかりが続いていく。
メーカーがメーカーとして機能する為にも、この辺りは全てをクリアにしてもらいたいものである。
というわけで、私自身もHDR化を進めたいと思っていたのだが、何をどうすれば良いのかが結局解らずじまいだった。
PCモニタに関して言えば、今の時点ではまだ完全に対応した製品が手の届くところにないようなので、完全に保留である。
コンシューマ機器だけが、HDRという言葉を先行させているだけにも聞こえる世相なので、この辺りはあと数年かけてジックリ見ていく必要があるだろう。