昨日はさんざん書いてきたといって書かなかったRyzenの話。
品不足、時間不足
さて…早速のRyzenである。
ホントはもっと情報を集めてから書こうかと思ったのだが、思いのほか秋葉原はお祭り状態だったらしいので、今ある情報をかき集めて思うところをちっょと書いていこうと思う。
秋葉原では、CPUであるRyzenよりも先にマザーボードの方が品切れになるという状態だったらしい。
そもそも、RyzenそのものはAMDが先に開発終了していたようだが、チップセットはその後に結構急いで開発していたようで、ベンダーからしてみれば、もっと時間的余裕が欲しかった、というところだったようである。
この時間がないというのは、ハードウェアの製造ももちろんそうだが、マザーボードのBIOS(今はUEFIと言うが)の開発も同じで、とあるメーカーでは3月2日という発売直前にBIOSのアップデートをかけるという、実に慌ただしい対応をしていたところもあるようである。
つまり、このようにハードウェアとしてのCPUは準備が整った状態で発売され、チップセットは製造すら時間が足りない状況下、そしてそれらを実際に使えるようにする為に必要なソフトウェア部分の開発に時間を掛けられなかったという事で、Ryzenは本来持っている能力を活かしきれない状態でのデビューとなった。
それでもスゴイ性能
今回のRyzenで私が一番心配だった部分は、何と言ってもチップセットの能力部分であった。
CPU性能に関しては前々からES品のベンチマークである程度見えていたため、IPC(シングルスレッドの処理能力)がIntel製品と比較して劣る事がない等、確認ができていたので心配はしていなかったが、最終的にユーザーが使用する環境になった時はCPUだけの問題ではなく、マザーボード等の組合せの結果の性能を見る必要がある。またCPUにしても、実際にユーザーが使用する環境に近い形でのテストプログラムで見てみないと、実際の性能は見えてこない。
実際に発売された事で、これらの情報がネット上でいろいろ公開され始めたので、現時点でのRyzenの性能が見えてきた。
RyzenのCPUだけの性能を見ると、やはり前情報通りIntelのCore i7 6900Kと互角以上の性能が発揮されていると言える。
ただ、その中で見えてきたのは、CPU-Z等でRyzenはAVX2に対応しているとしているにも拘わらず、AVX2を使用するテストでは極端に性能が落ちる傾向にある。AVX2は主にマルチメディア系の処理で使われる命令セットだが、そういう部分ではIntelの方が一日の長と言う事ができる。
こうしたいろんなテストでわかった事は、Ryzenは以前のAMD系コアと同じく整数演算にはやたらと強いが、浮動小数点演算になるとガクッと性能が落ちる傾向にある。
また、キャッシュやメモリ周りの速度が出ていないという事も見えてきた。
ここらへんはCPUの元々の性能というよりはsteppingがまだ熟れていないという事や、マザーボードのUEFIがまだ成熟していないという理由が大きいかもしれない。
これらの事から、AMDが以前より掲げてきているゲームに強いコアという部分においては、まだその実力を発揮できない状況にあると言える。
実際、ゲームなどではIntelコアに最適化されている事が多く、Ryzenではまだまだ太刀打ちできない結果しか出せていない。今後、マザーボードメーカーやゲームメーカーなどがRyzenに向けた最適化パッチを配付するなどの対応が行われれば、Intelと真っ向勝負しても同等かそれ以上になり得る力を持っているが、今のところ、その性能はまだ発揮できない状況、というのが、今見えてきた真相である。
真価が見えてくるのは半年後くらい?
こういう状況下で私がRyzen導入に関して考えるのは、人柱になる覚悟があるなら今突貫するのがベストではあるが、安定した結果が欲しい、という人は今から半年後くらいに導入するのが良い、という事である。
前述したように、RyzenはまだCPUとしてもsteppingに改良の余地があり、マザーボードのUEFIにしてもさらに高性能化及び安定化が可能。また、各種ソフトウェアに関しても今後のAMD系に対応させていく上で最適化パッチなどは必要で有り、それらの準備としては3ヶ月後~半年後くらいは時間が必要なのでは無いかと考える。
実際にマザーボードに関しては品切れが続いているという事もあるし、もっと用途に合わせた性能を持った製品が出てきても良いような気がする。
そうした周辺環境を全て考えた時、もっとも安定した買い物となるのが半年後くらいかな、と。
その頃には、ビデオカードとしてもRadeon RX Vegaの姿も見えてきている頃だろうし、AMDでPCを固めようと考えている人からしてもわかりやすいタイミングではないかと思う。
私は、とりあえずゲーム系の処理能力に改善が見られればRyzenに突貫する事を考えるが、改訂されるかもしれない価格によってはKaby Lakeという選択肢もまだ検討していきたいと思っている。
何だかんだと、総合的に現環境を最高に維持できるのはIntelコアの環境だったりするので、Ryzenの環境がどこまで改善されるかを今後も注視していきたい。
しかし…高橋敏也氏の改造バカも随分とヌルくなってきたなw
AM4マザーボードが安定していくのは、Ryzen5/3、ZenコアAPUが出回る頃になりそうですね…
僕はRyzen5/3の他にも、A320チップセットを搭載したマザーボードが気になっています。
オーバークロックを全くしない身としては、1万円を切るマザーボードが欲しいのです。
様々な情報筋からのリークによりますと、B350と比較して、オーバークロックの可否以外に、PCI-E 2.0のレーン数やUSB 3.1 Gen2の本数が減っているとのことです。
僕はそのあたりは気にならないので、A320には(主に安さで)期待しています。
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A320チップセットのマザーボードは今回のローンチには登場しませんでしたが、結構安く登場するのではないかと言われてますね。
元々X370だってSLIとかCrossFire Xとか組まなければB350で十分と言われているぐらいですから、接続するデバイスがそんなになければA320で全く問題ないと思います。
どちらかというと、今はUEFIがいつ熟れてくるかという事の方が重大案件かと。
昔からAMD系はBIOSとかにあまり強いメーカーという感じがしないので、それが今は唯一の心配毎です…。
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