新たな市場開拓の刺客か?
Surface Laptopは教育用?
Microsoftが新しいSurfaceシリーズを発表した。ハードウェアの発表と同時にWindows 10 Sという軽量OSを発表、それを搭載した新型である。
感覚的にはUltrabookの感じと似ているのかな、と思っていたのだが、いろんな記事を見ているとそうでもない。
ハードウェアとしては、ちゃんとタッチ対応モジュールが組み込まれていて、ペン入力も可能であり、さらにはSurface dialを組み合わせれば、デスクトップ版のSurfaceと同様なクリエイティブ作業をする事もできるというから、以前のUltrabookとは全く異なる方向性を持つと考えられる。
本体はシンプルなクラムシェル型で、厚さは14.48mm、重量約1.25kgと最近の格安ノートPCとも異なる仕様で、液晶の解像度は2,256×1,504ドットの13.5型のPixelSense液晶を搭載している。
搭載しているCPUは、第7世代のCore i5もしくはi7を搭載し、処理能力はもはやUltrabookとは似ても似つかない。それでいて価格が999ドルからというから、Microsoft製としては価格も安い。
何がここまで変化させたのかが気になるところではあるが、おそらく教育用という市場を狙った戦略なのではないかと思われる。
Windows 10 S
Windowsも今までいろんなシリーズが作られてきたが、今度のWindows 10 Sはある意味今までのWindowsとは全く異なる分類に入るのではないかと思われる。
というのは、基本的に使用できるアプリケーションがWindowsストアからダウンロードしたもののみに限定しており、これによって使用環境そのものをクリーンな状態に維持できる。
このクリーンな環境に維持できるという事が、起動時間の短縮にも貢献するのは言うまでもない。レジストリが汚れないのだから当たり前である。
以前にも、新しいアプリケーションをインストールする事ができなくなる機能を持たせられるアプリケーションなどが出ていたが、今回はMicrosoftがその機能を標準で持たせてきた事に大きな違いがある。
言わば、公式なRead Only Windowsである。
ただ、前述したようにWindowsストアでのアプリは許可されているので、完全なRead Onlyではないし、そもそもいろんな設定などを予めUSBメモリ等に保存しておき、セットアップの途中でそのUSBメモリを読み込ませる事で、共通化したセットアップが簡単にできるような仕組みも持っているので、そこら辺は使用状況を考慮した運用が可能なOSと言えるだろう。
なお、前述のSurface Laptop以外にも、Windows 10 S搭載のノートPCや2 in 1、タブレットも各社から投入される予定のようで、Microsoftが独占しているというわけではない。
iPadとの市場争い?
新型iPadが発表された時、誰もがその価格に驚いた。
従来の新型では考えられない価格設定で、より上位のiPad Proとの差別化を図った、とする意見もあったが、もともとAppleはiPadを教育市場に投入する事を想定していた節があり、今回の価格設定でよりそうした教育市場を意識したものと言われている。
今回のSurface Laptopも、教育用として銘打っている所もあり、またWindows 10 Sの基本的な考え方も多数のデバイスを少ない管理者が制御しやすいスタイルにしている事から、どう考えても同じ市場を狙っている製品と言わざるを得ない。
価格的にはiPadの方が随分と有利ではあるが、Windowsは使う側が慣れているというアドバンテージがあり、またMS Officeが使えるという魅力もある。
その魅力を押し出しての市場争いが、少なくとも今後起きる可能性はある。
どちらが勝つのかは分らないが、より簡単に使えるという利便性を押し出してMicrosoftが市場に投入する意思がある事は間違いないだろう。
それにしても…最近の教育現場というのは随分と進んだものだな。
こういう電子デバイスによる教育が受けられる時代になったというのは、暗に時代が進化したから、というだけでなく、生徒数が少なくなったから、というコスト面での負担が軽くなっている事にも理由があるように思う。
そう考えれば、今の子供は恵まれているなぁ、と思いつつ、デジタルではない、よりリアルな環境が貴重な時代になったのかな、と思う。