3年前の技術と同じというのが何とも…。
久しく新製品がない
昨年、Olympusは100周年を迎えた。
その時、記念モデルとして登場したのは既存機種であるE-M1 mk-IIのシルバーモデルだった。
縦グリップ一体型のE-M1Xというプロフェッショナル機も出たには出たが、処理プロセッサを2個搭載しての強引な高処理型E-M1的な感じもしたし、驚くべき変化点というものを持ったカメラという感じでもなかった。あくまでも既存技術の延長上にあるフラッグシップ機であり、関係者の度肝を抜くような製品でなかった。
何故そんな製品ラインナップに留まったのかというと、単純に生産工場を移転したりするタイミングと重なっていたとか、企業経営的な整理に入っていたという事があって、基礎研究開発がなされていなかった為と思われるが、この基礎研究開発が行われていなかったという事実は、今後の製品開発において不安を残す要素だったな、と今にして思い知る事になる。
それが、三代目としてようやく登場した「E-M5 mk-III」に現れようとは、その時誰も思わなかったに違いない。
遂に出た三代目
そして10月17日に「OM-D E-M5 Mark III」が遂に発表された。
同時に「PEN E-PL10」も発表されたが、私的に興味があるのは「OM-D E-M5 Mark III」である。
E-M5系は、像面位相差AFのないE-M1という感じのカメラだったが、遂にこの三代目からは像面位相差AFが搭載された。
というのも、含まれている機能の大部分はE-M1 mk-IIとほぼ同じで、それをE-M5の筐体に押し込めて小型化した、という感じのカメラに仕上がっているからである。
逆を言うと、3年前に発売されたE-M1 mk-IIと機能的には何ら真新しいものがなく、単純に小型化してグリップの小さなE-M5系のカメラに承継させた、というだけの商品になってしまった、とも言える。
Olympusファンとして、このカメラに対してどのような評価を下す事になるのか?
ほとんどの人は結構手厳しい評価を下すのではないかと予想する。というのも、E-M1 mk-IIと同機能のカメラにするなら、もっと早く製品発表できただろう、という声が出るハズだからだ。
そもそも、E-M5 mk-IIIは、結構前から製品が発表されるのが待たれていたカメラである。
それこそ、E-M1Xが登場する頃から一緒に出るんじゃないかとか言われていたカメラである。しかし、結果はそこからさらに1年を要し、今ようやく登場したワケである。
機能的にE-M1 mk-IIの性能があれば十分、と考えている人であれば、ある意味廉価小型版とも言えるので、評価もできるかもしれないが、E-M5系をそうした廉価版という位置付けでなく、確固たる性能機として見ている層からすれば、納得しかねる製品と言えなくもない。
そういう意味で、私はこの「OM-D E-M5 Mark III」は、票の割れる製品になるのではないかと予想している。
キットレンズも昔のまま
さらに追い打ちをかけるわけではないが、キットとして付いてくるレンズにしてもM.ZUIKO DIGITAL 14-150mm 4.0-5.6レンズと、これまた新レンズではなく従来のレンズがキットとして採用されている。
従来のOlympusファンからしてみれば、擁護したくてもできない要素を持った商品としか言いようがない。やはり、Olympusには開発余力がないのではないか? と悪い予感しか与えない製品になってしまっている。
ここ最近、SIGMAがSIGMA fpを発表して話題をさらっている事を考えると、Olympusは本当に大丈夫なんだろうか? と不安になってしまう。おそらく、そう考えた人は少なくないのではないだろうか。
なので、E-M5 mk-IIIを買わないと決めた人達は、おそらく次に出てくるであろうE-M1 mk-IIIを待つ事になるのではないかと予想する。
事実上のOlympusのフラッグシップ機であるE-M1系は、まさしくOlympusの技術の粋を集めたモデルになる事は間違いないし、今から期待されるモデルである。
なので、もし次に来るであろうE-M1 mk-IIIがもしコケるような事があれば、おそらくほとんどの人はOlympusを見限ってしまうのではないかという心配も出てくる。
言い過ぎかも知れないが、ある意味、背水の陣で臨まざるを得ない状況に、Olympusは置かれるような、そんな状況も考えてしまう。
企業内でいろいろと問題があるのかもしれないが、消費者側は結局は発売される商品でしか評価する事ができない。その上でE-M5 mk-IIIを見た時、やはり残念に思ってしまうのは、致し方ない事かもしれない。
とりあえず、新しいユーザーを獲得する意味での一台として見れば、スタイルも良いし見た目勝負はできるかもしれない。
今は発売を待ち、製品レビューでどれだけの完成度かの結果を待つしかない。
個人的にはE-M1 mk-IIIが何時頃出てくるのかが気になるところだが、マイクロフォーサーズの中核を担うメーカーには是非ともがんばってもらいたいところである。