噂されてた時と価格が随分違ってる。
稼働時間を気にしなければ
DJIから、スマホ用電動ジンバル「DJI OM5」が正式に発表され発売された。
噂として当Blogでも紹介したが、その時には価格は159ユーロ(約21,000円)程度になる、という話をしたが、実際には公式オンラインストアでの価格は17,930円(税込)なので、前モデルとさして変わらない価格になったようだ。
以前にもその内容は説明したが、今回の「DJI OM5」では、ジンバルとスマホクランプは前モデルと同様にマグネット着脱式であるため、素早いセットアップが可能という点は引き継ぎつつ、本体が小型化され、最大215mmまで伸長できる延長ロッドを内蔵しているのが大きな特徴となっている。
電動ジンバル付き自撮り棒…言ってみればこんな感じである。
小さくなった本体
本体は伸長ロッドを内蔵しつつも33%ほど小型化したという事だが、搭載しているモーターは強力で、搭載できるスマートフォンの重量は230±60gとなっている。これは従来モデルのOM4と同じなので、モーターそのものは同じものを搭載しているのかもしれない。
小型化した本体はOM4より100gほど軽くなっているので、取扱いはより楽になり、長時間の使用も楽になったといえるが、残念なのはバッテリー容量が小さくなったのか、その稼働時間は6.4時間とOM4の15時間と比較してかなり短くなっている。搭載しているバッテリーが1,000mAhと、OM4の2,450mAhより小さいのがその原因だが、バッテリー容量の小さなものを使わざるを得なかったのは、伸長ロッドを本体に内蔵したからに他ならない。
伸長ロッドによってその撮影範囲は拡大しているので、OM5とOM4はその在り方の違いで使い分ける製品と考えた方が良いかも知れない。
行き着いた機能?
スマホ用ジンバルの新型として登場したDJI OM5だが、今回は伸長ロッドを搭載しての登場となったワケだが、正直、これ以上のジンバルの進化とは何だろう? と思ってしまう。
元々、ジンバルの役目というのは、撮影デバイスの揺れの抑制であり、その機能は3軸制御によってほぼ実現してしまっている。今はその3軸制御に連動してアプリでいろいろな機能を付加している状況で、今回はそれに伸長ロッドを付ける事でより撮影範囲を拡大した、という状況である。
であるなら、次は伸長ロッドによって短くなったバッテリー稼働時間を延ばす事が次の目指すべきポイントという事になるのかもしれないが、機能的に今回のOM5で行き着いたのではないか、と思ってしまう。
撮影デバイスとしては、より高解像度を求める場合はデジタル一眼カメラ(ミラーレス)を利用する方向になったり、スマホ自体の撮影能力が拡大する事で進化を続けているが、それにしても結局は解像度の拡大やダイナミックレンジの拡大といった、機能の拡大というよりは性能の先鋭化といった進化であり、利用する上で革命的な何かがある、という感じではない。
360度撮影が可能なRICOHのTHETAのような製品だと、確かに撮影そのものが大きく変化した、と言えるが、今の電動ジンバルでは、そもそも撮影媒体の変化とは無関係だから、出来る事を突き詰めた結果が、今のOM5といったスタイルではないかと思えてしまう。
…いや、RICOHのTHETAを安定的に支えるジンバルってのは見た事がないが、それにしたってスマホ用ジンバルを活用できそうな話である。
VLogの人気から、ソレ用のカメラの売上げが爆発的に伸びているが、日常を切り取るための撮影スタイルそのものが変化しない以上、ジンバルの進化もそろそろ行き着いたと言えるのかも知れない。
ま、私が想像できないだけで、まだまだ変化していく可能性ももちろんある。いや、多分変化していくのだろう。
まだ見ぬ進化を期待して、電動ジンバルもまだ変化していく事を待とう。