Ryzen7 5800X3Dは公式にオーバークロック不可と発表。
高電圧では動かない
AMDの新CPUであるRyzen7 5800X3Dには、積層技術を利用したキャッシュメモリがCPUの上に2層追加された形になっている。
これ自体の技術は、以前から発表されており、今回それを製品化したものが登場する、という運びだったわけだが、今回、公式にRyzen7 5800X3Dはオーバークロックできない、と正式に発表された。
理由はその動作電圧で、通常のRyzenでは1.45~1.5V程度までは動作できるように製品出荷されているところ、Ryzen7 5800X3Dは、1.3~1.35Vという非常に低めな電圧でしか動作しないためらしい。
よって、製品名としてRyzen7 5800X3Dと、5800の後ろにXが付けられてはいるものの、コア電圧の調整ができない形で出荷されるようだ。
ただ、Fabricとメモリのオーバークロックは可能な状態らしいので、部分的に調整はできそうである。
高電圧で動作させると、別の層に放電でもするのだろうか?
その理由は明らかではないが、定格動作での性能向上しか望めない製品になりそうである。
どうせなら…
ただ、今回発売する積層キャッシュ搭載のCPUはRyzen7 5800X3Dと、他の製品が存在しないのが気になる。
個人的には、Ryzen9 5950Xに積層キャッシュが搭載された製品などがあっても良いように思うのだが、そういった情報は一切無く、積層キャッシュを搭載したCPUはRyzen7 5800X3Dのみとされている。
これに理由はあるのだろうか?
AMDからは、EPYCの3D V-Cache搭載モデルは発表されたが、Ryzenでの搭載品はRyzen7 5800X3Dしか発表されていない。
その真意がわからないのだが、歩留りが悪いとかそういう理由なのだろうか?
また、メモリ性能はGPUで効果を発揮する事から、案外APUで3D V-Cacheを利用できると、劇的効果があるようにも思える。
今後、APUで利用していくという道はないのだろうか?
考えれば、まだまだ利用できる範囲はありそうだが、技術的な課題が多いのかも知れない。
もしAPUのCacheが3倍ほどになったなら、グラフィック性能に大きく作用して劇的効果が得られるかもしれないのだが…。
第一世代
今回の3D V-Cache搭載のRyzen7 5800X3Dは、まだ世代的には第一世代の3D V-Cache搭載製品である。
まだまだ技術的に課題の多い技術だとすれば、まだ発展できる余地がある。
夢のある話をすれば、今後の製品にも期待はできるのだが、残念な事に未来に繋がる情報は今の所ない。それだけに、今後どのように展開していくかが今の段階ではわからない。残念である。
もし、積層技術が今後まだまだ伸びていき、いろんな事が可能になったなら、今度こそ1チップPCができる時代がやってくるかも知れない。
ただそうなると、おそらくは1社技術だけで完結できるとは考えにくい。
チップレットのコンソーシアムのように、1チップCPUのコンソーシアムができる日も来るかも知れない。
というわけでゲーム性能首位を奪回すると言われているRyzen7 5800X3Dだが、オーバークロックはできない、という事で、その性能の伸び代は限定的だろうと考えられる。
IntelとAMDの競争の中から生まれた変わり種CPUにならない事を祈りつつ、発売後に実際の性能をみていきたい。