ついにM2ベースのProコアとMaxコアが発表された。
CPUよりGPU
M1 ProとM1 Maxが優れたコアだという事を疑う者はいないと思う。
実際、Apple Siliconと言われたM1の処理性能は、それまでのx86コアと比較しても省電力かつハイパワーなコアで、世間を驚かせた。
そのワットパフォーマンス性能は未だIntelやAMDは並ぶ事は出来ても、超えるレベルには達していない、と言われていて、大電力で使用出来る環境にないデバイスにおいては、Apple独り勝ちみたいなところが未だある。
その後、AppleはM1からM2へとコアのアップデートを行ったが、より高性能、より省電力に突き進むというコアデザインを踏襲した。
M1はさらにCPUコア数やGPUコア数を増やしたM1 ProとM1 Maxを発表したが、M2発表後、M2 ProやM2 Maxは発表されず、いろいろな噂が出回った。
一部の噂ではM2 Proは登場するが、M2 Maxは発売しないという噂もあったが、それはコアの微細化が進みすぎてM2 Maxとして大量搭載する事が困難で、歩留りを考えるとMaxクラスの搭載量は無理だろう、という事から出ていた噂だと考えられた。
だが…Appleは遂にM2 ProおよびM2 Maxを発表した。
CPUのコア数は最大でも12コアに留まり、GPUの数はProで19コア、Maxで38コアと大きく数を増やしたのは主にGPUというのが気になるが、おそらくCPUの数はこれで十分と考えた結果ではないかと思われる。
搭載製品として採択されたのは、MacBook ProとMac miniの2機種だが、Mac miniはM2 Maxの選択がないのがちょっと残念といったところだろうか。
メモリ最大92GB
今回、多くの人が望んだのは演算器の増加ではなく、搭載メモリ量の増加ではないかと思う。
Apple Siliconの最大のメリットでありデメリットなのは、メインメモリがユニファイドメモリとしてSoCに直結したダイ上のメモリだという事である。
これによって従来は大量のメモリを搭載する事ができなかった。
ユニファイドメモリの最大の利点は、CPUダイの上にある事でアクセスが脅威的に速かったという事。だが、それは同時に後からの増設には対応できないという意味だった。
だから購入する時にメインメモリの最大値を選んだ方が後悔がないというのがMacというものだった。
その後悔がない、という事は今回のM2 Pro/Maxも同じなのだが、今回はその最大搭載量がMaxで96GB、Proでも64GBにまで拡張された。
これは重作業を行う人にとってはありがたい話ではないだろうか?
まぁ…メモリを増設して予約すると、価格はとんでもない価格になるが、これはユニファイドメモリの特徴なので、そこは諦めるしかないが、搭載量を諦める必要が無くなったのは喜ばしい事である。
大規模システムに向かない
ただ、無敵と思われるM2 Pro/Maxだが、残念ながら大規模システムには不向きと言わざるを得ない。
コア性能は高いが、接続できるデバイス数の限界がx86系よりも圧倒的に少ないという課題が残っている。
全てにおいて無敵を感じさせるApple Siliconだが、企業が導入する大規模システムのコアとして使用するにはインターフェースが貧弱なので、未だにIntel系が幅を利かせているところがあるのも事実だ。
しかもIntelもAMDも、現在Macに搭載されているニューラルエンジンのような機械学習用のコアを今後搭載していくと言っているので、Apple Siliconとの性能差は徐々に埋まっていくだろう。
ま、個人として使用する上では、コストパフォーマンス含めてApple Siliconが強さを見せるのは今後も変わらないかもしれない。
私はAppleからAMDに鞍替えしたばかりで、しかもMacを再度卒業した身分なので、Macを買い直す事はないだろう。
ただ、Macを今後も使っていく人は、その状況に合わせてM2へと切替えていくのもよいかも知れない。