NVIDIAの超解像技術がアップデート。
同一解像度でも超解像を実現
NVIDIAが同社製ビデオカードGeForce RTXシリーズで、ストリーミング動画を拡大再生しても解像度の低下を抑えられる超解像技術を実現したという事に関しては、当Blogでも記事にした。
さらに、その技術をローカル動画に使用する事ができるという記事も当Blogで書いた。
実際、その後はMPC-BEといったローカル動画プレーヤーにほぼ標準でMPC VIDEO RENDERが搭載されるようになったようで、今ではインストールしてすぐに外部フィルタに登録できるようになっている。
かなり定着してきたRTX VSRだが、そのバージョンがNVIDIAのドライバ「GeForce 545.84 Driver」で「RTX Video Super Resolution 1.5」となってアップデートされた。
従来は、ストリーミング動画をアップスケーリングした時に、その表示される動画の解像度を高解像度化するというのが機能だったのだが、RTX VSR 1.5になった事で、これが動画と同一解像度でも高解像度化するよう機能強化された。
低ビットレートでとくに目立ちやすいブロックノイズやボケを,RTX VSR 1.5により改善できるワケである。
NVIDIAの公式ドライバーで提供される機能は、おそらくストリーミング動画、つまりほぼブラウザで表示できる動画に適用されるものと思われるので、ローカル動画に適用するにはMPC VIDEO RENDER等の対応が必要になるだろうが、おそらくそれらもそう遠くない内に対応はできるだろう。
今後はフレームレート補間もできるようになってくれるととても有りがたいのだが…さて、どこまで進化するのか今後も期待したい。
Stable Diffusionで性能向上
この超解像技術以外には、Stable Diffusionというブラウザインターフェースによる生成AI向けに機能強化が図られている。
Stable Diffusion Web UIにTensorRT Extensionをインストールすることで,最大2倍の性能向上が得られるそうで、利用するにはVRAMが8GB以上を搭載するRTXシリーズが必要になる。
生成AIはGPUをGPGPUとして利用する中で作られていくが、これにTensorユニットを上手く活用していくという技術になる。
この辺りは、生成AIでNVIDIAのGPUがよく使われている事が功を奏した技術と言える。
利用するには、セットアップする必要があるので、下記を参照して試す必要がある。
ここ数ヶ月でStable Diffusion UIを含めた生成AIはどんどんと進化しているので、以前よりはずっと敷居が低くなっている。
これにGPUによる支援が加わる事で、より広がりを見せる事になっていくと思うが、興味のある人はいろいろと試してみると良いだろう。
正直、私は少々付いていけなくなってきている。
DLSS 3の対応タイトル拡大
NVIDIAのDLSS 3によって、4K解像度であっても元データを小さいもので処理をして、DLSS 3で拡大表示してフレームレートを稼ぐという方法が採られるようになった事で快適にゲームプレイできる人が増えてきていると思う。
私がプレイするFF14では未対応なので、私自身はDLSS 3の恩恵は受けてはいないが、世界的なFPSゲームなどでは対応している事が多く、より滑らかで高画質なゲーム体験が可能になっている。
今回のアップデートでは、剣戦バトルロイアル「NARAKA: BLADEPOINT」と、アクションRPG「Warhammer: Vermintide」へのサポートが追加されているようだ。
できれば国内タイトルでも精力的に対応してくれるととても有りがたいのだが、向き不向きもあるので、そこら辺は何ともしがたいところである。
ただ、最近思うのは、技術と性能のバランスが著しくズレ始めているのではないか、という事。
一時期は、4Kモニタの技術不足でリフレッシュレートやHDR対応がハード的に届いていない事が普通だったが、最近ではそれらが徐々に逆転してきていて、GPUがモニタの性能に追いつく為に、軽量化したデータ表示方法でビジュアルを支え、その支援としてAIユニットを使って補間する、といった動きになってきた。
モニタもまだまだ進化の途中とは思うが、GPUそのものの性能が少し伸び悩み、それを補う形でAI処理を活用している。
別にそれが悪いという事ではないのだが、AIを活用していく事が当たり前になった今では、もうこのハードとソフトのバランスが揃う事はないのかもしれない。
とりあえず、進化は止まっていない。
映像はまだまだ美しく、緻密になっていくだろう。今後にも期待である。