STORMの幻界と新界は美しい。
専用マザーボードの特注モデル?
STORMというブランドで発売するPCに、極力ケーブルが見えないPCとして幻界と新界というシリーズがある。
極力ケーブルが見えない…とはどういう事かというと、PCを組めば間違いなく電源から伸びるケーブルがマザーボードに繋がり、場合によってはビデオカードに繋がり、そしてマザーボードからはケースファンやラジエーターにケーブルやホースが繋がるものなのだが、それらのケーブルを極力背面に回して見せないようにする、という意味である。
だが、単純にケーブルを背面に回しても、幻界や新界のようにはならない。
なぜなら、普通はマザーボードの表面にケーブルのコネクタが実装されているので、どうあってもケーブルは見えてしまうものだからだ。
だが、それをSTORMはメーカーであるMSIと協力し、各種コネクタをマザーボードの裏側に配置し、表面からはケーブルが見えない仕様にしてしまった。
これにより、専用のケースが必要となったが、マザーボードの背面に各種ケーブルが集中して繋がるため、PC内部を見ても極力ケーブルが見えないスタイルが確立した。
幻界はMSIの専用ケースを使用し、新界はSTORMの専用ケースを使用したモデルになるが、当然だがそこで組み合わせるパーツに関しても、違いはある。
BTOモデルであるため、使用するCPUやビデオカードの組合せが存在するが、どちらも白を基調としたモデルであるため、搭載するビデオカードもホワイトモデルが使用されている。
単体発売して欲しいマザーボード
ホワイトモデルであるかどうかは別として、個人的にはこの背面にコネクタが集中しているマザーボードはぜひ単体発売して欲しいと思うし、何ならホワイトモデル以外のマザーボード、あるいは他のフォームファクタのバージョンも発売して欲しいところである。
今回の幻界と新界で使用するマザーボードは、MSIの「B650M PROJECT ZERO」(AMDモデル)と「B760M PROJECT ZERO」(Intelモデル)で、国内では単体発売していないマザーボードになる。
フォームファクタはmicroATXなので、一定の拡張性しか望めないが、ピラーレスの専用ケースに入った姿を見るに、とても美しく、鑑賞に堪えるPCになっている。
正直、ホワイトモデルでなくてもよいので、フォームファクタATXの背面ケーブルマザーボードを発売して欲しいと思っている。
というか、何故今まではマザーボードの表面にしか接続コネクタが存在していなかったのか? と不思議でならない。というのは、いくらケースの内部に入るものだといっても、熱でケース内温度を冷やす必要があるなら、ケーブルは極力ないほうがよいからである。
ケーブルがPCケース内でいろんな所に誤配信している状況は冷却にもよくないし、メンテナンスにもよくない。
なので、この背面にコネクタのあるマザーボードは今後の主流に…は多分ならないだろうが、要望はかなりあるのではないかと思う。
といっても、ケースも通常のものではダメなので、ケース側の対応も必要にはなるだろう。一層の事、業界で背面ケーブル仕様の波が来てくれると良いのだが。
トレンドは移り変わる
昔のPCは、今のPCのように中身に電飾を施したりとか、中がガラス張りで見えるようになっていたりとかはしていなかった。
どちらかといえば、より排気効率を上げるために排気方向を上側に向けるものにしてみたり、マザーボードを上下逆に取り付けられるようにするためにBTXといった規格を作ってみたり、どちらかといえば機能的な変更を施したものばかりだった。
それが徐々に自作PCと呼ばれるものが多方面に広がりを見せ、気がつけば側面がガラス張りになるのが当たり前のようになり、LEDで電飾するのがトレンドになったり、今まで隠していたものほ見せるという方向へと変わってきた。それによって、自作PCを作る人そのものにも変化が起き、より大きな市場に向けて展開するようになった。
少なくとも、20年程前、つまり2000年ごろでは、今のようなLEDで飾られたPCは存在していなかったと思うし、ましてガラス張りのPCというのもそんなに多くはなかったと言える。
それが今ではピラーレスでPCの半分近くがスケルトン化して、中身を見せる時代になった。
そしてそれは自作PCという個人の趣味で作られるレベルから、PCをビルドするショップで売られるPCに、そういったPCが登場するようになった。
…いや、話は逸れるが、デスクトップPCを電機メーカーが開発販売する時代も終わり、今やデスクトップPCはショップブランドかネット販売するメーカーだけになったのではないかと思う。
このような時代の変遷の中での、この幻界と新界である。
今後、背面コネクタのマザーボードとそれに合わせたPCケースというのも、もっと広がりを見せるようになるかもしれない。
私としては、このトレンドはもっと広がって欲しいと思っている。
これによって、メンテナンスがより楽になる可能性も高く、それによってパーツ交換が楽になれば、自作PCの壁はもっと低くなるのだから。