ドラグナー、再び

 ガンダムが国民的大ヒットロボットアニメとなったのは、殆どの人が知っている事である。
 これだけテレビへの露出が多く、また話題にもなり、30周年を迎えるようになった作品であるから、その人気の高さと息の長さはもはや説明が必要ない程だろうと思う。
 しかも初代のガンダムからいろいろな続編や亜種作品が生まれた。これもその人気の高さ故の事である。
 だが、このガンダムがここまでの人気になったのは、決してアニメ作品だけの影響ではない、と私は思っている。
 ガンダムは実にタイミングがよかった作品であり、タイアップした企画がベストマッチだったと言える。
 玩具としてプラモデルが大ヒットする引き金になったのは、間違いなく当時の子供達に絶大な人気を持っていたコミック雑誌の連載であるし、その連載から本編とは全くことなる亜種的世界が生まれたのが、その後の運命を決定づけたと言っても過言ではない。
 そういう意味では、ガンダムほどではないにしても、ボトムズも同じような変化点を見せている。
 しかし、なぜドラグナーはガンダムのような方向に進まなかったのだろうと私は時々思ったりする。


 ドラグナーは、1987年(昭和62年)2月頭から1988年(昭和63年)1月末まで名古屋テレビ・テレビ朝日系で放送されたロボットアニメだが、企画当初から雲行きのアヤシイ展開を見せていたらしい(Wikipediaより)。
 私的にはガンダムよりずっと現実の兵器として考えられていた作品だと思っていたし、今も思っている。
 そもそも試作機が量産機より高性能という当時のロボットアニメは間違っている。しかしドラグナーではそのあたりがちゃんと反映されていて、量産機が出たすぐ後に主役機と量産機でデモ戦を行うシーンがあるのだが、主役機がボロボロに負けるという演出があった。
 もちろん、主役機はその後カスタマイズを受け、主役機としての役目に再び収まるのだが、兵器である以上、リアル路線を貫くならこのような量産機が試作機を上回るという形にならないとオカシイのである。
 あと、私がもっともドラグナーという作品が好きな背景に、電子戦機が存在するところがある。
 実際の戦争もそうだが、情報戦に勝たずして戦争に勝てるワケがないのである。
 それなのに、ガンダムをはじめとしたロボットアニメの殆どの作品になぜか電子戦機が存在しない。
 電子戦機はデザイン的に難しいのかもしれないが、私はこのドラグナーという作品でレドームを頭に装備した主役級メカを始めて観た時に、ありえねぇ!と思ったと同時に、これこそリアルだと心底思った。
 もちろん、ただデザイン的にレドーム搭載メカが出てきたというだけでなく、ちゃんと電子戦(といってもアニメ的手法だが)が展開される演出があるのも見逃せない。
 こんなリアルに考えられていた作品なのに、やはりどこかパッとしなかったのか、ドラグナーは人気もそこそこに展開が終了してしまった。
 そこそこの人気だったため、その後は当然ガンダム人気に隠れてしまい、DVD-BOXも2005年になってやっと発売された。
 そのDVD-BOXは価格が5万円超と実に手の出しにくい価格設定だったが、この度、バンダイビジュアルが“EMOTION the Bestシリーズ”としてドラグナーのDVD BOXの廉価版を発売する事となった。
 2010年1月27日発売予定で、価格は33,600円。1話あたり約700円という価格設定である。
 個人的にはBlu-rayで出して欲しかったところはあるが、もともと人気がそこそこでしかなく、HD化するだけの予算を投入できないという背景があるだろうから、ここは再販化するだけでも良しとすべきだろう。
 つーか、ファーストガンダムもそうだが、旧作はそろそろリメイクした方がいいと思う。
 もちろん、いろいろなところで反発があるだろうが、ヱヴァンゲリヲンが事実上のリメイク(既にリテイクという枠を超えてるだろうと思う)で絶大な人気を得ているのだから、ガンダムなどもそういうやり方はアリだと思う。
 なんとかしてください、えらい人!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

2 Responses

  1. ruser より:

    D-3のインパクトは凄いw
    でも、「普通の」子供が見ても「変な形」と言われて終わりかも?w
    背中になら他にもありそうだけど、頭がレドームの人型メカはACくらいでしか見たこと無いです。回るのに限れば唯一かも?
    私も数年前まで名前と数種類のメカしか知りませんでした。
    FROM Softwareの Another Cencury’s Episord シリーズではおにもt…大活躍デシタヨ?
    もう中古が底値行ってるので、是非D-3オンリープレイを!w

  2. 武上 より:

     D-3、最高っスよ!
     あのぐるぐるまわるレドームヘッド、あれこそ電子戦機の証ですがな(爆)
     D兵器もかっちょええが、ファルゲンもイイ!
     まぁ、ギルガザムネは別格かもしれんが…ガンダムでいうところのサイコガンダムとかクインマンサみたいな位置づけか?
     インパクトではVガンダムのバイク戦艦には劣るけど(爆)、ドラグナーのメカは当時としては画期的かつ奇抜的で私はかなり好きなんだが…
     なんでドラグナーって売れなかったのかね?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version