あのポメラの新型“pomera DM100”が登場する。
発売は11月25日(金)予定で、価格は3万7800円となる。
従来のポメラ、つまりDM5、DM10、DM20シリーズでは、キーボードを展開するタイプのもので、閉じた状態ではかなりコンパクトになったが、今回のDM100では、キーボード幅がそのまま本体幅となるタイプとなった。
そのため、5.7インチ(800×600ドット)の液晶画面は蓋部分の真ん中に配置され、左右の余白は随分と空いたデザインとなった。
このデザインに関しては賛否両論あるだろうが、とうとうDM100からはバックライトが搭載された。バックライトが搭載となると気になるのはその消費電力となるわけだが、単3乾電池2本利用で、シリーズ最長の30時間(eneloop使用時は25時間)駆動としているあたりは、ポメラの最大の特徴を損なってはいない事がわかる。
また、このDM100で搭載された機能は実に多岐にわたり、電子辞書機能、Bluetooth搭載による外付けキーボード化、内蔵IMEのATOKのPCユーザー辞書インポート、そして何故搭載したかよくわからない親指シフト入力切替機能などが搭載されている。
特にBluetooth機能については、iPhoneなどのスマートフォンの外付けキーボードとして使えるだけでなく、データの送受信にも利用出来る事から、従来のポメラで唯一懸念材料とされていた問題も解決されている。ちなみにQRコード機能も引き続き搭載している。
今回のDM100の新機能は魅力的なものばかりだが、ポメラのポメラたる最大の特徴であるキーボード部分は、従来よりもずっと進化している。
今回は折りたたみ機構がないという事もあって、キーピッチは横17.0mm、縦15.5mmと横は従来通りではあるものの、ゆとりのあるピッチとなった。
さらに従来モデルでは最上列のキーが小さく設計されていたが、DM100では全てのキーが同サイズとなった。この事はローマ字打ちの人にとってはあまり恩恵はないかもしれないが、カナ打ちの人にとっては最も大きな恩恵かもしれない。
と、ここまでpomera DM100の良い所ばかりを列記したが、悪い所…というか、根底から存在そのものについて考えてみる。
近年、こうした文字入力に特化したデバイスというものについて、ポメラ以外に存在していない。それ故にポメラはその存在価値があったワケで、必要とされる人からは絶対の指示を得られてきた。
しかし、ここ数年モバイルデバイスそのものに大きな変化が出てきた。スマートフォンのみならず、タブレットデバイス(ここで言うのはAndroidタブレット及びiPadなど)が大きく台頭してきているという事である。
ご存じの通り、タブレットデバイスはタッチパネルを搭載している事から、ソフトウェアキーボードによる入力ができる。しかも最近はマイク端子から比較的正確な音声入力というものもできるようになっている。また、7notesという非常に希有なソフトウェアの登場で、タッチパネル部に直接活字を書くという事もできるようになった。
しかも、それらタブレットデバイスを含むスマートフォンの稼働時間も非常に長く、ポメラの利点である「即起動」「長時間稼働」「単機能」というメリットが際立たなくなってきている。
たしかに物理的キーボードによる軽快な文字入力はタブレットデバイスではできないが、その代わりに活字を書く事が出来るのがタブレットデバイスのメリットであり、ちょっとした使い方であるならば、ポメラの利点はあまりないのではないかと考える。
それ故、キングジムも今回の“pomera DM100”にスマートフォンなどの外付けキーボード機能や電子辞書機能などを搭載し、他デバイスとの共存を考えたのだろうとは思うが、そもそもモバイルデバイスは使用する数が少なければ少ないほど便利であり、従来のポメラは統合デバイス(ここで言うのはスマートフォンやタブレットデバイス)の存在がなかった頃、もしくは統合デバイスとしての機能が弱かった頃の製品だからこそ、重宝されたものと言える。
となれば、今の時代のポメラは、その存在価値を一般人に見いだして貰えるのか?
その一点にDM100の意義が問われるのではないかと思う。
ただ、文章を書くことを商売にしていたり、Blogでも長文を掲載する人など、とにかく文章入力に強いこだわりのある人からすると“pomera DM100”は従来のポメラ同様、強力な支持を受けるだろう。
文章は実際に書くよりもキーボードで入力する方が速く打てるし、ましてスマートフォンなどのフリック入力などとは比較にならない。今は文字入力支援機能によってケータイやスマートフォンでもかなりの速度での文字入力はできるが、それらの文章は自動で打ち込まれる部分も多く、また個性が出にくい。この支援機能のせい(おかけ?)で、日本語の文章がまともに書けなくなる若者も続出しているが、とにかく規定文しか出力しない(一部学習機能でその人のクセによる文章は出力できるが…)為、文章に強いこだわりのある人からすると、スマートフォンなどは決して使いやすい文章入力デバイスとは言えない。
私など、iPhone4に、ATOK Padと7notes miniを入れているが、それらを使用しても規定文変換をあまりしないため、結局自分で全部の文字を入力していたりする。多少変換が賢いというメリットはあるものの、これで素早い文字入力が出来ているかは疑問である。
結局、従来のポメラでも文章入力に強いこだわりのある人ばかりが使っていたかもしれないが、今まで以上にその存在がよりニッチな方向に向かっている事は間違いない。DM100はそうした状況の中に投下された新型であり、必要・不必要がより明確になったデバイスと言っても過言ではないかしもれない。
ただエッセイスト達の間ではニーズもあるだろうと思われる。エッセイストはまさしく“文章入力に強いこだわりのある人”であるわけだが、女優であり声優でありエッセイストでもある池澤春菜氏はTwitterで「新しいポメラ、ちょっと欲しくなっちゃう……(亝ω亝。)」と語っている。
私は…実はちょっと欲しいなと思ってはいる。
ただ、私の場合先にiPadかな? とも思っている。
iPhone4からiPhone4Sに行かなかったのは、iPhoneという電話デバイスが自分には不要かもしれないと思ったからだが、iOS搭載デバイスは欲しいと思っている。
次期iPad3が出た時、まずそれを検討し、その後に価格が下がってきた所のDM100を…というのが理想のパターンかもしれない。
もちろん、単体のDM100も私的には魅力ある製品と思っているが、使用状況を考えるとiPadの方が多いような気がしている。
何はともあれ、現時点でポメラを活用していて、なおかつDM10からDM20に乗り換え損ねた人には朗報かもしれない。もちろんDM20を使用している人にも朗報には違いないが、DM100は従来とは存在そのものが異質。気になる人はとにかくチェックしてみると良いだろう。
折り畳みキーボード廃止?
バックライト搭載?
なんか、ポメラじゃないみたいだw
私は初代ポメラのDM10を使ってますが、DM100は随分と機能強化されてるみたいですね。
手軽にさっとメモ出来て、稼働時間が長いのが特徴でしたが、従来製品とはやや方向性が変わってきた感じがします。
色々と便利機能が追加されて用途が増えるのは良いんですが、シンプルで駆動時間が長い現行のが私好みかな。
何よりも…折り畳みキーボードのギミックが好きなんで!(爆)
ちなみに、携帯性については…現行はポケットにギリギリ入るものの、厚みがあるので、薄くなったDM100のが良いかも。
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>シンプルで駆動時間が長い現行のが私好みかな。
稼働時間については、前機種より長くなってるんですよ。
その点だけを見ても魅力と感じる人はいると思いますよ。
ま、折りたたみキーボードギミックが絶対というのならば、前機種一択となるわけですがw
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DM-20を持っています。
1年経たないうちにキーが反応しなくなったので、折りたたみはやっぱり弱いのかな? と思っていたのですが、ストレートになったということは、やはりそうだったのかという気がしてなりません。
画面サイズが前より大きくなり、バックライトが付き、Bluetoothが付き、それでいてバッテリー時間も余り変わらないようなので、あとは価格との折り合いが付けば欲しいのですが。。。
他の方は、ポメラの価格についてどう思っているのでしょうか。
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>yuki.kさん
ポメラの折りたたみキーボードが弱い…というのは、多分間違いない事でしょう。
ただ、今回ストレート端末になったのは、多分折りたたみキーボードが弱いから、ではないと思います。
もし、それが理由ならDM-10からDM-20に変わる時にストレート端末にしていた事でしょうし、その後に発売されているDM-5にしても折りたたみキーボードを継続したりはしないでしょう。
今回、ストレート端末にしたのは、周辺デバイスとの差別化、もしくは機能を搭載するための実装基板の面積稼ぎなのではないかと私は思います。
どちらにしても、方向性を若干変えてきている事にデザインを大きく変えてきた理由があるように思います。
価格については…正直高いと思いますが、それは近年のスマートフォンやタブレットデバイスの価格と比較しているからでしょう。
それらが存在する前は、ポメラの価格は今ほど高いと思わなかったはずです。
デバイスの全体的な価値が近年大きく変わってきているので、それらが価格を高く感じさせているのではないかと思います。
ただ、このポメラというデバイスはものすごくニッチな製品ですので、スマートフォンなどの販売数から比べて個体の価格が高くなるのは仕方のない所ではないかと思います。
しかもタブレットデバイスなどは、メカニカルなキーなどをなくす事で部品点数を減らし、全体のコストを下げています。逆にポメラはキーボードでの文字の打ちやすさを維持するために、部品点数を逆に多くしている為、価格は高めになってしまいます。この辺りも高く感じる要素になっているのではないかと思いますが…どうでしょう?
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