HDDが大容量だという事に、イマドキ異論を唱える人はいないと思うが、その大容量HDDの総容量数が更新された。
日立グローバルストレージテクノロジーズが純正パッケージで最大容量4TBのHDD“0S03361”を発売した。公式サイトにはまだデータシートすら公開していないシロモノだが、おそらく1プラッタあたり1TBではないかと予測する。
発売されたのは化粧箱に収められたリテールパッケージ品でおそらくはDeskstar 5Kシリーズに属する製品と思われる。価格は26,800円前後。
スペックとして、キャッシュ容量は32MB、SATAインターフェイスは6Gbpsに対応している。また、ノイズレベルと消費電力のバランスが取れるようにスピンドルモーターの
回転数を自動制御する“CoolSpin Technology”を持ち、4KBセクタ技術の“Advanced
Format”が採用されている。
スピンドルモーターの自動制御や4KBセクタ技術などが採用されているのはわかるが、これだけの大容量HDDとなる場合、果たしてキャッシュが32MBでいいんだろうか? と多少疑問に思えるのは私だけだろうか?
Western Digital製のHDDでは2TBモデルでも64MBのキャッシュ容量を持つ製品もあるワケで、その辺り、キャッシュがどんな働きをしているかにもよるのかもしれないが、個人的には不足してるのではないか? と思ったり。
あと5Kシリーズという事は回転数もおそらくは5,400rpm程度ではないかと思うが、ここまで大容量だとその辺りのスペックが従来通りでいいのか? という所も気になる所だ。
ま、コストとのバランスを考えてこの形に収まったのだろうが、今後のバリエーションモデルに期待したいところだ。
ところで、日立グローバルストレージテクノロジーズのHDD事業は来年3月を以てWestern Digitalに譲渡される。
もともと9月末にはHDDは2大勢力の商品となっていたハズなのだが、5月に欧州委員会による企業結合に関する詳細審査に入り、その際に10月~12月
に延期となった。しかし今回、Western
Digitalが欧州委員会およびその他の規制当局から、許認可の取得手続きを行なう為に、さらに完了見込み時期を2012年の3月に延期という運びと
なった。
ま、どっちにしても時間の問題ではあるが、世界のHDDは2大勢力の激突という形へと進んで行く。
大容量化という所では、劇的進化があるのかどうか定かではないが、今いちばん問題となっているのはその速度。おそらくこの部分に関しては2大勢力とも同じ認識ではないかと思う。
その解決策としてハイブリッド化が進んで行くだろうと思われる。いわゆるSSDをキャッシュとして搭載するタイプのHDDである。
既にSeagateからは4GBのSSDを組み合わせたハイブリッドHDDが発売されているが、結構なパフォーマンスアップになるようだ。また
IntelもZ68チップセット対応ではあるもののIntel Smart Response
Technologyという、別体SSDをキャッシュとして使用する技術が存在し、これもまたかなりのパフォーマンスアップになる事がわかっている。
日立GSTのHDD事業を吸収したWestern Digitalからも、そうしたハイブリッドHDDが発売されるのではないかと思われるが、そうした動きも今後気になるところである。
Western Digitalもタイの洪水の影響は受けたが、今はもう一部施設が排水を終了し、安定供給に向けて生産を開始している。
高騰したHDDが再び安定するまではもう少し時間はかかるかもしれないが、それもそんな遠くの話ではないだろう。
何はともあれ、より強化されたWestern DigitalがSeagateと真っ向勝負してもっと良い製品を出してくれる事に期待したい。