Appleよ、コレはマズイ。
意図的に性能を低下
Appleが、バッテリーが劣化した古いiPhoneを意図的に性能低下させ、動作させている事を認めた。
これはいろんな検証サイトなどが調査した報告が元になっていて、もともとユーザーの一人が所有するiPhone6 Plusについてバッテリー交換する前とした後でCPUベンチマークを実施した結果、バッテリー交換後のスコアが大幅に向上した事を発見した事に起因する。
Apple側としては、意図しないシャットダウンが発生しないように、あえてCPU性能を下げたという事のようだが、当然だがユーザーはそんな事何も知らされずに処置されており、その事で米国では集団訴訟に発展するという話まで出ている。
個人的にAppleが取った措置は、内容としては理解できないわけではないが、Windowsで言うならば、ノートPCの性能を意図的に落とされている事と同義であり、果たしてどれだけの人がそれに納得できるのか? という事と同じではないかと思ってしまう。
iPhoneは電話としての側面があるため、突然のシャットダウンはPCよりも望ましくないというのもわかる。
だが、それをユーザーの預かり知らぬところで実施した事は大きな問題であるように思えてならない。
インストールしない恐れ
Appleとしては、この性能低下措置を知らせる事で、ユーザーがiOSをアップデートしなくなる可能性を考えたという見方もできる。
OSのアップデートが行われない事でセキュリティ的に問題が解決されない事も起き得るとなると、Appleからすればそれを恐れるというのも分かるが、安定性を取る為にユーザーに未承認のまま性能を落とすという行為をすれば、Apple側が意図的に性能を落として新製品へと買い換えを促していると言われても、否定しようのない話になってしまう。
製品を提供する側としては、安定する製品を使ってもらいたいという気持ちもわかる。
だが、消耗品が劣化する製品である以上、ユーザーはある程度その事を理解して使用しているという前提もメーカーとしては考慮すべきであり、その劣化によって意図しないシャットダウンが発生するのならば、ユーザーだってバッテリー交換を自分からするだろうし、買い換えが必要と判断すれば買い換えるだろう。
問題は、Appleがバッテリー交換をなるべく実施しなくてもいいように性能を落としてユーザーに製品を使わせていたという事実であり、その事が「長持ち=良い製品」という固定概念をユーザーが無制限に持つだろうという事を信じて疑っていなかった事にある。
もちろん、なるべく安心して長期に使えるという事がユーザーにとって重要な事だと認識している事は問題ではない。ただそれを意識する余り、とったその実践方法に問題があったのである。
バッテリー交換
そもそも、現在のスマホはバッテリー交換が容易ではない。
日本でスマホが広まる前、つまりガラケーが全盛期だったころ、バッテリー交換ができない機種が一体どれだけあっただろうか?
当時の日本人はほとんどの人がケータイのバッテリーは2年くらいで交換時期に来るという事を知っていた。だからその時期になれば新しいケータイへ買い換えるか、バッテリーを交換するかを選んでいた人が大多数ではないかと思う。
しかし、スマホが広まってくると、バッテリーが交換できない機種ばかりになり、それはおそらく薄型化が原因だろうと消費者側としては理解しているものの、それが当たり前になり、結果、バッテリーの交換をするぐらいなら新機種へ買い換えるか…という流れがあまりにも一般的になりすぎた。
世界的にはどうかわからないが、日本においては、おそらくそういう風に考えている人が大多数ではないかと思う。
私が思うに、メーカーによるバッテリー交換が必要だったとしても、現在のスマホはもっと手軽にバッテリー交換が出来る様な体制を整えるべきだと思う。
現在のスマホのハードウェアは、十二分に高性能になっていて、これで十分という考えに至る人だっている。そうした人は、バッテリーさえ交換できれば、今の製品をもっと使って行きたいと考えているわけで、そういう選択肢を潰してしまう状況は、あまり褒められたものではない。
ただ、ユーザー自らがバッテリー交換ができる状態にしてしまうと、ユーザーが求める防水機能に問題が出たり、また分解に近い形で別のトラブルを引き起こす可能性があるという問題がある事は間違いない。
ユーザーに自由を与えると、必ずしも真っ当に使用する輩ばかりではないので、このあたりはメーカーとしても悩ましい所かも知れない。
そういえば…
私個人のお話になるのだが、実はiPhone6 Plusで「THE IDOLM@STER シンデレラガールズ スターライトステージ」をプレイしているのだが、以前、急に3Dモデリングでプレイしづらい状況になり、現在では2Dモードでプレイするのが当たり前になり、最近では2D簡易モードでないとリズムに合わせづらくなったな、と実感している。
この「急に3Dモデリングでプレイしづらい状況」になったタイミングが、iOSの更新時期に重なっていたかどうかは今となっては忘れてしまったが、確かに以前よりもパフォーマンスが出ていない実感はある。
オカシイなぁ…とは思っていたのだが、こういう話が浮上すると、確かに供給されるアプリケーションを以前と同等に使っていくために、新機種への導入を考えなければならない、となると、それはそれでオカシイ話に思えてならない。
逆に、今後iPhoneを使っていこうという気がなくなってしまう事にも繋がりかねないと思うのだが、Appleはそのあたりは何も配慮しないのだろうか?
だって、ヘタすると買って一年もしない内にiOSのバージョンアップが実施され、バッテリー劣化がちょっとでも確認されてしまえば、パフォーマンスを落とされる可能性があるのである。購入意欲がなくなるキッカケになりかねない話だ。
Appleは、ユーザー側に警告を与える形でバッテリー交換を促したりする術が他にもあったハズである。
そこを何故同意もなくパフォーマンス低下という方法を採ったのだろうか?
悪意をもって考えるなら、やはり買い換えを促しているのでは? としか思えず、納得できない人がいても、私は不思議に思ったりはしない。
Appleの姿勢を「仕方なし」と考えるか、それとも「他にも方法はあった」とするか、また「許せない」とするかは人によって様々だろうと思う。
だが、結果として現時点ではバッテリーの劣化&iOSのバージョンアップで、間違いなくパフォーマンスが低下するという状況で世界中のiPhoneが動作している。
事の重大さを理解していない人が多いかも知れないが、これは今後iPhoneを使っていく上で、利便性と高性能、安定性と買い換えという行為を天稟にかけて使い続けるという事の意味である。
私としてはぜひ性能を低下させるのではなく、バッテリー交換を促す警告を出すようにして欲しいと思うのだが…他ユーザーの方々はどう考えるだろうか?