ハイエンドPCが買えない時代が来るかも知れないという事。
販売規制
米国の一部、正確に言うとカリフォルニア州、コロラド州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州、ハワイ州に、DELLのゲーミングデスクトップPC「Alienware Aurora R10」、「Alienware Aurora R12」の2機種が出荷できない事態になっているらしい。
GIZMODO
https://www.gizmodo.jp/2021/07/energy-regulations-for-gaming-pc.html
その理由は、カリフォルニアエネルギー委員会(CEC)が定めるエネルギー効率規制が厳格化した結果、消費電力が大きすぎて利用できない事態になったためらしい。
現在は、前述の州に留まっているこの規制も、他の多くの州で適用が進んでいく、或いは似たような規制基準が適用されていくと、ハイエンドPCそのものが米国では利用できないような時代がやってくるかも知れない。
このカリフォルニアエネルギー委員会の基準だと、年間消費電力量が75kWhを上回るシステムの製造販売が規制されていて、これに該当するゲーミングPCの購入が制限されてしまうようだ。
コレ、イマドキのハイエンドGPUが組み込まれた製品は軒並み引っかかるのではなかろうか?
現実に合っていない
ただ、カリフォルニアエネルギー委員会のエネルギー効率規制には現実の製品に対して見合っていない部分もある。
例えば、2019年7月1日以降に製造されるモニタについて、厳格に適用すると誤差含めて270nitを上回る明るさのモニタは販売できない事になる。
しかし、現実には最近はHDRに対応する製品が増えていて、300nitを超える製品が普通になってきている。これは今後HDR対応モニタが増えれば増えるほど、明るいモニタが主流になる事は明白で、もしこの規制がそのまま適用されてしまうと、古いモニタ製品しか利用できない、なんて事態になる。
また、PC自体もより省電力で動作するよう、各メーカーがCPUやAPUのワットパフォーマンスを向上させる努力を続けているが、これと併行するようにして最高の処理性能を持つCPUの開発製造を行っている。こうしたハイエンドCPUは、通常の動作ではできるだけ省電力で動作させる機能は働くが、一方でピークパフォーマンス時には電力をバカスカ喰うというのが実態である。
この実態があって、この規制である。変な言い方をすれば、ユーザーは購入できる製品そのものに制限を受ける事になり、最新機器を導入できない可能性が出てくるわけである。
対象外
このカリフォルニアエネルギー委員会のエネルギー効率規制には対象外となる製品も存在する。
それがPS5やXboxなどのコンソールゲーム機と、自作PCである。
コンソールゲーム機は、その消費電力がまだ抑えられている事は事実なので理解もできるが、自作PCが対象外だというのは、実に変な話である。
パーツ単位では規制が適用できない、という理由なのかもしれないが、自作PCであれば、規制枠を超え、遙かに高い消費電力で運用されるPCは予算さえあれば簡単に作れてしまう。
それこそ、メーカー製PCよりもずっと消費電力の高いシステムを構築する事が出来るにも拘わらず、自作PCは対象外だとすると、ちょっとひねった考えを持つメーカーだと、ユニット毎に発売してそのユニットを組み合わせて利用する製品を作って対応してくるかもしれない。ユニット単位であれば、それはPCというよりは部品ユニット、という言い逃れができるからである。
とにかく今の規制枠として自作PCが対象外だとすると、不公平感がただならぬ感じに思えるのは私だけだろうか?
何はともあれ、今の所米国のみの規制であり、日本では適用されるような規制は存在しない。
だが、このトレンドが全世界に波及するようであれば、日本とて検討される内容ではないかと思う。特に今の環境大臣なら、そういう風に思っても何ら不思議ではないワケで…。