GeForce GTX 960 Tiという存在

この話がもっと早く出てきていれば…

GeForce GTX 970を選んだワケ

NVIDIAがGeForceの900シリーズを発売して結構な時間が経っている。
シングルとして980 Tiを頂点に980、970、960、950と続いているワケだが、このナンバーシリーズで性能が段違いに違うのは、970と960である。
というのも当たり前の話で、この二つのGPUは元となるコアが異なっている。
GM204を使用する970に対しGM206を使用する960は、CUDAコア数も当然異なるが、メモリ帯域も256bitと128bitと大きく異なる。
ゲームの上では960でもかなりの動作が期待出来る…と言われてはいるものの、実際に4Kモニターという高解像度領域を視野に入れたとき、残念だが960は力不足を否めない。何しろ970でも「行けなくもないけどしんどいかな?」なんて思う事があるのだから、960では力不足を感じてもそれは当然の結果である。
実際、私が970を導入した最大の理由は、この960ではパワー不足かも…と感じたからである。
当初は予算的にも960という選択肢で進むつもりだったのだが、その性能からどうしても960を選択する結論に行き着かなかった。
この970と960の間の性能差は、私にとって超えることのできない溝だったワケである。

当初、NVIDIAから発売されるGPUの性能において、960の性能はここまで970と差のあるものではなかったと言われている。
ところが960のGPUにGM206を採用する事が決まった段階で、どうしても今の性能差になってしまう事か見えた際、NVIDIAは960 Tiという製品の投入を検討していたという話がある。Tiが付く型番は、NVIDIAの伝統としてそのナンバリングの上位モデルという位置付けで、960 Tiは960より性能が上で、970の直下に来る性能という立ち位置になる。
こういう性能の谷に入り込む製品として、960 Tiが計画されたとしても、理解できるぐらい、970と960の差があった、という事でもある。
ところが、この960 Tiの話はいつの間にかフェードアウトしていた。
出てくるだろうと思っていたが、結果として出てこなかったため、私は970を選ばざるを得なくなったのである。

ライバル不在だった

何故960 Tiが登場しなかったのか?
その理由が、どうも「ライバル不在の製品帯域だった」と言われている。
は? と言いたくなる人もいるだろう。
商売で考えるなら、ライバル不在の領域というのは売る条件としては最高に良いはずである。
ところがNVIDIAはライバル不在が理由でその製品の発売を見送ったというのである。
何故なのか?
この理由は実は簡単な話で、半導体の製品を作るという事のコストが莫大なものだからである。
ライバルがその性能領域に製品群を持っていたならば、その独占を防ぐ為に製品は投入するが、たまたまその領域にライバルが不在だった…しかもその上位と下位は自分達の製品が存在する、という状況であるから、あえてコストをかけて製品を出す必要がない、と考えたと思われる。
そう言われれば、納得できない話ではないのだが、それ故に性能・価格に大きな差のあるラインナップの谷を作った事は、消費者側からすると残念極まりない話である。

そして今頃噂が浮上

ところが、ここに来て960 Tiの噂が再浮上した。
理由は、ライバルであるAMDがRadeon R9 380Xをリリースしたからである。この製品は、まさしく970より性能が下で960より性能が上というポジションであり、価格は970より安価に設定されている。
さぁ、ライバルが穴を埋めてきた。こうなると、NVIDIAとしても製品を考えなければならない、それならば中間製品である960 Tiを今こそ発売させよう…という事のようである。
もっとも、まだ噂の領域から出ない話でもある。
来年1月には登場する、という話だが、噂のレベルを超えない話だから、ひょっとしたらそのまま製品として出てこないかもしれないし、颯爽と出てくるかも知れない。
この話自体が噂の領域を出ないのは、GeForce 900シリーズ全体の価格改定の話も出ている事にも起因している。
さらに低価格化する中で、投入する意味があるのか? という疑問がどうしても付いて回る。それに市場でGeForce GTX 970がかなり価格的に熟れてきている。その中にコストをかけて今更960 Tiを出す意味があるのか?
素人の私が考えてみても疑問の残る話だ。

ただ、個人的にはこういう中間製品はどんどんと出てきて欲しい製品である。
選択肢が広がるという事に意味があり、幅広いラインナップから自分が必要なレンジの製品を選ぶ…最初からそれが出来ていれば、私も悩まずにすんだのだが。
何はともあれ、とりあえずは来年1月を待ってみよう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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