人事考課と迷走と

 4月になり、今月の給与から昇給があった。
 今の時代、昇給があるだけマシ…という人もいるかもしれない。たしかにその通りかもしれない。しかし、同じ昇給する会社にいて、周囲との差がつき始めるのも、こうした昇給の時である。
 私は営業という部署にいながら、その業務の大半は営業という業務を行えずにいる。
 気がつけば、他営業のスィーパー的な業務を引き受け、また部署長の補佐的業務を引き受け、或いは全社的なITサポートの業務を引き受け、今年からは新人の教育を引き受け、最後には取締役の補佐を請け負う業務を行っている為、残念ながら本職の営業という所の仕事がかなり疎かになってしまっている。これらに加え、最近ではISOの業務が重くのし掛かってくるようになり、何が私の主業務か分からないぐらいの状態である。
 そんな状況での昇給考課である。
 営業という部署にいる以上、数字というものが必ずついて回る事は間違いなく、その数字だけを見れば、私は評価されようがない状態となる。
 で、今回の私の評価は、多分結論から言えば部署内最低である。
 数字を残せない私が無能なのかもしれない。そもそも営業という職務が向いていないのかもしれないが、それでも数字は嘘をつかない。だから数字で判断すれば間違いなく最低である。
 だから結果として出てきた部署内最低という評価に文句を言える立場ではない事は十二分に理解している。

 しかし、ココで一つ気になる事がある。他営業のスィーパー業務は、評価に値しないのだろうか?
 私が手助けした他営業の評価は恐らく部署内でも相当な高ポイントなハズだ。それだけでなく、私は部署全体の運用においても補佐的業務を行ってきている。それでも、そうした業務は何一つ評価されていないとしか言いようがない。何しろ、部署内最低の評価なのだから。
 そう考えると、他の人の手助けなんてしてる場合じゃない、という事になってしまう。
 自分を評価して貰えるようにするには、とにかく数字である。嘘の付かない数字をはじき出し、決定的な評価とする。これに勝るものがないのである。


 全体の為にいろいろやらないといけない。
 そう考えてここ数年やってきたが、ココまでで出た結論からするとその行動そのものが評価される事に繋がっていないと言わざるを得ない。
 結局は数字である。
 決して数字は嘘をつかない。そこにこそ、評価の真髄がある。
 他人の為に何かをする事が評価される事はない。少なくとも今の会社では。
 取締役から特別に呼ばれ、いろいろな特別業務をやらされる事で他社員から変な目で見られ、結果的にそれを評価される事もなく、昇給に結び付かず、挙げ句の果てに最低評価である。
 確かに数字は嘘をつかない。だから最低評価である事は覆らない。
 ただ、その最低評価の中に、自分が今までやってきた事(やらざるを得なかった事)が含まれていると考えたら、残念ながらそう簡単に納得できるものではないのも事実だ。
 昇給が目的ではない、といえばカッコつけすぎかもしれないが、私としては金額の問題ではないのである。自分の生きる(生きてきた)道を否定されたという認識の方が酷くショックで、辛いのである。
 確かに高給取りになりたいという夢と希望はあるが、それよりも私は生きる道が必要であり、欲しいのである。既に私の未来はある程度決まっている。それこそ奇跡と呼べるような出来事でもない限り、残念ながらもう先が見えてしまっている。そんな未来だからこそ、私は生きる道が必要であり、そこに価値を見出している。
 しかし、今回その生きる道を否定されてしまった。
 自分的には信じていたものを根底から覆されたという感じでしかない。
 周囲の求めるものを満たすため、ただそのためだけに奔走してきた結果がコレである。

 さて、私はこれから先どうすべきなのだろうか?
 心がココまで迷走したのは、実に久しぶりの事である。
 この状態、この状況を如何にするか?
 この答えはまだ当分出そうにない。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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4 Responses

  1. より:

    お久しぶりです。
    …大変なようですね。
    評価ってやはり難しいって事ですよね。
    私はある意味正しく評価してくれる環境にいるのではないかと思っています。そのベースを作ってくれたのは武上さんはじめとした、会社創立時のメンバーの人達なんじゃないかと思います。感謝です。
    でも、普通に考えると武上さんの行動を評価するのは、実際難しいんじゃないかと思います。
    最初から部下を持つ役職なら評価されるでしょうが、そうした状況でない場合は表だって結果が出ないのですから、評価は難しいと思います。
    例えば武上さんが他の人5人をサポートして、その人たちが125%の業績を残したなら合計で625%だから、武上さん含めても+25%の結果となるので、そういう結論なら評価されてもよいと思います。
    でもこの考え方が出来る事そのものが難しいという事は、以前に武上さん自身が私に言っていたことです。結局、一人は一人としてカウントしてしまうと、そういう評価は生まれない…たしか、私にそう教えてくれましたよね?
    私に教えてくれた人なのだから、私が言うまでもなく武上さん自身がそれをよく分かっているはずです。つまり、今の環境はそういう事なんだと思います。
    そういう視点で私なりにちょっと厳しい事を一つ。
    武上さんはそうした背景を分かっていて今回のようなコメントをしているなら、武上さん、随分と考え方が甘くなったんじゃないかと思います。
    私にいろいろと教えてくれていた時の武上さんなら、自分の数字というところをもっとシビアに考えていたと思います。そしてその数値目標が達成出来ないときは、別のものを以て評価に換える努力をしていたと思います。
    今回の場合、そういう努力はされたんでしょうか?
    スィーパー業務は、私としてはとても重要な業務だと思っています。特に私が知る武上さんの知識量は他の人を補うに十二分なものがあったと思いますし、今もそうなのじゃないかと思います。だったら、その業務そのものの意味を評価に換える努力をすべきだったと思います。
    状況を知らずに書いているだけなので、酷い事を書いているかもしれません。ごめんなさい。
    でも、武上さんを知る者の一人としては、評価されない人だとはとても思えないのです。
    もう一緒に仕事しなくなってかなりの時間が経ちますが、武上さん自身が随分と変わってしまっているように思います。
    昔の武上さんに戻ったなら、今回の件はもっと別の視点で見ているんじゃないかと思います。

  2. 武上 より:

    遙さん、お久しぶりです。
    確かに私は以前から比べて随分と変わったかもしれません。遙さん以外の人にも「弱くなった」とか「丸くなった」とか「ダメになった」とかいろいろ言われましたし、今でも言われています。
    多分、そうなのでしょう。
    新しい…といっても、今から5年近く前の事ですが、その環境に触れたとき、私なりの大きなショックを受け、今いる環境では以前のような振る舞いが出来なくなってしまっています。トラウマというヤツでしょうか。
    なので、遙さんの言っている事は間違っていないと思います。私自身にも大いに問題はあるでしょう。
    ただ…一つだけ語っていない事実を言わせてください。
    今の会社では、評価・査定が出た後に面接するんです。最終的な評価・査定が行われる前にやることは、書面による自己評価だけなのですが、それも5点方式の選択式。コメントを書く欄もあるにはありますが、そこでどれだけの事を語る事ができるのか?
    正直、今の環境に5年いますが未だに慣れない方法です。
    ですから、当然の事ながら面接時にどんなに自己アピールしようが結果は覆りません。ただ説明を聞き、言いたい事を言ってそれで終わりです。
    遙さんの職場では考えられないような方法ではないかと思います。
    かの職場はそうした評価の仕方をしない流れになっているはずです。それは先人達が築き上げてきた、貴方たちへの資産です。
    でも、そうした資産を全ての企業が持っている事はありません。その企業にはその企業のやり方があり方針があります。
    なので、今の私の環境では当てはまらないのです。
    遙さんが私を擁護してくれるのはとても嬉しく思いますが、実際問題、私がダメな人間になってきているのは間違いないでしょう。
    5年前のトラウマに始まって、今の環境に順応してしまっているのかもしれません。
    この状況を打破する為に、どうすべきか? 今まさにそれを考えている所です。
    ひょっとしたら、今の環境そのものを壊してしまわないといけないかも知れません。
    こんな事を言う事そのものが弱くなった事を証明してしまうかもしれませんが、前職を辞める原因となった自分の親がいなければ、多分今の環境全てを捨てて、新天地に向かっているかもしれません。
    しかし、そうそう捨てる事ができないのも分かっているので、今は甘んじて受けるしかないかもしれません。
    それか…精神的に一人で生きる事が辛くなってきたのかも知れません。
    以前は、自分から特別譲歩しなくても互いに理解しあえる人達が周囲にいましたが、今の環境は私の感覚と歩みを共に出来る人がほぼいません。
    疲れてきたのかも…。

  3. より:

    戴いた返信を読んで、ちょっとびっくりした所もありますが、状況としてよくない感じですね…いや、どちらかというと武上さんの、ですけど。
    評価・査定で面接するのではなく、それらが終了してから行う面接にどんな意味があるんでしょうか?
    その仕組みにびっくりです。
    私の勤務先では絶対に考えられない事です。
    今の武上さんの話だと、確かに武上さんをはじめとした先人達にそういうシステムを作って戴いた事で、私たちは助かっているのかもしれません。
    こんな事を言うのは無責任かもしれませんが、武上さんはもっと正しい評価を受けられる所に行った方がいいかもしれません。私が知る限りで、武上さんが評価されない人というのは考えられません。
    お世辞でも何でもなく、私の周囲でも同じ事を言う人はたくさんいると思います。
    どうです?
    もう一度戻ってきませんか?
    武上さんが戻ってくる、という話でそれを拒否する人はいないと思いますよ。
    というか、噂では私の勤務先だけじゃなくて、以前取引していた所からも、オファーの話がよくあるらしいじゃないですか。
    そういう所で再稼働する方が、武上さんの精神的にも良いように思います。
    もっとご自愛下さい。私、本気で言ってますからね?

  4. 武上 より:

    遙さんは私を随分と高く買ってくれてますが…わたしも昔から比べて随分とヘタレてるので、昔の印象だけでは現状を判断できないかもしれません。
    評価・査定後に行われる面接に意味があるのか? という事については、私も疑問に思いますが、全く行われないよりはマシかな…ぐらいには考えてます。
    意見を言える場所がまるでないよりはマシでしょ?
    労働組合があるような大きな会社なら、こんな事そのものを悩まなくてもいいのかもしれませんが、そういう組織がない会社の場合は、意見を言う場所とかタイミングにはいろいろ気をつかうのが現実です。
    自分でも今の環境が私に向いているとは思ってません。でも思い通りに事が進む人生を歩んでいる人は世の中にどれだけいるんだろう? とも思います。
    そういう意味で、私に遙さんのような事を言ってくれる人がいるだけ幸せなのかもしれません。
    それと…多分私は戻ることはないと思います。
    業界に戻ることはあっても、会社には戻らないでしょう。
    結構いろんな所から毎年オファーをもらっていて「いつ戻ってくるんだ?」とか言われてます。
    自分としても、業界に戻るのはアリなのかな? と思う事はありますが、今の状況がソレを許さないというのもあるし、そのまま業界に戻るのはどうも逃げているような気もして、今一つ気が引けているのです。
    ま、こんな状況なら逃げても誰も責める事はないでしょうけど…。
    とりあえず今は周辺にいろいろ事情を相談したりして、今後を決めたいと思っています。

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