私自身、重度のゲーマーであり、その守備範囲は電源を使用するものがしないものまで、かなりの幅がある。そんな重度ゲーマーにも憧れのアイテムがあるのだ。
見事なオーダーテーブル
米GeekChicがテーブルゲームを快適にプレイするためのゲーミングテーブル「THE SULTAN」の発売を開始した。
その価格は、6人掛けの標準構成で14,750ドル(約150万円)で、受注生産開始時に5,500ドルのデポジット(要するに保証金とか預かり金の意味)が必要となる。
まずもって、ゲーミングテーブルという発想が日本にはあまりない話かもしれないが、米GeekChicという会社は、まさしく“Geek(マニア)”向けのための家具を受注生産で販売している家具メーカーである。欧米では友人を自宅に招いてテーブルトークRPGやボードゲーム、あるいはカードゲームを楽しむ風習が昔からあり、だからこそ、そうした友人を招く為の家具なんてものでビジネスが成立するのである。但し、富裕層でなければそうした家具を準備するなんて事はあり得ない分けだが。
そんな米GeekChicが販売を開始したのが前述のゲーミングテーブル「THE SULTAN」で、このテーブルがまたたまげた仕様だったりする。
まず、6人掛け(GMステーション2、プレーヤーステーション2)の「PRIME」という製品から、10人掛け(プレーヤーステーション10)の「COLOSSEUM」まで5種類の製品バリエーションがあって、そのベース製品を決定した後、引き出しや収納式のデスク、またカードホルダーやサイコロホルダー、カップホルダーやワインホルダーなどをユーザーの希望に応じてカスタマイズする。
このテーブルの素材は木材だが、その木材もクルミ、アメリカンチェリー、カエデから選べ、テーブルに好みのマットを敷いたり、その他ゲームで使用する地図などを貼り込んだりする事もできる。
また、テーブルにミニチュア等のジオラマを配置する枠などが作れるため、それらでTRPGをプレイしたりする事もできる。まさにテーブルゲームをプレイする専用テーブルという事ができるだろう。
テーブルは見事だが…
このテーブル、まさにゲーマーなら是非とも欲しい逸品なのだが、問題点が2つある。
一つはもちろんその価格。
標準構成で日本円にして150万円となると、オプション付けたら幾らになるんだ?
いくら富裕層向けとしたとしても、日本の富裕層でこのゲーミングテーブルを購入する人はまずいないかな? と思える。
もう一つの問題は、このテーブルを置く場所である。
6人掛け以上の大きさになる事は間違いないし、いろいろなギミックを内包したテーブルだから、通常の6人掛けテーブルよりずっと大きいものになる。
まして10人掛けテーブルとなると、その大きさはグランドピアノの面積を優に超えるワケで、そうした空間を用意出来る人でないと購入しても置けないという問題がある。
流石にこのテーブルを買おうという人で置き場に困るような住環境な人はいないのかもしれないが、考え方が日本人ライクではない製品である事は間違いない。
さすがは欧米仕様というべきだろう。
日本に定着できないTRPG
やはり、日本という住環境ではなかなかTRPGやテーブルゲームは定着しにくい。
これは私自身の実感も含めての話で、私の知人も同じ事を言っている。
私が学生の頃は、放課後の学校という場所が存在していて、手軽にその環境を得られる状態だったからこそ、私や知人も気軽にTRPGに興じる事ができたが、その環境が亡くなってしまうと、なかなか人も集まらないし、また集める場所もない。
結局、日本人のライフスタイルがTRPGやテーブルゲームを気軽にプレイできるスタイルではない事が、この手のジャンルが普及しなかった最大の原因ではないかと思っている。
個人的には、せめてカードゲームくらいはもっと手軽にプレイできる環境が構築できる世間になってくれると有り難いな、とは思うが、それすらなかなか受け入れられる環境が存在しない。
クトゥルフのFluxxを購入したものの、未だに未プレイなのが残念でならない。
テーブルゲームをプレイする人や人数に関しては問題視する必要はないだろうが、一番の問題は場所の問題だ。
これが解決できれば、プレイ人口はかなり増えると思うし、もっと想像力豊かな人材を育成できる一つの流れになると私は思っている。
また、TRPGはコミュニケーションを育む要素も持っている。ロールプレイ上で決して一人では解決できない課題をコミュニケーションで切り開いていく様は、まさに人と人とのコミュニケーションから生まれる発想の転換だったり、あるいは集団力だったりする。
ある米国の就職に関して、オンラインゲームのギルドマスター経験者がプロジェクトを統括する人材として認められ就職を決めた、という話がある。ハッキリいって、オンラインゲームのギルドマスターは並々ならぬ統括力がないと勤まらない話で、たとえ好きなゲームの中の事であっても、集団を纏める能力がある事に違いはない。こうした、ゲームから育まれる能力も決してバカにはできない事例の一つと言えよう。
テーブルゲームでレクリエーション
今、人口が減少傾向にある日本にとって、集団力は限りある資源(人という資源)を有効に活用するための必須項目である。その集団力を強めるのは間違いなくコミュニケーション能力であり、リーダーシップである。
そうした集団力を活かす意味でも、もっと子供の頃からコミュニケーション能力を向上させる為に、テーブルを囲んで遊ぶという要素は必要不可欠ではないかと考える。
よくよく考えて欲しいのだが、こういう遊びは、会社などの社内行事で行われるレクリエーションとやっている事は全く同じなのである。
一人で解決できなくても、二人なら解決できるかもしれない。二人がダメでも三人、四人ならできるかもしれない。そうした発想を育む為にはテーブルを囲む事が必要であり、日本には残念ながらこの環境があまり用意されていない。
子供の頃から、こうしたテーブルを囲む事が問題解決の近道である事や、楽しい事である事を教え込む事で、未来の集団力を養えるなら、私は学校の取組の一つとしてTRPGを導入するのも良いアイディアではないかと思う。
まして、TRPGはゲームマスター(以下GMと略)が必要なわけで、GMは物語を構成する術だけでなく、プレイヤーという集団をプロデュースする能力を求められる。場合によっては集団を意図した方向に“さりげなく”導く必要もあるわけで、そうした集団誘導能力も求められる。ヒューマンスキルとしてGMはかなり高い能力を必要とするのである。
こうした必要とされる要素を多分に持つTRPGは、まさに遊びの中でスキルを磨く事ができる格好のアイテムではないかと思う。
多少、大げさに聞こえるかもしれないが、今の日本はまさしくそうした人材を必要としているし、グローバル社会に適応していく意味でも、ヒューマンスキルの向上は不可欠である。
このBlogを読んだ人には、ぜひテーブルゲームを世間に広めるよう、お願いしたい次第である。
…ま、見ている人は限られるわけだが(-_-;)
紹介記事 impress Game Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20140825_663422.html
過去、うちの会社の同僚は、自社研修の一環としてTRPGを導入できないか本気で上司にかけ合ったことがありました。
一番の目的はコミュニケーション能力の向上だったんですが、理解されずボツになりました。
ただ、諦めずに人狼裁判はやったそうです。
個人的には、仕事する上で最も必要とされるのはコミュニケーション能力だと思ってます。
話を聞くこと、自分の言いたいことを的確に伝えることが苦手だと、どんなに技術力があってもエンジニアとしては二流以下になってしまうので、それを鍛えるにはもってこいですね。
プレイできる環境が少ないのは残念だし、TRPG自体の知名度の低さや所謂ヲタクのゲームだと認識されがちなのも残念。
クリエイティブな要素がほとんど無いコンピューターRPGに慣れてる現代の子供には是非やってほしいもんです。
あ、クトゥルフのFLACは今度機会がある時にやりましょう。かなりやってみたいです。
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日本の企業でTRPGをレクリエーションの一貫として取り入れるというのはかなり稀な事例でしょうな。
多分、TRPGをよく知っている上司の元でならアリエルかも知れないけど、普通はそんな事はまずないから。
でも、私の前々職の職場では、会社の旅行の時に、宴会芸としてかならずチームで寸劇をやらされましたよ。
「人を楽しませる事」をチームで考え、人間関係を構築するのが目的なんだとか。
意味としてはTRPGと似てるかもしれんが…寸劇はもっとレベル高いよ orz
世間がもっとTRPGに理解ある社会になるといいんだけどな…。
プレイする場所とか、もっと増えるのに…。
というわけで、クトゥルフのFluxxはプレイする場所から考えねばなりません。
いい場所、ありません?
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スルタンと聞くと、どうしても、Light のゲームの名前と被ってしまう(爆)
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そっちは私は知らないからなぁ。
まぁ、製品名を付けた国も違う事だしな…。
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