現代人のためのTRPG

イマドキの人にも知ってもらうために。

ダークソウルTRPG

この情報、TRPG好きの私としては不覚にも直前まで全く知らなかった。
理由は簡単で、ダークソウルという作品が私には眼中になかったから。ダークファンタジーという世界観が嫌いなのではなく、ホラー的雰囲気が多分に入ると、私が拒絶反応を示す事があり、その観点からデモンズソウルおよびダークソウルは苦手な分野、というレッテルを貼っていたからに過ぎない。
オカルト好きなのにホラー嫌い。
私は何て矛盾した嗜好なのだろうか?(爆)

話を戻すが、そのダークソウルの中でも3作目である「ダークソウル3」の世界観をTRPG化したシステムが5月20日に発売する、という事を知ったのは、モロにその発売日である5月20日の事だった。
TRPGと聞くと、興味が尽きない私からすると、この事実を知った時はまさに「なんですとーっ!」と叫びそうな気分になったのだが、時既に遅し。
ほとんどの通販サイトでは取り扱いを辞めていたりして、在庫の残っているサイトをひたすら探すという行為を余儀なくされた。いや、余儀がなくなったのは私のせいなのだが。
私の住んでいるところがもっと都会だったら…と痛感したのもまさにこの時。
Twitterの流れるタイムラインの中に「とらのあな池袋Aにて店頭で購入された方には、出版社より配布された簡易シートをプレゼント」みたいなつぶやきを見つけ、気軽に行けない距離を呪ったのはココだけの話。
価格は1,400円(税別)と決して手の届かない価格ではない事から、意地でも買わねば…と考え、とりあえず在庫がありそうなネット書店でポチリ。何とか一冊押さえたといったところである。現代人は入口が違う嗚呼、メーカーの簡易シート、欲しかったなぁ。
ちなみに…都会の大型書店などでは、普通に山積みになっているらしい。
これが人口の差のなせる業である orz

なお、以後の記事は届いたばかりのルールブックにまだ目を通せてないので、あくまでもネットで集めた情報から書いている。

コミュニケーション

現代のコミュニケーションが足りない世の中において、私は結構このTRPGという役割を演じる遊びというのは重要な要素ではないかと思う時がある。
TRPGでは、遊びとは言いつつも、その遊びを成立させるのが言語であり、ダイスのようなランダム要素も取り入れているが、基本的には言語によって行動を決め、その行動の結果という要素にランダム要素を組み合わせているに過ぎない部分がある。だからコミュニケーションによって行動の成否も時と場合によっては左右されるし、その如何によってはそもそもランダム要素が入り込む余地がなくなる場合もある。それだけコミュニケーションはTRPGにとって必須であり、重要な要素と言える。
今回発売となったダークソウルTRPGは、それをさらに上回る“非言語コミュニケーション手段”が用意されていて、ある種「言葉の通じない相手に自分の意図を気付いて貰う」要素があったりする。
コレ、中々にして面白い要素で、一応オプションルールらしいのだが、原作の白霊を再現する要素として取り込まれている。
原作の白霊は、オンラインでの味方プレイヤーの事で、ゲーム中では言語による意思の疎通ができない関係にある(音声チャットにて実際には会話はできるが)。ゲーム内で可能なコミュニケーションはジェスチャーと呼ばれる身振り手振りであり、ダークソウルTRPGはこれをそのままルールとして採用し、白霊プレイヤーとのコミュニケーションをこのジャスチャーによって可能にするルールとなっている。
前述したようにオプションルールなので、このルールを採用しない時は言葉を使って伝えてもよい事にはなっているが、よりダークソウルらしい世界観を追求したいなら、このルールはぜひ使うべきだと思うし、これによってよりコミュニケーションの重要さを知る事ができると思う。
中々にして面白いシステムである。

フィールド毎の行動

TRPGの進行の仕方は、そのシステム毎でいろいろあるが、明確にルール化されていないものも多い。
これもコミュニケーションで成立できるシステムだからこその自由度なワケだが、ダークソウルTRPGでは、明確にルール化されている。単位はフィールド単位で冒険をしていくというスタイルで、その決められた単位のフィールドで、隣のフィールドに移動するか、探索するかを決め、探索する場合にイベントが発動する。隣に移動する行動を取るときにも、何かしらのイベントを発動させるのが本来のカタチだろうから、ここらへんはゲームマスター次第のさじ加減でコントロールすれば良いだろう。
チュートリアルシナリオでは、このフィールドを表現するのにトランプのカードを並べていくようだが、基本的には自分がどこにいるのか? という事がわかるようであれば、何でもよいのかもしれない(トランプのスートに意味を持たせてイベントを発生させるようであれば、代用は難しいかも知れないが)。
つまり、トランプを並べて移動できるフィールドマップを予め作ってしまえば、オリジナルのシナリオは意外と簡単に作れるのかも知れないが、原作がある作品であるため、その世界観に縛られた内容をつくりがちなタイトルである以上、完全なオリジナルというのは、イメージ的に難しいのかも知れない。

キャラメイクにも触れておく

話が前後してしまうが、ダークソウルと言えばその出自から初期アイテムが大きく異なるキャラクターメイクである。
デモンズソウルの時もそうだったが、持たざる者のインパクトの強さといったらありゃしないぐらいの出自違いの差は、その後のゲームの難易度を左右しかねない差を生み出す。
TRPG版も、この出自による差は顕在だが、注目すべきは「思い出」である。
まず最初に「名前」「性別」「年齢」あたりを決め、肝心の「素性」というものを決める。この素性は原作と同じく「戦士」「騎士」「傭兵」「伝令」「盗人」「刺客」「魔術師」「呪術師」「聖職者」「持たざる者」の10種類から決める。この素性で初期装備が決まり、あとは能力達を6面ダイスを使って決めていく。
この時点でキャラクターにはスキルが1つ与えられ、このスキルはキャラクターレベルが5の倍数に達するごとに1つ追加されていく。スキルは「ソウルの矢」「発火」など魔法的なものもあれば、「バックスタブ」「パリィ」といった剣技的なものもある。
ここまでは他TRPGのシステムにもありがちなメイキングだが、本作のもっとも特徴的なものがこのあとに控えている。
それが「思い出」で、思い出には素性ごとに用意される「素性思い出」というものと「汎用思い出」とよばれる2種類があり、メイキング時には「素性思い出」を1つと「汎用思い出」を2つの合計3つの思い出を与えられる。この「思い出」の組合せで、作成するキャラクターの過去の経緯が見えてくる。
この「思い出」は、実はとても重要な役割を持っていて、総合的なキャラクターの蘇生ポイントになっている。
原作をよく知っている人ならわかるだろうが、本作のキャラクターは基本的に「不死者」なので、死んでも生き返る事ができる。生き返るのだが、実は一度死ぬと、この思い出を一つ失っていく。そして全ての「思い出」を失った時点で「亡者」となり、キャラクターをロストする、という仕組みになっている。イメージとしても、よく考えられているなと思うシステムである。
「思い出」は、ゲームの途中で増える事があるのかは、まだわからない(ルールブックを手に入れたばかりで読み込んでいない)が、行動時のイベントに織り交ぜて、何かを思い出すというような演出ができるとTRPGらしくて面白いかも知れない。まぁ…基本は増えないシステムだとは思うが。

スタミナの表現

タークソウルシリーズの戦闘でもっとも重要なステータスゲージは何か? と聞かれたら、多分私なら「スタミナ」と答えるかも知れない。
ヒットポイントなどももちろん重要だが、このスタミナが切れると、キャラクターは回避もできなれければ攻撃もできなくなるため、攻撃に比重を置くべきか、それとも防御や回避に比重を置くべきかの選択を、戦闘時には常に求められる。
このダークソウルTRPGでもこの戦闘時のスタミナの表現が結構秀逸で、スタミナダイスと呼ばれる5個の6面ダイスを使用する。これは、5個を攻撃と防御に割り当てて使用するのだが、防御を捨てて攻撃に特化させたければ5個全てを攻撃に割り当ててもいい。このバランスが戦闘の行く末を決めていく事になる。
具体的には、最初にイニシアティブを決定する。未行動のキャラクター全員が2D6+能力修正値でイニシアティブ値を決定し、その数値の最も高い人から行動する。他キャラクターと同じイニシアティブ値となった人は、バッティングという状態が発生し、そのターンの行動はそこで終了してしまう。要するに互いに牽制し合っている、という状態だと考えればいい。このバッティング発生が起きると、バッティングしたキャラクターは「幸運」値を与えられる。「幸運」は、任意のダイスを振り直す事ができるという要素を持っているので、重要な時に消費して使用できるのだが、回復するのはこのバッティング時のみ(らしい)なので、バッティングが生じる事によるメリットも当然ある。
イニシアティブ決定で、最高値を出した人は「アクション権」を獲得し、好きな個数のスタミナダイス(つまり5D6の内好きな数だけ)を消費する。このスタミナダイスの値で、攻撃やアイテム使用、装備の変更等の“能動的”なアクション処理を行う。攻撃が選ばれた場合、その対象となったキャラクターには「リアクション処理」が発生して、任意の個数のスタミナダイス(5D6の内、今まで一度も行動していなければ使いたい数、もしくは既に行動した後であれば残っている数)を消費して防御活動を行う事になる。
「アクション権」は、何も一つの行動とは限らない。好きな数だけのアクションを実施できるのだが、それらは全てスタミナダイスの数次第という事になる。つまり、最大でも5回(この場合、アクションに使えるスタミナダイスはすべて1D6という事になる)という事になるだろう。
こうして全てのキャラクターが行動を終了すると、次のターンへと進み、再びイニシアティブ決定行為へと進んで行く事になる。
文字で書くとややこしいが、スタミナダイスが5つで、それらを消費してアクションしていくと考えれば、わかりやすい。
また、戦闘に特化して考える場合、他にも乱戦エリアと安全地帯という考え方がある。通常戦闘はすべて乱戦エリアで行われるが、スタミナダイスを2個消費する事で、5つある安全地帯の1つに移動することができる。この安全地帯は、全ての攻撃を回避できるエリアになるが、一度その安全地帯に入ると、次のターンでは強制的に乱戦エリアに戻されるという制約と、一度入った安全地帯は再利用できないという制約がつく。
この戦闘に関しては、攻撃がヒットした時のダメージがいくつになって…などが分らないので、ルールブックをもっと読み込まないと行けない部分だが、システム面だけ見てもよく考えられていると思う。
原作同様、雑魚戦でもシビアな戦闘になりそうな感じである。

ホストPCと白霊

白霊については、ジェスチャーの所でもちょっと触れたが、本作はTRPGらしくマルチプレイヤーによるプレイが基本だが、主人公は実は一人になるよう設計されている。その主人公は「ホストPC」と呼ばれ、物語はそのホストPCを中心に進んで行く。ホストPC以外のプレイヤーは白霊PCとなり、ホストPCを補佐しながらプレイする。
注意すべきは、ホストPCが死ぬと白霊も死ぬという事。なので白霊PCは自ずとホストPCを守るというプレイを要求される事になる。
また、TRPGは基本的にプレイヤーの行動を制限する事がないので、当然だが登場するNPCを殺害する事も原作通りできてしまう。
この場合を含め、本作では「悪意ルール」と呼ばれる難易度を上げる要素が用意されている。
行動や進行度に応じて、この悪意の量が増減(まぁ…増える一方なんだがw)し、敵の強化が行われたり、イベントで「闇霊」が乱入したりする。個人的には、この悪意ポイントはシナリオに応じて増減させたりするのが良いんじゃないかな、と思うのだが、ダークファンタジーの世界観を忠実に再現するならぱ、やはり悪意に満ちていく方が忠実かもしれない。

今日届いた

私は5月20日の段階で入手難である事がわかり、すぐに在庫のあるネット書店を探したのだが、注文はその翌日の5月21日で、その日の内にネット確認で発送済みになっていた。
だから上手くすれば今日入手できるかな…と思っていたら、今日宅配便で自宅に届いた。
内容をこれから確認して詳細を再確認していこうと思っているのだが、流石に303ページもあるルールブック(実際にはルールは130ページ分で残りはシナリオ集)なので、理解するまでにはまだまだ時間がかかるはずで、今の時点ではネットに出回っている情報からそのシステムを推し量る事しかできないでいる。
ただ、そこから得られた情報を見ても、システムとしては実に良く出来ているし、本システムを汎用的に使用しても、面白い世界観をもった作品が作れるように思える。
主人公を明確に一人決めてしまう、というのは、如何にもビデオゲーム発祥という気がするが、ゲームマスターからするとシナリオは作りやすいかも知れない。本格的なTRPGでは、多数のプレイヤーがそれぞれ別々の行動を取ることでその処理に追われる事があるが、ホストPC以外が白霊PCのような主人公の世界に深く関与できない存在となれば、基本としてホストPCの処理を最優先で処理できれば、驚く程面倒な事をしなくても済む。
そういう意味ではTRPGというジャンルの中では、本作は比較的難易度の低いタイトルになるのではないかと思うし、原作があるだけに、イメージするのも楽なEasyタイトルと言えるかもしれない。
こういうタイトルで、TRPG人口が増えていくといいなと思うし、またITを使った距離を感じさせない、TRPGでのコンテンツファインダーのような支援システムが確立されるといいなと思う。
まぁ、そういうサービスは、TRPGのシステムを考えるのとはまた違った問題ではあるのだが。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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