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小覇王Z+

やはり中華製品では世界を制する事はできなかったか。

投げ売り

2018年、中国のゲーム機メーカーである小覇王が、AMDのセミカスタムSoCを使用して独自のゲーム機を開発、販売を開始した。
当時の価格は中国で4,998人民元(日本円で約82,000円)と決して安い価格ではなかったものの、OSがデュアルブート仕様になっていて、オープンOSとして起動させるとWindows10が起動する仕組みだった事もあり、PCとして見た場合は決して高くはないハードウェアだった。
まんまWindows10 PCAMDのセミカスタムSoCというのは、所謂ZenアーキテクチャのRyzen APUの事であり、そのスペックは4コア/8スレッドで3GHz駆動、GPUはVegaアーキテクチャで1.3GHz駆動24CU、メモリはGDDR5の8GBと、PS4やXbox Oneと同等以上の性能を持っていたものと考えられる。
しかもストレージに関しては128GBのSSDにプラスしてさらに1TBのHDDまで装備していた。
つまり、これだけの性能と装備を持っていれば、価格的には妥当な価格と言えるものであり、ソフトウェアさえ展開できれば十二分に戦っていけるコンシューマ機になれる素養はあった。
しかし、現在この「小覇王Z+」は台湾のECモールで8,888台湾ドル(約33,000円)で投げ売りされているという。
この特価は既に終了してしまっているが、そもそも日本では購入できなかったようである。

プラットフォームを作るという事

この小覇王Z+は、ハードウェアスペックは間違いなく優秀で、価格は高いとはいえ、性能に見合っていたとは思う。
だが、それ以上に欠けていたと思われるのは、そのソフトウェアプラットフォームが整っていなかった、という事ではないかと思う。
任天堂をはじめ、SonyやMicrosoftがコンシューマ機でなぜ一定の成功を収める事ができるのかというと、それはプラットフォームとしてハードウェアだけでなくソフトウェア開発まで整備し、開発メーカーを抱き込んで商品展開を行うためである。
中国国内の市場規模で考えれば、国内需要でも十分戦っていけるだけの市場性はあるわけで、ローミングの問題なしでもしソフトウェア開発までを見込んで展開していたならば、小覇王Z+は中国国内だけでも一定の成功を収める事もできたのではないかと思うが、残念ながら2019年5月に小覇王が資金繰りの悪化によってゲーム機部門を解散させてしまった。
つまり、今回行われた投げ売りは、今後発展する事のない機器の償却であり、そういう意味では購入する事そのものはハードウェアの保存を目的としたものが主流なのではないかと思ったりする。

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