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銃の歴史が変わる?

名門コルトがチェコのCZに買収される時代。

移り変わる時代

昨年11月、チェコ共和国の銃器メーカーであるチェスカー・ズブロヨフカ(CeskaZbrojovka、通称:CZ)が、米国の銃器メーカーであるコルト(olt Manufacturing LLC)社の買収を計画している、という報道があった。
CZは昨年末までに実行の準備ができている、としていたが、ついにこの話が纏まり、CZがコルトを買収する事に合意した。
時代の変化コルトという銃器メーカーは、日本人であってもミリタリー系の情報を知っている人ならほとんどの人が知っているメーカーである。
米国の政府系に採用されその名が有名になった「Colt Government」は、オートマチック拳銃のスタイルとしてもっとも知られた存在だと言えるし、米軍が採用したアサルトライフルである「Colt M16」や「M4 カービン」も、世界でもっとも有名なアサルトライフルと言っても過言ではないかと思う。
もちろんそれだけではなく、Coltといえば日本のコミックでもある「CITY HUNTER」の主人公、冴羽獠が使用する銃「Colt Python」も有名な銃である。
コルトの歴史は常に米軍と共にある、とも言えるほどで、その関係は175年以上とも言われる。それぐらいの名門銃器メーカーであった。
だが、このコルトの拳銃部門は2000年以降にライバルに大きくシェアを奪われていて、2015年に倒産している。
一方、CZはサブマシンガンの「スコーピオンVz61」やアサルトライフル「CZ BREN」、また様々なバリエーションで法執行官からスポーツまで多用途に使われるオートマチック拳銃「CZ75」が有名である。
CZは元々チェコの国営企業だったが、その後民営化され1997年にCZ-USAを設立した事で、米国でも大きな市場を獲得した。
実は米国の銃器メーカーは、諸外国から流入した同業メーカーの影響で、大手メーカーがいくつか倒産している。ショットガンなどで有名なレミントンもその一つである。
今まで米国を支えてきた銃器メーカーも、この時代の流れでその様相が移り変わってきている。まさに変化の時代である。

銃のない世界へ?

このように、米国の大手銃器メーカーが次々と倒産し、その数が減っていく背景に、米国でも銃のない世界に向かっているかのような印象も受けるが、実際の所はそういうわけではないと思う。
米国では政治家の大きな得票業界として銃器メーカー業界がある。これが機能しているという事は、企業の中身が変わっていたとしても、その存在はまだまだ大きなもので、決して米国で銃のない世界へと向かっているという事は言えないと思う。
個人的には、民間に銃は必要ないと私も思っているが、米国の成り立ちと日本の日常ではその根底が異なる事から、米国で銃がなくなる事は今の時点では考えにくい。米国は自由の国であるという大前提から、武装する自由もあり、自分たちの身を守るためにどうしても銃が必要だという認識が消えることはないのだろう。
日本の歴史では、こうした自分の身を守るために武装する、という行為は全くなかったわけではないが、それが地方豪族の武士団がテリトリーを守護し、その庇護の元、農民が生きていたという歴史がある。成り立ちが全く異なるのだから、その考え方やスタイルも同じという訳にはいかない。
だが、この現代になり、そうした歴史認識にも変化が現れ、米国でも徐々にではあるが銃を持たないという道が提示されてきた。
おそらく、銃器メーカーはその影響力を民間ではなく、もう軍需に頼るしかない状況になっていて、そうした事から合理的にメーカーが淘汰されていったものと考えられる。

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