予定が狂ったニンテンドー3DS？

　震災という、誰もが予測できなかった天災の登場で、ニンテンドー3DSのソフトが軒並み発売延期になったり発売未定になったりした。
　この事で一番予定が狂ったのは、おそらくニンテンドー3DS本体を転売して儲けようとしていた一部の転売屋ではないかと思う。
　震災前は5万円を超えた本体価格は、その入手性の悪さからの値段であり、今や普通にAmazon.co.jpに在庫がある状態では、中古扱いで22,000円半ば、新品でも24,000円弱で手に入る状況になった。
　入手性がよくなったのは、震災で国内の購買が鈍くなったというのもその理由の一つだが、ニンテンドー3DSの生産が海外で行われている事も大きなその理由。需要より供給が上回ったのだから、こういう流れになるのは自明の理である。
　転売目的の人からすれば予想外の展開であり、大きな損失が出る前にいろんなルートで売りさばいている…というのが今の状況下もしれない。

　だが、予定が狂ったのは転売屋だけではない。
　おそらく任天堂そのものも考えていた予定は大幅に狂ったのではないかと思う。

　3月といえば年度末であり、決算期でもある。
　任天堂の決算が3月末かどうかは知らないが、決算でなければ半期決算ではないかと思う。
　本来なら、ニンテンドー3DSの滑り出しでそれなりの結果を出すのではないかと思うが、現状、店頭ですぐに買える状況という事は、予定よりも本体の売れ行きは少ないのではないかと思われる。
　もちろん、正確なソースを得た話ではないため、実は順調に推移していた…なんて可能性もあるのかもしれないが、Amazon.co.jpの動きを見ていると、とても即日完売という感じの流れではないし、いくら潤沢に出回るような生産調整をしていたとしても、これはあまりにも潤沢すぎるのではないかと思う。
　そして本体もさることながら、ソフトに関しても同じ事が言える。
　任天堂が発売するソフトにも発売日延期というタイトルがある。
　それがスティールダイバーというソフトであり、ある意味ニンテンドー3DSの隠れたヒットソフトになるだろうタイトルだった。
　しかし、そのスティールダイバーは2011年春という発売予定にすら名前を連ねておらず、いつまで延期するのかもわからない状況である。
　まぁ、すぐにでも発売できる体制だろうから、極端に期間を空ける事はないと思うが、それでも期内に発売という事はもうないワケで、ココでも今期の経常利益が伸びない理由が出来てしまっている。
　任天堂からしてみれば、Wiiが伸び悩んでいる今、ニンテンドー3DSは稼ぎ頭になるべく登場した新製品だが、いきなり出鼻をくじかれた形となったと言える。
　おそらく、このニンテンドー3SDの伸び悩みは任天堂だけでなく、サードパーティにも響いているのではないかと思う。
　ただ、いくつかのサードパーティは発売日を変更する事なく新作を発売している。この判断が結果的に良かったのかはまだわからない。本体の普及が伸び悩んでいる時であっても発売する方が良いかどうかなど、わかろうハズもない。出来るなら、普及した後に発売したい意向もあるだろうが、期末である事を考えると発売せざるを得ない…という台所事情もあるだろう。
　すべてにおいて予定が狂っている、と言える。
　もちろんこれは天災なのだから、誰の問題というものでもない。
　実に不運だったとしか言いようがなく、結果的にこうなったという話である。
　だからこれからの事をちょっと考えていきたい。
　ニンテンドー3DSの生産は今は普通に供給されているが、この先も同じように供給されるのか？ はまだわからないだろう。
　ニンテンドー3DSに使われている部品で日本製部品がある場合は、それが原因で一度生産を止める…なんて事もあるかもしれない(もちろんそんな事はないかもしれない)。
　ただ、一つ忘れていけないことは、昨日のBlogにも書いたが、日本からの部品供給が止まった事で操業停止する海外の工場があるという事である。だからニンテンドー3DSの部品が直接関与していなくても、何らかの形で影響が出る可能性もあり得る話である。
　つまり、予定が狂うのは任天堂やサードパーティだけでなく、消費者側も同じという事だ。
　それは経済的な面もあるだろうし、供給的な面もあるだろう。
　もし、時期をずらしてニンテンドー3DSを…と考えていた人は、今以上にアンテナを高くしておいた方がいいかもしれない。
　もちろん、この予想すら狂う可能性は高いワケだが…。