AMD Zenの価格に進展?

意外な価格に驚き。

ローンチは1月17日

AMDの次期ハイエンドCPUであるSummit Ridgeのローンチが、2017年1月17日になる可能性が見えてきた。AMDの中国パートナーであるMAXSUNが信頼できるリーク情報として提供したらしい。
一番手で登場するのは、ハイエンドのZenコアで以前3つのシリーズに分かれると言われていた「SR7」と呼ばれるSKUで、価格は250~300ドルになる、との事。但し、ここでいうSR7は通常品の事で、オーバークロック耐性の高いTDP95wのSR7は500ドル近い価格になるらしい。
上位モデルから登場するというのは、ここ最近のNVIDIAのGPUと非常に似た傾向だが、驚きなのはその価格。
というのも、性能はIntelのCore i7 6850Kと同等だというのである。現状、IntelのCore i7 6850KはBOX価格で7万円を超える価格であり、7万円を割る事もたまにあるが、仮に7万円だったとしても、ZenのSR7が250~300ドルとなると国内価格は高くても4万円程度と予測できる(普通のレートで計算すれば高くても35,000円程度だが)。
半額…とまではいかないにしても、Core i7 6850Kの6割近い価格でZen SR7が提供されるとなると、これはもう価格破壊に近い製品と言える。
ただ、Zen SR7(Engineering Sample)の現時点の動作クロックが3.15~3.30GHz、ブースト時でも3.5GHzだという事から考えると、製品版は4GHzに届かない可能性もあるため、所謂シングルコア時の性能は思った程高くないかもしれない。
まだまだ実態が見えてこないだけに、どれぐらいの性能がどの価格帯で出てくるかが解りづらいのだが、一定の期待はできそうな話である。

OC耐性はある

Zen SR7の更なる上位版であるTDP95w版は、オーバークロック耐性が高められているという話だが、現在のEngineering Sampleの話を聞くと、そうした耐性を持つ個体をつくるのは難しい話ではないようである。
というのも、現在のSample品でも空冷で4.2GHzへのオーバークロックが可能で、液体窒素を使った場合は5GHzも可能だという。
もちろん、性能の個体差が激しいのかどうかまでは、現時点の情報として出てきてはいないのだが、Engineering Sampleというまだ安定化する前の製品でもこういう耐性の強い個体があるという事は、現実問題として上位モデルを一定数確保できる見込みがある、という事でもある。
逆を言えば、こうした耐性に優れた製品を別売するという事は、当然製品製造の段階で仕分けを行う為、通常版のZen SR7からはオーバークロック耐性に優れた個体が出てきにくいという事でもある。
どちらにしても、製品版における動作クロックが引き上がってくれれば、通常版でもそれなりの性能を発揮する事は期待できる話であり、価格が本当ならZen SR7は破格の性能を持つ製品と言える。

情報の出所がMAXSUNという中国のマザーボードメーカーだけに、どこまで信用していいのかという問題もあるのだが、現時点の情報としては上々な結果ではないかと思う。
Intel一強時代に築き上げた価格設定を、ここで一気にAMDが破壊してくれれば、私としては自作PCの間口もまた広がるように思えて、AMDには大いに期待したい。
まぁ…私としては保険案も考えてはいるのだが…。

一方で…

聞くところによる情報だと確かにスゴイ性能を持っているように聞こえるが、一方で不穏な話も出ている。
というのも、Zen SR7のEngineering Sample品は、BIOSの設定をCPU内に保存しているらしく、オーバークロックはOSの上で行う仕様になっているらしい。
もちろんこの仕様のまま市販化されるかどうかまではわからないが、もしこのような仕様だとするならば、GPUのような感じでオーバークロックを行うようになるのかもしれない。
だが、この問題の根底にあるものは、そんな安易なものではない。
CPU内部にBIOS設定を保存するという事は、マザーボードの設定値もそこに保存するという事であり、マザーボードの交換が容易ではなくなる事になる。何故なら、前のマザーボードの設定をそのまま違うマザーボードの上で引き継いでしまうわけで、その状態だと正常動作させる事は当然できない。
しかもこのCPU内部に保存されている設定をクリアするのに、最大30分かかるらしく、これがEngineering Sample特有の問題なのかはまだわからない。
どちらにしても、マザーボードを完全に固定してしまうような仕様が見え隠れするように思えてならない。
しかも、現在のサンプルには、Phenomの時にあったようなTLBエラッタのような不具合があり、エラー訂正を有効にすると性能がかなり落ちるという。
元々の性能はかなり良いらしいが、内部エラーの問題がその足を引っ張るというのはどうにもいただけない。
ちなみに情報の出所は以下にあるようだ。

New(ish) details about Zen : Amd
https://www.reddit.com/r/Amd/comments/5cffyt/newish_details_about_zen/

この情報を見ていくと、何やらもっと大きな問題があるようで…
「OC設定はすべてAMD OverDriveから行なうので、パフォーマンスに関する設定はBIOSからは全く変更できない」とあるようだ。
これを解釈すると…最初からパフォーマンスはAMDに握られているような解釈にもなる。
自作ユーザーからすると、この方向は実にいただけない。
しかもマザーボードとセット販売なんて話もあったりして、そうなると自由にマザーボードを選ぶという自作の醍醐味は一切ない事になってしまう。
言い換えれば、コンシューマゲーム機の基盤をそのまま購入するような感覚であり、従来とは全く異なる解釈の下に販売されてしまう。
真実なら面白味のない話になる。

というわけで、まだまだ中身が見えてこないZenであり、唯一見えてきたのがその価格だという事。
価格は良いが、仕様がもし噂されているようなものだとしたら…魅力のない製品になってしまうかもしれない。
そうならない事を祈りたい。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

2 Responses

  1. A77777 より:

    マザーボードとのセット販売は、実物を見ないとわかりませんね…
    ミドルレンジ派で、オーバークロックをしない僕にとっては、とりあえずマザーボードのスペックが悪くなければ購入するつもりです。

    ただ気がかりなのは、上位モデルから順に展開していくとなると、i5-6500並の性能の製品(SR3?)がかなり遅れるのではないか、という事です。
    僕としては、来年の春までにSR3が出てくればいいのですが…

    • アバター画像 武上 より:

      実際に出てみないとわかりませんが、i5-6500並なら多分SR5になるんじゃないかな?

      というのも、Zen SR7は8コア16スレッドでIntelの6コア12スレッドと同等もしくは8コア16スレッドとの中間性能らしいので、i5-6500の4コア4スレッドの性能となると、SR5の構成であるだろう6コア12スレッド、もしくは6コア6スレッドの性能ぐらいないと、届かないのではないか? と思えるからです。
      動作クロックは、多分伸び幅はあるものの、AMDの方が低く見積もられると思うので、最終的にはSR5である可能性を私は感じます。
      実際に発表されないとわかりませんけどね。

      あと、私的にはミドルレンジ、ローエンド含めて、Zenコアの普及は比較的早いのではないかと思っています。
      しかしながら、そもそものSR7の発表がホントに1月17日に間に合うのか? という事の方が疑問です。
      この時期で未だにPhenomの時にあったようなTLBエラッタのような不具合があるという事にも危険を感じます。

      能力的な所は今の所申し分のないZenですが、周辺ふくめて見えない部分が多いので、しばらくは情報収集しかないですね。

武上 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version