現代版真空管アンプ

Nutube採用アンプが遂に登場。

Nutube

2016年のゴールデンウィークに開催された「春のヘッドフォン祭」で、Nutubeという次世代型真空管がKORGより発表された。
当Blogでも、過去に触れた話なのだが、そのNutubeを採用したポータブルアンプが遂に発売される事となった。
製品名は「NT-1」で、発売元であるサイラスの直販サイト「サイラスダイレクト」とフジヤエービックで販売され、価格は36,800円(税込)となる。新世代型真空管アンプNutubeは、KORGが開発した次世代真空管で、2015年1月に、ノリタケカンパニーリミテドと共同開発したもの。
今回はそれを使用したわけだが、製品化としてはこのNT-1が世界初の製品となる。
Nutubeは従来の真空管と同様にアノード・グリッド・フィラメントの構造を持っていて、完全な3極真空管として動作するもので、真空管特有の倍音特性を持っているが、従来の真空管よりも遙かに省電力で小型化が可能な特徴を持っている。
また、発熱しないところも特徴で、それ故に他機器との相性も非常によい。ポータブルデバイスとして使用すれば、全体のシステムとしても非常に小さなシステムを作り上げる事もできる。

NT-1

今回発表されたNT-1は、最大出力が350mW×2ch、S/N比が92dB、推奨されるヘッドフォンインピーダンスは8~300Ωで、リチウムポリマーバッテリを装備、連続12時間駆動が可能となっている。長持ち、かつ低発熱ちなみにNutube自体の連続期待寿命は3万時間なので、24時間ずっと連続で使用し続けても3年半くらいの寿命を持つ。通常使用であれば、1日長くても10時間を超える事はないだろうから、8年以上の長寿命という事になる。
話をNT-1に戻すが、外形は65×113×17mmで、重量は180gと非常にコンパクト。これにポータブルプレーヤーを組み合わせて持ち歩いても、そんなに苦にはならないだろう。
同梱物としては、充電用のUSBケーブルとステレオミニ-ステレオミニのアナログケーブルが付属する。
真空管独特の音質を得たいという人には、検討しても良い製品ではないかと思う。

実は…

今回、Nutubeを使用した製品として世界初の製品がNT-1だと前述したが、ラジオの工作キットとしては、ビット・トレード・ワンから今年の6月19日に発売された事がある。
電子工作マガジン連動企画として発売されたこのラジオの工作キットは、品番として「ADDP1707K」、店頭価格で15,800円前後として発売。
組立済みモデルも存在し、そちらは品番「ADDP1707P」で価格は17,800円程度であった。
全国の電子工作キット取扱店やWebショップで販売されている。
連動していた電子工作マガジンは、電波新聞社から同日に発売された「電子工作マガジン 2017年夏号」で、回路や動作などの説明が記載されていた。
これを正式な製品として捉えれば、Nutubeを採用した製品として世界初なのは、このラジオという事になるわけだが、完全な製品として流通したものとして考えれば、NT-1が正式なものであるため、発売元であるサイラスはNT-1を世界初の製品化として発表したものと思われる。

ま、どちらにしても、Nutubeという次世代真空管が本格的に使われる事で、オーディオの世界に再び真空管テイストが戻ってくる事が期待される。
真空管アンプの音をあまり聞かない人たちが圧倒的なこの時代に、再び真空管の良さを知ってもらうには、Nutubeは最適な技術ではないかと思う。
ただ…真空管は交換が簡単だったが、Nutubeはどうなんだろうか?
このあたりはちょっと気になる所ではある。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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