夏の有明と言えば交通機関が麻痺するぐらい人があつまるコミックマーケット(以下コミケと略)がその中心にどうしても座ってしまうわけだが、今年の第84回コミケ(C84)は3日間で59万人と、過去最高の動員数になったという。内訳は1日目21万人、2日目21万人、3日目17万人という事のようだ。
毎年3日目が最大動員数となるコミケだが、今年は3日目が月曜日という事もあって、一番混雑を呈したのは2日目だったようだ。そもそも1日目は企業ブースが盛況になる形が多い為、本来のコミケの混雑さとはまた違った流れだったのではないかと予測する。ま、私が仕事で絡んでいた時と変わらなければそんな所である。
ところが、である。
私が参加していた頃とはちょっと様子が違う事が一つだけある。それは参加者が増えたことによる“救護が必要な人”の数である。
これだけの人が集まると、気分が悪くなる人も少なくないわけで、毎回この“救護が必要な人”の問題は深刻化していると言える。私が仕事で絡んでいた時でも問題だったのだから、この問題は既に深刻化なんて生やさしい言葉では片付けられない問題へと発展している事だろう。
しかも今年は昨年より明らかな猛暑。炎天下の中、長蛇の列の中に立ち続けているウチに熱中症なんて事は容易に想像出来るし、実際そうやって倒れていった人も多かった事だろう。
私が知り合いから聞いた話だと、1日目のお昼、つまり開場2時間で、用意されていた救護室は満員状態だったそうだ。
これではボランティアで参加しているスタッフも堪ったものではないだろう。実際、3,000人超いると言われているスタッフにも倒れた人がいるだろうと思われる。
実際には、3日間で約1,000人の急病者が担ぎ込まれた、と言われているが、実際の所はもっと多いのではないかと予測する。
問題は…この1,000人を多いと捉えるかどうかである。
例えば59万人を分母として1,000人を分子として捉えたとき、救護室に担ぎ込まれた人の割合はわずか1/590にしかならない。590人に対して1人という割合が少ないか多いかという問題で考えれば、少なくはないものの極端に多いとも言えない。
イベント中に人身事故が起きた場合に、主催者側は管理監督責任を問われる事になるのだが、救護の為の施設を十分準備していたか? というのが一つのポイントとなる。その時に問題視されるのが、先程の数字。1/590という数字が妥当な数字だったかどうかが問われるのである。
コミケが好きで堪らないという人達は、とにかくこの比率を減らさない事には、コミケの存続が危ぶまれる事をよく考えるべきだ。これだけ巨大なイベントは、些細な事でも解体命令が出てしまう為、イベントを長く保ちたければ、参加者全員がその意識を持たないといけない事は肝に銘じておこう。
ちなみに、イベントを解体に導く法律はかなりある。一番有名な所では消防法だろうか。1箇所に人が沢山集まる事による問題は法律的にも縛りがかなりある為、あまりにも改善が成されないようであれば、イベントを何かしらの形に変えての運用を余儀なくされる可能性もある。
流石にコミケを超えるイベントというものがそうそうないため、他からの判例を持ってくる事ができない事で救われている事もあるだろう。それを知った上でイベントに臨む事が推奨される。
ちなみに。
コミケで同人誌や同人グッズを買っている人に一つ言っておく。
知っているなら良いが、同人誌や同人グッズを買う側も参加者であり、販売する側も参加者である。参加者とはお客ではなく、イベントを盛り上げる人という意味であり、コミケにお客様は存在しない。時折そういう基本的な事を知らない、或いは知っていて自分は買う側だからお客だと思っている人がいるが、それは大きな間違いだ。クレームを付ける場合は節度を持った対応をしないと、参加出来なくなるペナルティを負う事がある事を知ろう。
ただ…企業ブースに関して言うと、参加者という枠の考え方でいいのかな? と思う時がある。これは私が以前企業ブースにいたから言うのだが、企業ブースはあくまでも営利目的で参加しているのであって、参加者の一員である事を逆手に取るような行為はしないにしても、心構えは通常の店舗と同じ心構えでいないといけないと思う。よって、人を並ばせるだけの集客力があるのなら、其れ相応の対応を企業側はすべきだし、できない事にあぐらを掻くことは許されないと思う。
ま、何にせよ今年の夏の一大イベント“有明の地獄絵図”は幕を閉じた。
そういえば…コミケの出口インタビュー(?)で「この後花火大会に行くか?」とかいう調査を某テレビ局がやっていて「70人に聞いた結果“行かない”が100%だった」という結果だったそうな。
もうね、このインタビューはツッコミどころ満載だし、この結果を実際に放送したそうだが、意味不明としか言いようがない。そもそもリア充の巣窟である花火大会に、コミケ参加者が行く可能性があるか? という事をまるで分かってない。…いや、多分分かっていてやってるんだろうが…。
だが、私は一つだけ別方向からツッコミを入れてみたい。
問題となるのは、サンプルの採り方。
何故70人なのだろうか?
よくよく考えて欲しいのは、少なくとも1日目や2日目であれば21万人いたのである。
それなのになぜ70人という中途半端なサンプル数で終わらせたのだろうか?
統計学で考えると、200というサンプル数でほぼ全体が見えるのだというのを、以前テレビで見たことがある。
言っていたのは日本の数学者である秋山 仁氏。通称レゲエ教授と呼ばれた氏が、テレビで実際に200サンプルと10,000サンプルを比較し、統計学上同じ結果になる事を証明していた。何故ここで200サンプルが出てくるかというと、テレビの視聴率を調べるサンプル数が200で、何故200世帯を調べるだけで視聴率が決まるのか? というのを証明した、という事である。
この事例でいうなら、今回のインタビューも最低200サンプルは欲しい所だ。何より、サンプルとなる分母が21万人いるのである。そこからの200サンプルくらい採らなくて、どうして取材と言えようか?
マスコミがマスゴミと呼ばれる所以が、こんな所にもあった…そういう事だろうか?
何はともあれ、趣味に全力で傾倒できる事はスバラシイ事である。
ただ、その趣味で他人に迷惑をかけてはいけないという事と、節度を持った接し方が出来ていれば、後ろ指を指される事はない。
まずは自らが律する事。
それを忘れなければ、コミケは世界規模の、文字通りマーケットでいられるのである。
フジテレビに正解を求めてはいけないよw
今回の傷病者の数は気温に密接に関係してると思います
開催3日間とも猛暑日だったけれど3日目はそれでも最高気温が3度低かった
体感的には変わらないけどそれでも傷病者の数は激減と言って良いほど減りました。
どちらにしてもこの問題は今後改善策を示せないと
コミケ開催の足かせとなることは確かですね。
あと、9月に決定するオリンピック開催地が東京に決まれば
そのオリンピック時のコミケは1回休みに成るだろうけれど、ビッグサイト拡張の信憑性がぐっと上がるのでオイラは密かに期待していたり
そうなれば参加人数が多すぎる事による問題はクリアできるかも。
コミケは年々サークル参加と一般参加の温度差が開いてく感じがしますね。
(サークル参加=売り手。サークル参加して並んでる人を除く)
一緒に盛り上げようぜ!って売り手に対して、物を買いに来てるだけの買い手。
これだけ規模が大きくなるとある程度仕方ないのかもしれないけど、両者のコミュニケーションがどんどん希薄になってますねー。
…買い手側は元々コミュニケーションが取れない人が多いのかもしれないけどw
フジのアンケートについては、取材のついでにちょっとやってみましたってだけで、真面目に統計取るつもりゼロだったんじゃないかと。
それに、熱中症で何人も倒れるような過酷な会場から疲れて出てきて、花火大会に行くかと聴かれても、そりゃあ行かないって答えるわw
>>サークル参加と一般参加の温度差が開いてく
これはある程度は当たってますがその逆もまたありまして。
コミケは何しろ規模がデカイですからサークル側も人をさばくだけで大忙し
買い手も多くのサークルを回るので手一杯
そんな中でコミニュケーションを取るのは双方の思惑からも難しいのです。
ですが、コミケでコミニュケーションが取れなかったとしても
イベントはコミケだけではないですので
お気に入りの作家さんをコミケで見つけられれば
以降の同人イベントで交流することができます
小規模のオンリーや中規模の同人イベントではコミケほど
大忙しって事は無いですので直接会って話をすることも可能でしょう。
コミケは規模が大きくなってしまったがゆえに役割は少し変化してますが
根底に在る部分は失ってはいないと思います。
>関西の人さん
ま、そんな事はわかりきった事ですよ。ただ、マスコミならマスコミらしくちゃんとした報道をしないといけないという原点に還って欲しいだけの事なんですが、それもままならないテレビ局って、救いようがないな、と。
>ruserさん
フジのアンケートが、もし取材のついでにちょっと…というのであれば、其れこそまさしく報道機関にあるまじき行為です。
そこら辺にいる数人に聞きました、というのならいざ知らず、少なくとも70人には聞いているのですから、統計を取る意思があるならちゃんとすべきです。だからマスゴミと言われるんだという事に当人達が気づいていない現実は如何ともし難いですな。
>うめーさん
実際にスタッフとして参加されているので、その現状なんかは私よりずっと詳しいでしょうから、うめーさんの言われる通りなのでしょう。
ただ、あれだけの人が動員されるイベント故に、人の想いの交錯はハンパないものだと思います。それ故にやりづらい事も出来ているわけで、場合によっては利用されるだけの人が出てきたり、利用しているつもりでなくても利用していたり、或いは巧みに利用する人が現れたり…。
そういう中での話ですので、一般参加者とサークル参加者、そしてスタッフ参加者の方々の思いも一筋縄ではいかないハズです。
ただ、原点に還る必要はあると思うんですよ。ここまで巨大なイベントになってしまうと、コミケが開催されるようになった意味の原点に一度回帰して、そこから今ある関係を見直す必要はあると思います。ま、これはとある“参加者”が毎年のように口癖で言っている事ではあるんですけどね。
とりあえず、スタッフとしての参加、お疲れ様でした。