「それが声優」を読んだ

昔、声優という職業の人と仕事をしていた為、大体書かれている内容を想像できるという事から手を出していなかったが、とある理由で読んでみる事にした。

始まりはTwitterから

Twitterで浅野真澄さんという女性声優をフォローしているのだが、その浅野女史が去る8月31日にTwitterで…「ところで…『それが声優!』の同人誌を読んだことない、て人はいますか。フォロワーさんの中に…」というツイートをしていて、それに気付いた私は「ああ…そういえば読んでないなぁ」と私も単純にそう思っていたその直後、またまた浅野女史が「な、なんと…「あなた、いつもツイッターで話しかけて来てくれる人だよね?」というアイコンの人たちが軒並み読んでいないとのお答え…うわああああん!!!」というツイートを…。
私は浅野女史に直接Twitterで話しかけた事はないのだが、それでもフォローしていて読んでいないというのは事実だったので、まぁ…私のかつての認識と同じかどうかを確かめる意味も込めて、とりあえず総集編だけでも読んでみるかと、通販で「それが声優 総集編 第1巻」を買ってみた。
今日、それが届いたのである。
昔と何もかわっとらん(爆)もともと、この本の存在は知っていたのだが、前述したように私は前々職が声優さん達と仕事をよくする職業に就いていたため、大方声優さんの実態を知っていたりするものだから、今まで手を出さなかったのである。
正直、声優さんの実態とか普通に知らない人が話を聞くと、そのとんでもない過酷な生き方や苦労話、まして新人の頃の夢を追いかける姿と現実のギャップは、それがホントに真実なのか笑い話なのか、見当も付かないとだろうと思う。
私は、前々職の頃に当時話題だったとある作品で新人声優12人と仕事をしていたのだが、その姿は時折見ていて涙ぐましい時があったぐらいである。ま、私は勤めていた会社が出資側だったため、私自身が不慣れでもアシスタントプロデューサーぐらいの立ち位置だったため、ある意味恵まれたポジションで声優の方々を見ていたわけだが、そういう経験をしている私だからこそ、何も聞かなくてもその実態を知っているワケであり、普通の人は知らない世界である事に違いはない。
そうした、普通の人が知らない世界を綴ったのがこの「それが声優」である。
ある意味、私の想像通りの本であり、実際読んだ感想からいうと「嗚呼…そうだったね…新人は苦労するんだよ…」と、どこか懐かしく思える内容であった。

ちょっと恥ずかしいぐらいがちょうどイイ

この本では声優の生の声が綴られている事から、真面目にリアルな話が飛び出している。
アニメの台本とドラマCDの台本の違いとか、実にそのまんまである(爆)
ゲームの声の収録に関しても、確かに平気で数万ワードとか書いてある台本があったりして、こんなの終わるのかよ…とか思ったものである。
私は当時、ゲームのボイスやキャラクターグッズ用ボイスの台本などを書いたことがあり、その際、会社の先輩にこう言われた事がある。
「キャッチコピーや台本の台詞というのは、ちょっと恥ずかしいぐらいがちょうどイイんだ」
いや、それがマジで書いていてこんな恥ずかしい台詞でいいのか? とか思うワケである。
自分で書いていて「うわー…マヂで恥ずかしい…」とか自分で思うワケである。
しかし、特にキャッチコピーなどはそれぐらいでないとインパクトに欠けるため、自分でキザだなぁ…とか恥ずかしい…と思うぐらいでないと、意味がないのである。
当然台詞も同じであり、キャラクターをより印象付かせる為には、恥ずかしい台詞を投入するのが普通だったりする。
ベテランな声優さんは、その恥ずかしい台詞を難なくサラっと言ってのけ、収録はあっという間に終わるのである。ところが新人声優さんの場合は…やはり恥ずかしさがどこかに残る時があったりする。
新人声優さんの中で、時折他の声優さんより頭ひとつ飛び抜ける人が出てくるが、そういう人は大体恥ずかしさを克服した人から飛び抜けてくる。
もともと、養成所で恥ずかしさを克服してきているハズなのだろうが、やはり実際に恥ずかしい思いをする事もあるようである(というか、そうだろ普通に…)。
「それが声優」の総集編(内容的には3冊がまとまっている)には、こういう話は書かれていなかったが、私が経験してきた環境は、オーディションでほぼド素人を声優起用した為に、こうした「恥ずかしい」という流れになったのかもしれない。
…ま、声優という職業に就く環境もタイミングも人それぞれだから、全てが同じという事はないが、少なくとも「それが声優」に書かれている事は、真面目にリアルな話だと私も思う。

そういえば…

「それが声優」を読んでいて、堀江由衣女史の話が出ていたが…それを読んで私も一つ思い出した事がある。
前々職であるラジオ番組の中で、あるCMを流す事になり、あるプロダクションに「ラジオ番組の収録が○○時なので、そのタイミングくらいに○○スタジオの近くにいる方、誰でもいいので、CMの声をお願いしたいんです」という話をしたところ、軽快に「わかりました。スケジュールを確認して誰か向かわせます」と回答をもらったはいいが、結局誰が来てくれるのか分からないまま、という事があった。
そのままラジオ番組の収録が始まり、そろそろ終了、その後CM録りが始まるぞ…というタイミングで、スタジオに現れたのが堀江由衣女史だった。
当時、堀江由衣といえば人気絶頂(もちろん今でも人気はあるが当時はトップ声優と言えただろう)、飛ぶ鳥も落とす勢いの声優さんだったわけで、正直、驚きまくった記憶がある。
まぁ…遙か昔の事なので、当事者のほとんどの方はそんな事忘れてしまっているだろうが、私的にはかなり驚いた話であった。
また、その時現れた堀江由衣女史の雰囲気が…あまりにも普通の人すぎて「…マヂかいな」と思ったのも良い想い出である。
人気声優でもこんな感じだったんだなぁ…と、「それが声優」を読んで堀江由衣という名前を見て思い出した次第である。

読んでみて…

「それが声優 総集編 第1巻」を読んでみて、率直に思う事は、この業界を知らない人は読んでおいた方が良いという事である。
少なくともアニメとかゲームとか漫画とかそういうジャンルが好きであるならば、声優という業界を知る事は自分の知見を広げるだけでなく、より趣味を深く理解できると思う。
私はたまたまそういう業界と触れる機会があったため、その辺りを知っていたから今まで読んでいなかったわけだが、だからこそ言わせてもらえば、この本には真面目に現実が書かれている。脚色してるでしょ? と思うかも知れないが、多分脚色なんか数%未満ぐらいしか入っていない。…いや、そんなにも入ってないかも知れない。
好きだからこそできる仕事。それが声優だと私は思う。そうでなきゃあんな苦労はできないだろう。
そういう事の真実を知るにはとても良い本だと思う。

…このBlog、結構ズバズバ書いちゃったけど、問題ないかな?(-_-;)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. 関西の人 より:

    コミケで出してた時から買ってましたが。
    現役声優と、そこそこの人気を誇る漫画家さんのコラボだったので、出た当初は入手がそこそこ難しかったような…。

    まぁ、同人書店で売るようになってから、入手しやすくなりましたか(ただ、書店売りはたかかった)。

    内容は、どこまで脚色なしかはわかりませんが、面白いとは思いますよ、うんw

    • アバター画像 武上 より:

      私も最初から出していた事は知ってましたよ。ただ、私としては内容が予測できたという事から、特に意識していなかった、という感じです。
      しかし、浅野女史のツイートで「買ってみるか」となったワケで。
      新刊も買おうか悩んだけど、総集編が第1巻となってるから、きっと第2巻も出るだろうと保留にしました。

      新人声優の苦悩は…まんま内容通りと思いますよ。
      最近はたくさんいる声優の中での棲み分けも重要なので自分の立ち位置を明確にしていかないと生き残っていけませんから。
      …いや、私がソッチの世界にいたときから何も変わってないなw

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