SDR映像をHDR映像に変換。
ドライバレベルで対応
NVIDIAが1月24日にGeForce Game Readyドライバー及びNVIDIA Studioドライバーのバージョンを551.23へと引き上げた。
このバージョンになった事で得られる一番大きなトピックスは、何と言ってもRTX Video HDRである。
RTX Video HDRとは、SDR映像をHDR映像に変換する事ができる機能の事で、映像のダイナミックレンジを拡張する機能を言う。
簡単に言えば、映像をよりメリハリのある色合いに変換する機能、という言い方が出来るワケだが、実際に見た方がわかりやすいかもしれない。
この映像では、以前当Blogでも紹介したRTX Video Super Resolution(RTX VSR)も紹介されており、RTX VSRとRTX Video HDRを組み合わせて動画再生も可能である事を紹介している。
見て分かる通り、かなり違った印象になるだけでなく、実際に精細かつ色鮮やかに変わる事が見て取れるわけだが、実際に使ってみてここまでの効果が得られるかはまた別の話だと私は見ている。
ドライバの設定だけで使える?
一応、この機能はWindowsのシステムにおいてHDRをONにする事と、NVIDIAコントロールパネルのRTXビデオ拡張においてHDRを有効にする事で利用可能になる、としている。
ストリーミング映像であれば、Google ChromeやMicrosoft EdgeなどのChromiumベースのブラウザーで動作する、としているが、ではローカルの動画はどうかというと、そのままでは機能が有効にならない。
これはRTX VSRの時にも話題にしたが、動画プレーヤー側でRTX VSRやRTX Video HDRの機能を有効にする内部フィルタ内のビデオデコーダの設定とMPC Video Rendererをインストールしてその後DirectShowの設定を使う事で対応する事ができる。
これでローカルビデオデータもRTX VSRやRTX Video HDRを有効にして再生する事ができるので、できれば動画プレーヤーや>MPC Video Rendererを最新版にして、利用できるようにする事をお薦めしたい。
ただ、前述したようにどこまで効果があるかは動画ファイル次第だし、見た目にも感じ方一つで明暗が分かれるので、気休め程度と考える方が幸せかもしれない。
残るはフレーム補完だが…
NVIDIAの映像拡張機能は、高解像度化とHDR化を実現したが、フレーム補完という部分ではまだ到達していない。
いや、正確に言えば、対応ゲームであればゲーム内でフレームを生成して補完する機能は存在するが、それを映像に転用するところに至っていない。というのは、フレーム生成はゲームエンジン側がTensorコアを使用してフレーム生成してドライバに出力する、といった仕組みになっているため、ゲームでは機能するが動画では機能しないのである。
ライバルであるAMDは、フレーム補完を優先的に行ってきた歴史があり、Fluid Motion技術を進化させ、AFMF(AMD Fluid Motion Flames)としてフレーム補完と高解像度化を実現する機能へと進化させている。こちらはゲームだけでなく動画でも利用できる。何故なら、AFMFはAIコアを使用していないのでゲームエンジン側ではなくドライバ側でフレーム生成を実行しているためである。
AMD側もHDR化はそう遠くない内に実現するだろうから、そういう意味では映像拡張はAMD側の方がより進んでいる、という言い方ができるかもしれない。
フレーム生成するための仕組みが根本的に違うので、NVIDIAが動画にフレーム生成を利用できるようにするかはまだわからないが、可能性としては低いように思われる。
折角余り有るビデオ能力を持っているのだから、それを使わない手はないわけで、NVIDIA側でも映像でフレーム生成できるようにして欲しいものである。
ドライバ側でTensorコアを使用してフレーム生成させ、それを出力する方法はないのだろうか?
両社、アプローチが異なるので今回のような機能差が生まれてしまったわけだが、この面ではAMDの方がソフトウェアに傾倒しがちである。
ドライバの出来の良さはNVIDIAの方が上手い感じがするのにね…。