キーボードPC

いつからキーボード別体になったんだったかな…。

シンプルな構成

テックウィンドからキーボードにタッチパッド、そしてPC機能そのものを内蔵した「キーボードPC」が来年発売される。
価格は2万円台となる予定だそうだが、まぁ単純に考えれば2万円台後半といった所ではないかと思う。
キーボード内にはCPUのAtom Z3735F(1.33GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ2GB(DDR3L)、ストレージ32GBが内蔵され、インターフェイスとしてUSB 2.0×2、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、microSDカードスロット、Ethernet、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0+LE、音声入出力を備えている。
電源は内蔵していないため、ACアダプタでの供給となるだろうが、事実上これにモニタと電源を繋げればPCとして使用する事ができる。あとはモニタだけ用意されるOSはWindows 10 Homeとなるわけだが、事務的な業務であれば、このPCだけで何ら問題なく熟すことができるだろう。

使い勝手は?

ただ、問題となるのは使い勝手だと私は考えている。
業務で使う事を想定するなら、やはり使い勝手は何をおいても優先すべき事であり、私の気にするところだ。
キーボードそのものの入力は、アイソレーションタイプだからそれなりに打ちやすいとは思うが、問題はその配置。
エンターキーを形状からみて、日本語キーボードと言うよりは英字キーボードに近く、またスペースキーとカーソルキーの真ん中に用意されているタッチパッドが、文字入力にどのような影響をもたらすか? という所が気になる点である。JIS配列キーボード?…何となく、使いやすいというには程遠いように見える。
この姿形を見る限り、このキーボードPCをハードなタイピング業務に使用するという事は考えない方が良いかもしれない。
というか、そういう業務の場合、VESAマウントに固定できる小型PCを液晶モニタ裏に取り付け、キーボードとマウスのみを机上に持ってくるタイプのPCの方が向いているかもしれない。それならキーボードはタイピングに適したものを使用する事ができるのだから。

ただ、このキーボードPCの場合、最悪USB接続で使用できる小型液晶モニタとこのキーボードPCだけでPC業務が可能になるという側面がある。
そういう意味では、使い方さえ選べば便利に使えるデバイスと言えるかも知れない。

そもそもカタチに決まりはない

PCが今のように本体とキーボード、マウス、液晶モニタなど、別のデバイスに切り離されたカタチになったのは、PCの性能の向上により、CPUやマザーボードの冷却が重要になってきたからだと私は思っている。
今から遙か昔、まだシャープがMZシリーズを作っていた頃は、キーボードが本体と別体だったモデルの方が珍しかった。
同じくシャープのX1シリーズに関しても本体とキーボードが一体だったし、それはNECや富士通のパソコンに関しても同じだった。
その後発売されたMSXシリーズも本体とキーボードが一体だったものが主流だったし、結局はシステムが肥大化し冷却を必要とした場合や、大きな拡張性を持たせようとした結果から、本体とキーボードが別になっていったのではないかと思う。
だから、もともとPCは本体とキーボードが一体だったワケで、進化と共にカタチが変化した、と言える。
PCのカタチがある程度決まったものになっていった背景には、共通規格の策定が絡んでいる。
自作PCが流行った頃には、この共通規格というのは当たり前のような存在にまでなっていたが、ATXやmicroATXといった規格の部品を組み付けてPCを作ろうと思うと、ある程度決まったケースに収めていく事になるわけだが、それがいつのまにかPCそのもののカタチまで決まったものという意識を周囲にすり込んでいたのではないかと思う。
だから、この共通規格からある程度外れていたノートPCは、時々想像も付かないようなカタチの製品が世に出ることがあった。
そもそも、自由に設計ができるなら、カタチは固定されていなかった…と言えるかも知れない。

ただ、最近はこの考え方も少しずつ変わってきていて、Mini-ITXなどの小さなマザーボードがいろいろなカタチのPCを可能にしてきている。
そしてそれを加速させたのはNUCというさらに小さなPCの登場。これがPCの進化をさらに加速させ、今までなかったカタチのPCを可能にしたと言える。
そしてデスクトップPCとして、丸い円筒状という四角い箱というイメージを打ち破るものまで出てきた。これはもちろんMac PROを意識したものだが、こういうPCが可能になったのも、やはり高性能が集積され、自在な配置を可能にしたためと言える。

こうした流れの中であれば、確かに性能に極端な高性能を求めなければ、自在なカタチのPCが生まれてきても不思議ではない。
今後は今回のキーボードPCのように人の使い方に準じたカタチが作られていくのではないかと思う。
それは、ある意味、人が生活していく上で、全ての曲面でPCが使われるようになる、という事を意味しているようにも思える。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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