リークされたKabylake

またしても中国から情報がリーク。

Kabylake

先日、AMDがZenアーキテクチャのコアを年末に投入するという話をしたが、Intelもこの年末には新製品を投入する。
当初はノートPCなどモバイル系を中心に発売するとされているKabylakeがそれに当たるが、中国の情報筋からKabylakeに関する情報がリークされた。
そのリークされた情報は、ノートPCに投入されると言われているKabylake-Uシリーズではなく、デスクトップ向けとされるKabylake-Sの情報である。

詳しい話は北森瓦版の情報を見てもらうとして、その中身についてちょっと考えてみたい。
残念ながらリークした情報は、シリーズの構成表のようで具体的なスペックなどの情報は薄い。
ただ、その構成表の中には、基準となる標準クロックの記載があり、それを見ると最上位コアは4.2GHzのTDP95W製品になるようである。
構成の基本は、倍率アンロック品が「K」、メインストリーム品が「無印」、省電力品が「T」となるが、この構成はSkylakeと同じである。クロックからみる性能を考えてみると、Skylakeの10%ほどIPCが向上している感じにみられるが、このあたりはKabylakeのもっと詳しいスペックが公開にならないと何とも言えない。
何とも言えないのだが、多分その性能はほぼ間違いがないと言えるかも知れない。
なぜならば、先日から行われているHot Chips 28という技術セッションで、Intelは未だにSkylakeの情報を発表しており、これから出てくるであろうKabylakeに触れていないからである。

Kabylake-X

そしてここにきて、Kabylakeにはさらなる上位種が存在する情報が飛び出てきた。
Kabylake-Xと名付けられたコアで、基本的にはKabylake-Sと同じシリコンダイを使用するとしているが、対応するマザーボードはKabylake-Sのメインストリーム向けのものと異なり、ハイエンドデスクトップ向けのものになるという。
つまり、LGA1511に対応するコアではなく、LGA2011及びLGA2011 v3の後継版になるLGA2066に対応するコアらしいのである。しかもTDPは95Wではなくその上のTDP112Wと、消費電力も多めに採られている。
ココまで来るとサーバ版コアと何が違うのか? という話になるが、あくまでもこれはハイエンドデスクトップ向けとされていて、基本はムダなものを排除し、クロックをひたすら向上させたコアを投入するのではないかと予測されている。
ここで言うムダなもの、というのはiGPUの事で、要するにKabylake-Xは内蔵GPUを排除し、その分クロック耐性を引き上げたものではないかという事である。
ある意味ハイエンドだが、特定の用途にしか向かないコアである事もまた事実である。

性能を追い求める

Skylakeの時もそうだったが、サーバ向けコアはデスクトップ製品よりも一世代遅れているのが現状である。これはIvy Bridgeの頃からIntelコアはこの流れになっていて、現状ではいくらハイエンドを追い求めてもサーバ用コアを採用するとアーキテクチャは一世代は優に前の製品を利用する事になる。
Kabylake-Xはそうした問題を穴埋めする製品と考えられ、最新アーキテクチャを利用しつつ、さらにクロックを向上させる製品になる。
ただ、非常に残念なのはiGPUを削除したのみで、そのなくなった部分に何かしら新しいコアを組み込むとか、コントローラーを入れるとか、そういうコアにはなっていない。ただ、iGPUをDisable化し、そこに熱源を持たせない事でよりメインコアのクロックを引き上げるという製品にしかなっていない。
iGPUという熱源はなくなるが、メインコアのクロックを引き上げるので、稼働するコアは上昇した分の電力を多めに消費する事になるのでTDPが112Wと引き上げられている。実にパワーで押し切る形を採ったアメリカ的コアに感じる。
個人的には、iGPUをゴッソリ削除したなら、その空いた部分にメインコアを組み込み6コア製品にするとか、あるいはPCI Expressのコントローラーを組み込んで接続できるレーン数を増やすとかしてくれると有り難いのだが、それをすると組み替えとはいえ設計からCPUを作る事になるため、製造だけのコストでは済まなくなる。多分、純粋にiGPUをDisable化して製品にする、というだけになりそうな気がする。

Zenとの関係が気になる

IntelがKabylakeでこのような製品を検討しているとするならば、そこには市場要求は間違いなくあるだろうが、もう一つ考えねばならないのはAMDのZenに対する対策という側面があるのではないか? という事である。
Zenはまだまだ未知数の所が多いのだが、その持っているポテンシャルはIntelのSkylakeと大きな差を感じないものである。当然、Skylakeの最適化版であるKabylakeとの比較においても、極端に大きな差は感じられないワケだが、Zenの最も興味深い所は、現在デスクトップ版として情報が出てきているSummit Ridgeは、8コア/16スレッドの構成を持っていて、同じ構成のBroadwell-EとBlenderによるCPUレンダリングで同等の性能を出すという噂が出ているという事である。
また、予測ではあるがZenは構成の取り方もおそらく比較的自由度が高く、16コア/32スレッド版が比較的登場しやすいのではないかという事も考えられる。
そうなると、市場が求める製品構成に対してAMDの方が柔軟かつ豊富に提供できてしまう。Intelからすると、今までもっていた優位がイキナリ不利になる事はなくても、アドバンテージそのものがなくなってしまう危険性はあるワケで、少しでも高性能なコアを準備する必要が生まれた可能性は十分ありうる。
このような競争が勃発するからこそ、製品は面白くなるのであり、ようやくAMDが仕事をし始めたという実感が私にはあるのだが、そう感じるのは多分私だけでなく、PCに注視している人全てなのではないかと思う。

Zenも期待できるが、それに呼応したKabylakeも面白い展開を見せそうだ。今年の年末あたりは久々に気になる話題が豊富そうである。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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4 Responses

  1. ruser より:

    最近、Apple他のリーク情報は、他社を牽制するためにわざとリークさせてるんじゃないかって印象が強いです。
    真偽はともかく。

    さておき、AMDが挑戦者なら打って立つのが王者と言うもの。
    競争で技術が進めばユーザーにとっては嬉しい限り。
    なので、両方頑張れ!w

    • アバター画像 武上 より:

      Kabylakeのリーク情報は、おそらくわざと流してはいないと思います。
      AMDのSummit Ridge以降のコア構成を警戒するなら、準備するヒマを与えるような事はしないと思います。
      イキナリ投入してSummit Ridgeと互角がそれ以上のコアを出したぞという事実をぶつける方が、顧客離れはおきませんから。

      ただ、今回の場合はSummit Ridgeの前評判でも期待せざるを得ない情報がてんこ盛りなので、絶対王者のIntelからすると、居心地が悪い状況だと思います。
      ひょっとしたら、Intelというメーカーではなく、Intel信者がリークした可能性はあるかもしれません。

      …Intel信者という人たちがいるのかどうかはわかりませんが(爆)

  2. ruser より:

    ちなみに、この記事をパッと見たとき、kibayashiと読んでしまったのは秘密です。

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