今回のCP+2018は、コイツの為の展示会だったようにすら思える。
α7 III、登場
Sonyのα(…個人的にはαといえばMINOLTAと言いたいんだが…)が遂に三代目となり、α7 IIIとなって今回のCP+2018にて大々的にお披露目された。「フルサイズミラーレスカメラのベーシックモデル」とSonyが呼ぶ新機種だが、その持っているポテンシャルは既に従来のベーシックという枠を超えていて、新時代を象徴するような内容になっている。
フルサイズセンサーは裏面照射型の有効2,420万画素、ISO204800、ボディ内5軸手ブレ補正、連写約10コマ/秒(AF追随)、4K HDR動画記録を持つそのスペックを考えてみても、ベーシックらしいのは画素数ぐらいで、その他は従来の基準を大きく超えてきている。
ボディ内5軸手ブレ補正は、オリンパス機であれば当たり前に思えるかも知れないが、実の所それはオリンパスだけの話であり、他ではそうでもないので、ベーシックでボディ内5軸手ブレ補正が当たり前のように搭載されるというのは、やはり高次元と言わざるを得ない。
また、AFに関しても、693点の像面位相差AFセンサーを搭載していて、これは上位機種のα9と同等の性能である。
Sonyは、これだけの機能を当たり前の機能として、α7 IIIに搭載してきた。
しかもその価格はフルサイズセンサー搭載ながらボディで約23万円と、かなりリーズナブルな設定をしてきている。
これを新時代の幕開けとなる機種と言わずして、何と言おうか。
そんな気がする製品である。
CanonもKissでミラーレス
そしてキヤノンもエントリー機種として設定されているEOS Kissでミラーレスモデルを発売する。
モデル名は「EOS Kiss M」で、有効約2,410万画素のAPS-Cサイズセンサーを搭載する製品で、価格はボディ単体で税別7万3,500円という設定。
もともと、ミラーレスモデルを発売していたキヤノンだが、売れ線モデルに投入する事で、今後はミラーレスモデルも主軸に載せて行くのかもしれない。
エントリーモデルなので、性能的にもその枠を超えないモデルではあるが、デュアルピクセルCMOS AFを搭載するなど、基本的なところはちゃんと押さえてきている。
また「瞳AF」を今回初搭載していて、被写体の中で一番カメラと近い瞳に焦点を合わせる機能を持つ。
連写速度はAF追従で約7.4コマ/秒、AF固定で約10コマ/秒とコチラも決して悪い性能ではない。エントリー機として十二分な性能を持っているのは間違いない。
E-M1 mkIIのメリットは?
さて、マイクロフォーサーズを使用している私からすると、ミラーレスカメラが普及していく事そのものは良い事として受け入れられるが、問題はマイクロフォーサーズの優位性はどうなるのか、価格対性能比としてE-M1 mkIIはどうなのか? というところが気になる所。
私はE-M1 mkIIを購入はしていないが、それでも使用しているプラットフォームのフラッグシップ機なので、気にはなる。
ザッとみて思うのは、驚異的な性能を持つα7 IIIには、性能で言えばE-M1 mkIIでは上回る事はできない、という事。もちろん並んでいる性能もあるにはあるが、利点と欠点の差が完全に埋まるほどではない、という事である。
しかも価格的には若干α7 IIIの方が高いとしても、レンジで言えば同じような価格帯に属する製品になる。実売価格でE-M1 mkIIが下回っているとしても、それは発売時期が異なるからであって製品価値として最初に設定された価格は同クラスである。
そうした視点で見たとき、消費者としてはどちらをセレクトするか? となれば、ほとんどの人はフルサイズセンサーでこの価格であるα7 IIIを選択するのではないかと思う。
マイクロフォーサーズの最大の利点である、小型軽量という部分で言っても、α7 IIIはフルサイズの割にはかなり小型であり、ボディだけでみれば大きさは余り変わらないどころか、部分的にはα7 IIIの方が小さいのではないかと思う。
もちろん、これにレンズが加わった最終的な大きさは、E-M1 mkIIの方が小さくなるのかも知れないが、センサーサイズが4倍も大きいα7 IIIは小型軽量という優位性を持つはずのE-M1 mkIIの利点にかなり食い込んできている製品と言える。
このような状態で、E-M1 mkIIを選ぶメリットは何なのだろうか?
現在運用しているマウントがマイクロフォーサーズであるという人は、手持ちレンズという資産がメリットとなるが、そうでなければ純粋に本体機能や撮影条件などでメリットを探るしかない。
いろいろ調べてわかった事だが、決定的とも言えるメリットを一つ見つけた。
それは、E-M1-mkIIの方が寄れるレンズが多い、という事である。
これはカメラ本体の問題というよりは、プラットフォームの問題かもしれないのだが、マイクロフォーサーズのレンズ、特にオリンパスのレンズは、かなり被写体までぐっと寄る事ができるのである。驚異的とも言える最短撮影距離で、レンズのすぐ先で撮影ができるのである。
対してα7 IIIは、この最短撮影距離が意外と長い。微妙な距離を必要とするので、接写撮影などでは不都合に感じるケースがあるかもしれない。
この接写できるという事はブツ撮りをする時などでは圧倒的な優位点とも言えるもので、この違いは実際に運用してみると大きな差になる事から、E-M1 mkIIとしてはかなりの優位点になると考えられる。
総じて…
しかし、残念ながらこの最短撮影距離以外で明確な差というものは見当たらない感じである。
流石はSonyの最新機である。
小型でありながらフルサイズセンサー搭載で、戦略的価格を付けてきた野心的モデルであるα7 IIIは、驚く程に万能感の高い製品である。
あえてもう一つだけ問題があるとするならば、レンズの価格が比較的高い、という事であろうか。撒き餌と言われる、コストパフォーマンスの高いレンズですら多少高めの設定になっているので、この部分を欠点と言ってしまえばそれまでなのだが、レンズは良レンズほど価格は高いモノなので、レンズ価格は欠点と言うには弱い要素ではないかと思う。
とにかく、このα7 IIIが登場した事によって、他メーカーが刺激を受ける事は間違いないし、しばらくの間はこの機種がベンチマークになるようにも思える。
触発された他メーカーの対応を今後見ていきたいと思う。
ひょっとしたら、他メーカーからも野心的なモデルが登場するかも知れない。
α7シリーズの人気ぶりは凄いですね。
フルサイズのセンサーでミラーレスとなると、ライカとソニー位しかないので、その優位性はなかなか揺るがないですね。
サードパーティーのレンズもEマウントばかりだし。採算取れるマウントにするのは当然なんでしょうけど、シグマやタムロンにも見捨てられたKマウントユーザーとしては寂しい限りです。
M4/3の優位性ですが、やはり小型軽量であることだと思います。
α7シリーズのボディはミラーレスだけに小さいんですが、フルサイズ対応のレンズはやはりデカイし重い。
あと、価格も高い。
オリンパスのPROレンズも良い値段しますが、性能考えたら安い方だと思います。
それでもシェアを侵食しているのは間違いないので、他マウントユーザーには脅威ですね。
オールドレンズ好きな沼の住人としては、フルサイズミラーレスにかなりの魅力を感じてます。
…が、コントラストとシャープネスが強いソニーの絵作りが好みじゃないのです。
だから、ミラーレスは今のまま初代E-M10で頑張るつもりです。
…E-M1欲しいけどw
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ここにきてα7はさらに人気に拍車がかかってそうな気がします。
ニコンがフルサイズセンサーでミラーレス機を出す…なんて噂もありますが、現時点ではまだLeicaとSonyだけなので、どうしてもαシリーズに人気が集中するのも理解できる話ではあります。
PENTAXは、もっとシェアが伸びればまだまだ可能性のある製品を作ってはいると思うんですけどね。カメラは本体だけではダメだという典型のように見えます。
m4/3はレンズも含めた上での小型軽量というメリットは確かにあるのですが、画作りの上でセンサーサイズの小ささが最終的に影響を与える事が最大の問題です。ま、そこに拘るのはプロなんでしょうけど。
ただ、記事にも書いたように、最短撮影距離の短さは、最大の武器ではないかなと思います。あとはオリンパス機でもパナレンズの機能を全て使える様にしてくれれば…。この問題がなければ、魅力はさらに倍増するんですけどね。
E-M10でがんばるという事ですが…E-M1、初代なら中古で結構安いですよ?w
程度の良いものも多いし、狙い目ではないかと。
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