次世代GPU“Navi”の姿

ベンチがリークした?

完全グラフィックス仕様

AMDの次世代GPUであるNaviのベンチマークがリークした、という噂が出ている。
正確に“Navi”と明記されているわけではないのだが「Radeon RX 66AF:F1」という名称で記録されたものである。
この「Radeon RX 66AF:F1」と呼ばれるデバイスとRX 580、RX Vega56、RX Vega64の比較を行ったところ、単純な演算処理はVegaシリーズに大幅に劣るものの、グラフィックパフォーマンスではVega 56よりも処理能力が高いという特異的な結果になったらしい。とりあえずRX580との比較しかもこのベンチ結果は「Radeon RX 66AF:F1」のユニット数が20CUの時の結果のようで、RX580は36CUで構成されていた事を考えると、この結果は凄まじい性能という事になる。
もちろん、従来のVegaアーキテクチャとNaviアーキテクチャの1CUあたりのStream Processor数が同じとは限らないし、そもそも根本的な部分で違う要素もあるだろうから、単純に数値比較はできないのだが、もともとNaviはミドルレンジ以下のローエンド製品から展開するとAMDが公表していたものだけに、価格帯としてはそんなに高い製品ではないと考えられ、そうなるとシリコンダイ面積はあまり大きなものにはならないと考えられる。
そもそも、このNaviアーキテクチャは次期PS5や次期Xboxに内包されるGPUと目されているもので、MicrosoftやSonyが開発初期から関わっているという話もあり、ダイ面積を拡大する事を良しとするような設計にはなっていないと考えられる。
また、GPGPU的な考え方より純粋にグラフィックス処理を優先させた設計とも考えられ、データセンターで使用される事も想定していたVegaアーキテクチャとは元から異なると思われる。今回のベンチマーク結果は、そうした設計思想の変更が反映したものと言えるのかも知れない。

気になるレイトレ

ただ、今回リークしたNaviのベンチマーク結果を見ていると、従来のグラフィックス処理演算性能がある事はわかるのだが、NVIDIAが実装してきたレイトレーシング処理性能がどれほどのものなのかが見えてこない。
専用ユニットが搭載されるのか、或いはGPUに肩代わりさせるのかまでは現時点ではわからない。そもそも、レイトレーシング処理が日の目をアビ始めたのはつい最近の事で、現在ではまだまだ対応しているタイトルも少なく、ここしばらくのタイトルでも対応してくる製品はあまりないと言われている。
AMDとしては、対応しないとは言わないが、今すぐに必要な措置かと言えばそうでもない、という結論に至っているのではないかと思われるし、また元々のVegaアーキテクチャなどのGPGPU処理でレイトレーシングの演算結果が良好な結果を得られている話もある事から、NVIDIAのような対応を採らないとしているのかもしれない。
とにかく、Naviでは余計な機能を一切そぎ落とし、純然たるグラフィックス処理コアとして成立させている節があるので、従来のゲームで使用する分には期待できるワットパフォーマンスになるのではないかと考えられる。

Radeon VII

こうしたNaviの噂を見る限り、次世代GPUは期待できはするものの、ハイエンドレベルでのGPUとしては今しばらくRadeon VIIの優位性は揺らぐ事はないように考えられる。
おそらく、エントリーモデルのNaviが今年の夏以降晩秋あたりに登場すると想定すれば、Naviのハイエンドモデルが登場するのは来年春ぐらいと想定できる。途中、次期PS5や次期Xboxのカスタムチップの生産製造が入る事を考えれば、まだ遅れるかもしれない。
対するNVIDIAとしても、GeForce RTX 2080クラスのカードが登場するのは、同じように来年春ぐらいではないかと予想できる。ただ、こちらは製造プロセスを12nmから7nmにするだけでも省電力化&クロックアップのハーフジャンプアップができるので、そうした動きでお茶を濁してくる可能性もあるので、今の所何とも言えないところがある。
AMDとしてはCPUと同じようにGPUも一定の波に乗せたいところだろうから、順当に勝負できるコアを着実に作って生き、その時々のニーズに合わせた開発をしていくという事なのだろう。
だが…そう遠くない内に、IntelがdGPU業界に名乗りを上げてくる事は間違いないと目されている。その時、AMDがNVIDIAにどの程度まで肉薄できているかが問題である。もちろん、この問題はNVIDIAでも同じではあるのだが。

何はともあれ、Naviアーキテクチャが控えていたとはいえ、今回Radeon VIIを購入した判断は個人的には間違っていなかったと思っている。
もちろん、全てのレンジで考えた時、Radeon VIIのコストパフォーマンスは良いものではないが、必要と考える性能レンジを考えた時に条件を満たす製品と考えれば、選択肢として間違っていないと思う。
ただ…最近頻発する不安定要素の引き金がRadeon VIIでない事を祈るばかりである。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version