AMDのHEDT向けCPU

ついにくるか、第3世代スリッパ。

その名はスリッパ

ホントはThreadripperなのに…省略されてスリッパと言われるAMDのハイエンドデスクトップ向けCPUである、Ryzen Threadripperだが、こちらも遂に中身が第3世代に変わろうとしている。
CPUの基本的な内容はコンシューマ向けのRyzen 3000シリーズと同じだが、その搭載するCCXの数とI/Oコントローラが異なる事で、ハイエンド向けとなるのがThreadripperである。
実売24万円とか…シャレになってねーよ…CCXについては前述したように内容は変わらない。単純にそれをInfinity FabricでRyzenシリーズよりも多い数で接続し、並列性を高めている。問題はI/Oコントローラーで、コイツがRyzenシリーズよりも大幅に強化されている。
まず大きな違いとしては、I/Oコントローラーに内蔵されるメモリコントローラーにおいて、4ch、もしくは8chのDDR4に対応する。Ryzenシリーズは2chなので、メモリアクセスにおいては最低でも2倍有利と言える。
他にも、PCI Express4.0レーンを64もしくは128レーン持つ。Ryzenシリーズは24レーンなので、最低でも2.5倍のレーン数という事になる。
この並列処理の有利さとインターフェースの多さがThreadripperの最大の武器であり特徴となる。
これだけのメモリチャネル数とI/Oまわりの性能を持つHEDT向けコアを「スリッパ」と呼ぶというのも、些か変な感じではあるが、言いやすさなどの点から、自然とこう呼ばれるようになったのだろう。
ま、愛称なので、悪い意味はないはずである。

チップセット

このThreadripperのチップセットだが、基本的にはRyzenシリーズのX570系に同時接続コア数の強化とメモリまわりの強化をしただけのもののように思われる。
というのは、チップセット側が持つPCI Express4.0のレーン数は16に留まると言われており、Threadripperの64レーンもしくは128レーンにプラス16されるだけになると考えられている。
これだけの違いしかない状態で、現時点でAMDは第3世代Threadripper用のチップセットを3種類提供する事を考えているという。
今までの説明で分かるかと思うが、違いは2種類しかない。つまり4chメモリ&64レーン対応チップセットと、8chメモリ&128レーン対応チップセットである。組合せとして、4chメモリ&128レーン対応チップセットというのも作れるかも知れないが、Threadripperが使用される状況を考えると、この組合せチップセットの意味はあまりあるようには思えない。何故なら、チップセットそのものはその機能を持っていたとしても、実際は物理的に搭載スロットを装備させないという実装手段を使う方が、コスト的にチップセットという半導体を余らせることなく済むからである。
それでも3種類提供する、としているのは、4chメモリ&64レーン対応チップセットはHEDT向けのみとし、8chメモリ&128レーン対応チップセットはHEDT向けとWorkstation向けの2種類の展開する為だという。
それならば納得とも言えるが…いや、そもそもWorkstation向けは、EPYCじゃなかったか?

AMDの複雑さ

AMDはIntelより製品構成は単純でわかりやすいと思っている。
それはRyzenの製造実態を見ていてもそう思う。商品がちゃんと役割別に明確にされているのである。だが、ここにきてThreadripperやEPYC周りはどうにも分かりにくいコトが多い。
まだ決まっていないというコトでもあるのだろうが、Ryzen9が最大16コア32スレッドにまで伸びてくると、Threadripperではさらなる上の性能にするしかなく、そうなるコトでEPYCとの差が不明確になってしまった、という感じだろうか。
まだRyzen9 3950Xも投入されていない段階で、その上を行くThreadripperを語るのは難しいかもしれないが、そろそろ情報が出てきてもよいだけに、まだ内部的にゴタゴタしているとすると、Threadripperの投入時期は今年末ぐらいになるような気がしてならない。
ま、私からすると縁のない話なので、遅れても影響はないのだが、Ryzen9 3950Xは純粋に興味があるので、こちらに影響がなければいいな、という所である。
ま、今のIntel第10世代コアの命名ルールより複雑になるコトはないと思うが(爆)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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