I’m Back Film

古いメカの方が高精度だという事もあるのだよ。

価格は高いが需要はあるのだろう

クラウドファンディングのKickstarterにおいて、フィルムカメラに装着してデジタル写真を撮影する機器「I’m Back Film」が出資を募っている。

Kickstarter I’m Back Film

意味が分からない、と思うかもしれないが、要するに、フィルムカメラにおいて、フィルムを入れるところにフィルムの代わりに撮像素子を入れて、その撮像素子で取り込んだ画像をデータとして保存、フィルムカメラをデジタルカメラ化するというシロモノである。
この製品を知ったとき「なるほど!」とその発想に驚いたが、確かにコレなら技術的にフィルムカメラでデジタル写真の撮影ができるかもしれない。
そこまでして昔のカメラを使いたいというのか…つ買いたいのだろう難しいのは、フィルムで撮影する機構をどうやってデジタル撮影のトリガーとして使用するか、というところだが、現時点ではいろいろな制約を含んだ形で製品化していくようである。
たとえば、カメラによってレンズとフィルムの位置が異なる為、センサーを左右にスライド調整できるようにしていたり、フィルムより撮像素子部の方が厚みがあるため、カバーのフィルムを抑える圧着版を取り外す必要があったり、別途シャッターボタンを押す必要があったりといった制約である。
単純にカメラのシャッターボタンを押せばば撮影できる、といった形にはならないようである。
また、使用する撮像素子だが、現時点ではSony製のマイクロフォーサーズセンサーを利用する事が決まっているようだ。
ただ、その利用するセンサーは、1,600~2,400万画素の間で変動する可能性があるようで、現時点では「IMX269」という2,000万画素のものを用意する予定らしい。この辺りはまだ変更になる可能性のある部分らしい。
でぎれば35mmフルサイズセンサーを…と思う人もいるかもしれないが、フィルムが入る場所にセンサーをセットする関係上、大きすぎるセンサーは入らないのだろう。
なので、画角が35mmとは変わってしまうようで、0.45倍のコンバージョンレンズをレンズの先端に取り付ける事で35mm版相当の画角になるようだ。

基本は外付けパーツで対応

また、このフィルム部にセットするセンサーを動作させるための7.4Vバッテリーや画像処理プロセッサである「NT9853X」、他、microSDカードスロット、設定確認の為にむ使用される320×240ドットを表示可能な1.5型液晶、通信の為の無線LANユニットなどは、すべて外付けユニットとして用意する。
ただし、このユニットとカメラ内のセンサーは無線接続されているわけではなく、フィルムカメラの裏蓋と本体の隙間からフレキシブルケーブルで繋ぎ操作する。
また、この外部のユニットはカメラ底部の三脚穴を使って固定するようになっている。




また、イマドキはこうしたデジタルフォトは画像処理を可能にしていて、フィルムに寄せた加工が行われるものだが、この外付けユニットによる画像処理の一環として、フィルムシミュレーションが可能になっているようだ。
モノクロ、コダクロームなど、フィルムメーカー独特の色合いというものがフィルムには存在しているが、それらのシミュレーションができるらしい。
また、ISO感度を100~6400まで調整可能としているのもデジタルならではと言えるだろう。

今後の期待は小型化か

Kickstarterで出資募集を開始してわずか17分で目標に到達してしまうほど、期待されている本プロジェクトだが、その価格は639スイスフラン、日本円にして約10万7,232円と決して安い価格ではない。
これだけのセンサーユニットを内蔵できるものなので、安くはないのは事実だが、これを第1弾としてぜひより進化した第二弾、第三弾と製品をアップグレードしていってほしいところである。
最終的には、フィルムケース部にほとんどの機能を詰め込んで、完全に内蔵できるユニットが出来ると理想なのではないかと思う。
また、どうにかしてフィルムカメラのシャッターボタンで撮影できるようにすれば、まさに見た目はレトロカメラのままデジタル化、といった体で使えるので、理想といえる。
そこまでしても、残る問題としては、センサーに映った映像をファインダーで除く事ができない事だが、これすらもファインダー前に小さな液晶を取り付けて見る事ができるようにできたなら、もうそれは既に別世界の話になるのではないかと思う。…いや、ファインダーの中にモニタを配置しない限り、理想的な見え方にはならない事は判ってはいるが。

それにしても、よくこんな事を思いつくなと思った逸品である。
ファインダー問題は無理としても、外部モニタをカメラ背面に取り付けてリアルタイム撮影する事はできるだろうから、新しい形でもっと進化してくれる事を期待したい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. ruser より:

    コレ、気になってる製品なんですよね。
    フィルムカメラの裏蓋外してセンサーユニット付けるアイテムは今迄いくつかあった(製品化したかは分かりませんが…)けど、ユニットが大きくて微妙なものばかり。
    だから、カメラ内部に入れるタイプはちょっと期待してます。
    ニッチな製品だから価格は下がらないだろうけど、サイズと画質がより良くなれば考えたくなります。
    最近、更にフィルムの価格が高騰しているので、こういった製品がもっと出ると良いなぁ…

    • アバター画像 武上 より:

      構造上、カメラの中に全てのものを組み込んで完結できるシステムになるかは分からないけれど、限りなくそれに近づいていくのではないかとは予想しますが、そもそもの需要がどこまであるのか等を考えると、ニッチな製品に留まる事は間違いないでしょう。
      フィルムカメラを活かし続けたいなら…考えてもよいのでは?w

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