RTX 4090、発表

NVIDIAが次世代GPUの上位モデル4090と4080を発表した。

価格を下げたくない?

NVIDIAが次世代GPUであるGeForce RTX 40シリーズを発表した。
当初の予想通り、上位モデルの4090と4080を発表したのだが、4080に関してはメモリ16GB版と12GB版の2種類を発表している。
だが、そのスペックを見ると、どうみても16GB版と12GB版は同じシリーズのもの、とは言い難いもので、NVIDIAがこの2種を意図的に4080という枠組みに押し込めたい思惑が見えてくる。
おそらく、4070とせずに4080としたのは、あくまでも上位品という位置付けで、価格を下げたくないという思惑があるのではなかろうか?
高価格帯GPU、登場ただ、実際はRTX 3090Tiが1999ドルだったものに対し、RTX 4090が1599ドル、RTX 3080Tiが1199ドルに対し、RTX 4080 16GB版が1199ドル、RTX 3080が699ドルに対し、RTX 4080 12GB版が899ドルと、価格的には横にスライドしつつも多少振れ幅を持たせている。
こんなに性能が違うのに同じ枠組みの製品とは…なので、圧倒的高付加価値という形にしているとは言い難いが、そもそもRTX 30シリーズは発売した直後にコロナの影響や半導体不足が深刻化したので、その価格は徐々に高騰し、市場価格はNVIDIAが定義した価格とはかけ離れた価格へと変わっていった。
今回の40シリーズは、その高騰した価格に合わせての値付けなので、全体的に値上がりしたという印象が強いのは否めない。
まぁ…確かに微細化が進んだ半導体を製造するコストは、従来より高騰化しているし、価格は相対的に上がっていく事は間違いが無いが、先日のコロナ禍と半導体不足による影響は、その高騰化というレベルを超えた価格設定を許してしまった。
NVIDIAとしては、その上昇した価格ラインを今後の基準としたい思惑があるのではないだろうか?

30シリーズのと共存か?

40シリーズの詳しい話は、Tech系サイトの説明に譲るとして、今回のNVIDIAの発表を元に、私が感じた今後のGPU市場というものを考えてみたい。
今回、NVIDIAは上位グレードとして4090と4080を発表した。4070としても良さそうな性能のものを4070とせずに4080として格付けした背景に、前述したように価格の問題があったとしても、もう一つ考えられる側面として、既存の30シリーズとの共存を考えている可能性があるように思えてならない。
というのは、上位グレードは従来製品より2倍近い性能を発揮させたとして、その価格設定も当然のことながらかなり高価な設定して位置付けた。ではそれより下の価格のグレードに関して、NVIDIAは今の段階でどうするかと考えた時、既存の30シリーズをそのまま残し、下位グレードは30シリーズに踏襲させ、しばらくは時間を稼ぐ、という事になるように見えるのである。
世界的にみて30シリーズは在庫を抱えていると噂されている。その噂が事実なら、在庫にある30シリーズはもう下位グレードと位置付けて消費を促し、さらなる価値を求めて高価な予算を投じてくれる消費者に40シリーズを提供する事にすると、現在の在庫問題は解決するし、新製品には付加価値を付けられる…NVIDIAとしては実に良い手である。
EVGAがNVIDIAと相当に揉めたような話があったが、おそらく30シリーズの在庫の扱いに関して揉めたのではないかと私は予想している。おそらく、本来なら30シリーズの在庫をNVIDIAが買い上げ、新世代GPUをEVGAが購入、新製品を販売するという流れなのだろうが、既存の30シリーズを活かすとなると、その在庫はEVGAの努力で売り続ける必要があり、苦しい販売は継続するしかない。ベンダーとしては新製品が登場しているにも拘わらず、バリューゾーン製品には真新しさを出せず、数の出ないより高価な製品を売る事になる状況になれば、旨味は感じられないだろう。
私の考えている事が事実であれば、ベンダーとして受け入れられないケースもあるだろう。実際がどうなのかは判らないが。

4070系以下の製品は出るのか?

そうなると、気になるのは今回発表された4090や4080の更なる下位グレードである4070系以下の製品が登場するのか? という事である。
消費電力の観点から言えば、登場する事で性能を維持したままより省電力な製品が登場する事になる。これは歓迎すべき事だし、ぜひそうあって欲しいところだが、NVIDIAの今の流れではその動きは未知数である。
もしライバルであるAMDが、下位グレードで圧倒的ワットパフォーマンスを見せるようなバリューゾーンの製品を出してくれば、NVIDIAとしても出さざるを得なくなるだろうが、相手次第の話なので、今の所は様子見を決め込む可能性もある。
AMDはRadeon RX 7000シリーズを11月3日にローンチする、と言われているので、その時に示された価格とグレードで、NVIDIAも今後の方針を決める事になるのかもしれない。
ただ、AMDは今回の7000シリーズで、Chiplet構造を採用するので、微細化の進んだ半導体の歩留りで言えば圧倒的に有利になる。歩留りで有利になるという事は、それだけ価格を抑えられるという事になるので、AMDはその部分で攻勢に出てくる可能性もある。
GeForce RTX 40シリーズの今後は、このAMDの発表があってからが、見所ではないかと私は思っているが、さて、どのような展開が待っているのだろうか?
あと、この40シリーズの登場で既存の30シリーズの市場価格にどんな変動が起きるのか、とても興味深い。
…価格の変動はないかもしれないが。

NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ
https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/40-series/

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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