AMDがHaswell対抗のAPUを投入

 実際問題、AMDは今回新しく発表したRichland APUでIntelのHaswellに対抗するつもりがあるのかがわからない。
 方向性が違うと言われるかも知れないが、このHaswellが登場したすぐの時期に投入する以上、Haswellを牽制しているという風に採られても仕方が無い話である。
 AMDは、Trinityの後継としてRichlandを投入した。中身はPiledriverコアを2~4コア搭載したモデルで、アーキテクチャに劇的進化はない。
 Trinityよりもクロックが引き上げられている為、その分の高速化は行われているようだが、それ以上でもそれ以下でもない…というのが今回の新製品の本当の所と言える。

impress PC Watch
クロックアップしたデスクトップ向けAPU「Richland」をベンチマーク
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/20130605_602236.html

 この記事によると、現時点でワットパフォーマンスに魅力があるのは、今回発表されたコアの最上位から一つ下位に当たるA10-6700である。
 65WというTDPの割にTDP 100Wの上位A10-6800Kに食い下がるような性能を出している。もっとも、これから先BIOSなどが見直されると、さらなるパフォーマンスアップを果たし、現在とは異なる結果に落ち着くかも知れない。

 今回のIntelが発表したHaswellは、ノートPCやUltrabookでの採用で有力なコアになる、とこのBlogで何回か書いたが、その予想は今の所当たっている。
 そこにきてこのAPUである。既にRichlandコアのモバイル版は発売されていたが、今回はデスクトップ版としてA10-6800Kなどが用意された。つまり、新製品を投入したがIntelと真っ向勝負をする分野はデスクトップ版だけ…というようにも受け止められる。
 実際、IntelのHaswellのコア価格とAMDのRichlandコアの価格を比較すると、その差は歴然としている。Richlandコアの方がかなりお買い得な感じがある。
 しかし省電力という面で見れば、RichlandはHaswellの足下にも及ばない。これはもう逆立ちしても叶わない。ではそれでもこのAPUを選ぶメリットはどこにあるのか?
 それは言うまでもなく強力なGPU部分である。
 今回発表されたRichland APUに内包されるGPUは“VLIW4”アーキテクチャのDirectX 11対応GPUである“Radeon HD 8000D”シリーズで、A10-6800Kや6700に内包されるGPUは384基のRadeon Coreを持つGPU“Radeon HD 8670D”となる。
 ここまでのGPUを内蔵となると、下手な外付けGPUを搭載するよりも内蔵GPUの方が性能が上…なんて事になるかもしれない。そういう意味ではコレこそがRichland APUを選択する最大の理由になるかもしれない。

 TrinityからRichlandへと変わっていくが、ソケットも従来のSocket FM2+を使用するため、アップグレードも可能になっている。
 が、基本性能的にクロックアップした割合での性能向上幅しかないため、あえて買い換える必要はないかもしれない。新たにAPUへと進もうという人の為のコア、そんな感じに私は感じられる。価格も手ごろな価格になっている。選択肢の一つとして考えてみるのも良いだろう。
 私のお薦めはA10-6700である。TDP 65Wでありながら内蔵GPUはRadeon HD 8670Dを搭載する為、使用電力とパフォーマンスのバランスがかなり良い。上位のA10-6800KになるとTDP 100Wとワットパフォーマンスのバランスがあまりよろしくない。
 今ならA10-6700をお薦めしたい所である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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