ウッドコーンオーディオシステム

JVCがウッドコーンオーディオシステムの新シリーズを発表した。
CDをハイレゾクォリティを再生でき、マイクの違いを描き分けるという新型ウッドコーンスピーカーとは?

その前に…

そもそもウッドコーンスピーカーって何よ? という人もいるだろう。
ウッドコーンスピーカーとは、その字の通りウッド(木材)をコーンとして使用するスピーカーの事で、スピーカーの振動する部分に木目があるという、ちょっと見た感じ意外な雰囲気を持つスピーカーである。
そもそも、スピーカーのコーン材として使用される材質には、紙、アルミなど、様々な振動板になる材質があるが、JVCはそのコーン材として木材を使用したスピーカーを展開している。
登場当初はかなりインパクトのある製品だった。木材でコーンを作成すると、乾いてすぐに割れてしまったりするからだ。
それを割れずにしなやかさをもったままコーン材として使用できるようになった事で、一気に普及し始めたわけだが、このウッドコーンの音がまた実によく響き、時にキビキビと響き、時にしなやかに響くという、素晴らしい音響特性を与えてくれている。
シンプルなウッドコーンフルレンジスピーカー私も上記画像の「SX-WD30」というスピーカーユニットのみを購入しているが、ウッドコーンスピーカーは今まで聞いていたスピーカーとは異なる次元のスピーカーだと未だに思っている。
…まぁ、一部高級オーディオのスピーカーはさらに上を行くのだろうが、一般家庭の部屋の中で聞ける音量を想定した場合のスピーカーにおいて、私はウッドコーンスピーカーを超えるものはない、と思っている。
ちなみに、このウッドコーンスピーカーの開発者やスタジオエンジニアのインタビューなどが紹介されたサイトがあるので、気になる人は観てみるといいだろう。

ウッドコーンオーディオシステム
http://www3.jvckenwood.com/audio_w/woodcone/

デジタル部分はさておいて…

本当はデジタル部分を紹介しないと新型の説明にならないのかもしれないが…そういう情報はimpressのAV Watchあたりに任せるとして、私はひたすらアナログ部分のスピーカーに焦点を当てていきたい。

impress AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20140613_653352.html

今回発表された3つの新機種は、すべて組み合わせられるスピーカーが異なっている。
最上位機種である「EX-HR9」には9cmのフルレンジスピーカー、真ん中の機種「EX-HR7」には11cmのウーファーと2cmのツイータで構成される2wayスピーカー、「EX-HR5」には8.5cmのフルレンジスピーカーがセットされる。
価格的に言えば2番目に高い製品に2wayスピーカーがセットされ、最上位機種には1発フルレンジがセットされている事を疑問に思う人もいるかもしれないが、コレで間違いない。
まぁ…私見で簡単に説明すると、2wayスピーカーは音の高音と低音がそれぞれ別のユニットから発生するため、音の定位が若干ズレる。これは2wayというスピーカーユニットが複数ある物理的な問題から決して逃れる事ができない問題であり、それに比べ、フルレンジスピーカーは1基しかスピーカーがない為、高音から低音まで全ての音をこの1基のスピーカーで賄う必要があるかわりに、音の定位は決してズレない。だから、本当は高音から低音まで全てを完璧に再生する事ができるスピーカーが存在していたならば、そのスピーカーだけで音を鳴らす方がより定位の安定した音を再生する事ができるワケである。
つまり、今回のウッドコーンスピーカーシステムは、最上位のフルレンジスピーカーは2wayスピーカーの音を超える…という風に考えて問題ないと言えるだろう(実際にはいろいろな特性があるハズである)。

最上位機種の「EX-HR9」にセットされる9cmのフルレンジスピーカーは、タダのウッドコーンスピーカーではなく、十字形の異方性振動板を持っている。この十字形の異方性振動板がスピーカーのコーン上の伝播速度を向上させ、よりスピーカー全体でクリアな解像感とワイドな音場を形成するのだという。
ちなみに私がもっている「SX-WD30」にはこの十字形の異方性振動板は装着されていない。まぁ、完成品スピーカーユニット最廉価モデルだから仕方のない話なのだが、以前から最上級モデルにはこの十字形の異方性振動板が付けられていて、今回の新製品にもそのスピーカーがセットになった、というワケである。

お国柄とは言え…

ウッドコーンスピーカーにおける十字形の異方性振動板は実に重要な役割を果たす部材だが、EX-HR7の2wayスピーカーのウーファーにも一応採用はされている。
だが、この採用のされ方が不自然で、EX-HR9と同じようにコーンの前面に貼り付けられているのではなく、裏面に貼り付けられている。
何故裏面なのかというと、前面に搭載すると十字の形が海外販売の際に問題となるからだそうである。
…十字が意味するところは、ズバリキリスト教という事なのだろうと思う。
つまり、その宗教的意味合いから問題となるために、裏面に取付けられているのだ。ちなみに裏面に貼り付けるより表面に貼り付ける方が効果的なんだそうである。
もったいない…実にもったいない仕様である。

日本はそういった問題がない為、日本仕様のEX-HR7は前面にしてくれても良さそうなものだが、作り込みの段階で分けるのは非効率なのか、裏面のまま販売されるそうである。
ちなみに最上位機種のEX-HR9は日本国内オンリーの販売になるようで、より良い音が欲しい人は、やはり最上位機種のEX-HR9がオススメになりそうだ。

スピーカーのみ欲しい場合は…

今回の新機種の発表では、あくまでもオーディオシステム製品であるため、スピーカーだけでなく、レシーバ本体が当然存在する。
最近はネットワークオーディオ対応機種が当たり前であり、またスマートフォンからの音を再生できる機能が付いていたりと、完全にデジタルな仕様になっている。
ただ、勘違いしてはいけないのは、この新機種はハイレゾ対応ではない、という事。
あくまでもハイレゾクォリティにできるというだけである事に注意が必要だ。
もっとも、ハイレゾ対応オーディオと光/同軸デジタル接続し、192kHz/24bitまでのハイレゾ音源を再生する事はできる。まぁ、その使い方だと、ほとんど本体側の機能に意味はなくなるのだろうが。

と言うわけで、スピーカーユニットだけ欲しいという人も出てくるだろう。
私もその一人だったワケだが、スピーカーユニットだけ買おうとすると、十字形の異方性振動板のないスピーカーしかないのか? という事になるが…実は発売されていたのである。
上級ウッドコーンフルレンジスピーカービクターダイレクト限定商品ではあるが、SX-WD90(上記画像)という製品が十字形の異方性振動板を採用した9cmフルレンジウッドコーンスピーカーとして販売されている。
価格はオープン価格となっているが、ビクターダイレクトのWeb価格を見ると税込71,820円となっている。
私が購入したSX-WD30は確か3万円前後だったはずだから、倍以上の価格である。
この価格差をどう見るかは個人の価値基準によるだろうが、私は下位機種でも劇的な変化を感じ取る事ができた。
正直言えば、一般家庭の部屋の中でのスピーカー再生であるから、上位機種と下位機種で決定的な差を見つけられるかどうかは微妙な所ではないかと思っている。
これがヘッドフォンだと…ちょっと変わってくるのだが。

何はともあれ、ウッドコーンスピーカーは個人的にはオススメのスピーカーである。
昔からある管弦楽器がなぜ木材で作られているのか?
もちろん金管楽器もあるにはあるが、バイオリンやピアノが昔から木材の筐体で作られているのにはちゃんと理由がある。
その理由をウッドコーンスピーカーで見つけられると思う。
オススメである。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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