フラッグシップ

次期E-M1の情報が公式からようやく出た。

m4/3の立ち位置

OlympusのOM-D E-M1はシリーズとしてOlympusのフラッグシップとなる機種である。
だから求められる性能が低くない事はよくわかるし、それは前機種もそうであった。
あれから4年。
時代は進化し、特にデジタル世代となった今はその進化が目まぐるしく、以前求められていたものと比較しても全く別モノではないかと思われるほどの機能を実装しないと、フラッグシップとは言えないぐらいに周辺機種が進化した。
当然、Olympusのフラッグシップとして定めを背負うE-M1も今の時代に合わせた性能を持たねば、フラッグシップとは名乗れない。
だから自ずと高性能になる事はわかりきった事である。
だが、同時にそれには当然コストというものがついてまわる。フラッグシップだから何でも許されるというワケでもない。
特に価格がフルサイズセンサーを搭載した機種と同じであるならば、多少大きく、また重くてもフルサイズセンサーを消費者が選ぶ可能性も否定はできない。
マイクロフォーサーズという、フルサイズセンサーの1/4サイズという小さなセンサーを搭載したメリットは小型軽量だとしても、このコストをあまり莫大にしてしまえば、消費者が付いてこない可能性を考えると、メリットもメリットとばかり言えない状況が目の前にあったりする。
そんな、相反する状況に追い込まれる中、E-M1の次期モデルの情報が公式から発表された。
“開発発表”という形での発表ではあるが、発売は年内としていて、事実上発売発表のような状態である。
そこから見えてきたE-M1は、そのコストという背負うべきハンデを完全に背負いきれてはいないのではないかと思える程の機能を詰め込んだフラッグシップだった。アクセサリポートがなくなった…

求められる性能

次期E-M1、既に名称はE-M1 mkIIと言われているが、このE-M1 mkIIがOlympusユーザーから求められている性能は、高速なAFと高感度耐性という二つの要素が主だった。
これは共にセンサーが小さい事の弊害でm4/3の試練みたいな所があったのだが、今回のOlympusの開発発表では既にその2つの要求に関してある程度の回答が出されている。
121点のクロスタイプ像面位相差AFが搭載され、動きモノに強いAFが搭載されたという事、そしてダイナミックレンジが1EV改善された事、この2点でユーザーからの要求を満たしている事がわかる。しかし、OlympusはこのE-M1 mkIIをプロのスポーツカメラマンが使用できるカメラにする、という事を明言していたワケで、それに対する回答がAF追従でRAWで18コマ/秒の連写を行うことができる、という性能であった。
これは正直驚き以外のナニモノでもないのだが、それだけの高速シャッターを電子シャッターとはいえ搭載してきたというところに、Olympusの本気を見る事ができる。
また、もう一つ私が驚いたのは、今の時期だから4K動画に対応した事は当たり前としても、DCI Cinema 4Kに対応してきた、という事である。
DCI Cinema 4Kとは、通常の3,840×2,160ドットという4Kと異なり、4,096×2,160ドットという映画制作会社が加盟する団体が規定した解像度の事で、通常4Kデジタルシネマと呼ばれる解像度を指す。
デジタルシネマの世界では2Kは2,048×1,080ドットを表していて、フレームレートも24または48fpsと規定されている。実際E-M1 mkIIに搭載される4Kは30fpsの記録性能を持っているという話だが、4Kデジタルシネマだと24fpsになるようで、少なくとも業界標準の能力は持たせてきたという感じである。
フラッグシップというだけあって、Olympusの開発者が求める性能がユーザーの要望を超えた形がそこにあったという事なのかもしれない。

一体いくらになるのか?

さて、そうした著しい性能を搭載してくる事が予想されるE-M1 mkIIだが、さてこの価格は一体いくらになると言えるのか?
元々、初代E-M1の価格から大きく変わらない、というような噂もあったが、これだけの性能を詰め込んでくるとなると価格が前機種とほぼ同額というのは、にわかには信じがたい。
ただ、他社の後継機種も性能は軒並みアップしたものの、価格は据え置きみたいな所があるため、そういう意味ではE-M1 mkIIも大幅な価格上昇となるとも言い難い。
ただ、フルサイズセンサーの一眼レフが20万円台半ばで買える時代である為、前述したようなコストとの兼ね合いを考えると、本体価格は20万円を下回るのではないか? という予測も成り立つ。
個人的にはボディのみで17万円程度であればなぁ…と思うのだが、実際にはわからない。
高すぎず、安すぎず。
今度のE-M1 mkIIは、まさにその二律背反と戦う定めにあるカメラと言えるのかも知れない。
とりあえずは、Olympusから正式な価格発表があるまで待つしかない。
実に値付けが難しい機種と言えよう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. ruser より:

    E-M1 markII はかなり気になる機種ですね。
    今回のフォトキナでは終わりと思ってたα99に後継機が発表されたり、一眼レフライクなFUJIFILMの中判機が発表されたりと目玉が多かったですが、身近な所で注目したのはオリンパスでした。
    開発発表とは言え、出し惜しみなしのスペックで驚きました。
    しかし、気になりますねー価格。
    メーカー希望小売価格24万、実売20万以下ってところじゃないかと思ってます。
    センサーサイズよりも、どんな写真が撮れるかを判断基準にしている人なら、m4/3の価値は分かると思います。
    …が、そうでないならよりセンサーサイズ大きいの選びたくなりますよね、やはり。
    m4/3、APS-C、フルサイズ全部使ってますが、思いっきりボカしたい時や高精細な写真が欲しいとき、高感度耐性が欲しいときはフルサイズが有利なものの、それを最大限に生かすレンズは非常に高価。
    潤沢な資金がある人なら別ですが、用途に合ってるならそれを買うべきだと、私は思ってます。
    最近は高いPROレンズ群ばかりのリリースだったので遠退いてましたが、倍率1.25の30mmマクロは久々に欲しいなと思えるレンズです。
    こう言う客層も盛り上げていけば、多少高くてもフラッグシップは売れるかも?

    もし私がm4/3をメインで使ってたら、多少高くても買っちゃうかもなぁ。
    RAWで秒間18連写とか、バッファにもよりますが凄く楽しそうです。

    • アバター画像 武上 より:

      個人的には希望小売価格が24万円だと、PENTAXのフルサイズ機とロクに変わらないので、そこまで高くないと思ってます。というか、思わせて欲しい(爆)

      OLYMPUSは本体価格よりもレンズ価格で価値を創出している所があると思っているので、本体を安くしてレンズで稼いで欲しい、そう思います。
      何しろ、最近の高性能レンズの価格ときたら、10万越えは当たり前なので…。

      何れは買いたいと思ってますが、今は予算組みから考えて先にPCのアップデートが先かな?
      その上で価格が少し熟れたところでE-M1 mkII投入、という感じでしょうか。

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