夜の病院

突然の身体の異変。

早鐘の鼓動

今日も仕事で家についたのは20:00を回っていた。
少なくとも、11月10~11日に行われる、環境ISO、つまりISO 14001の外部審査が終了するまでは、私の業務が軽くなる事はない。
しかも、今はその環境ISOの外部審査の準備よりも前に、先週受けたISO 13485、つまり医療QMSの外部審査で受けた指摘事項に対する是正措置計画を今週中に提出しないといけない。
これらの業務は毎月の事ではないが、これが終わったからと言って安心はできない。
本来なら、月初めは医療機器メーカーとしてのGVP、つまり製造販売後安全管理の調査をしなければならないし、しかも前月のデータ分析もしなければならない。
やることは満載だし、それに対しての救済措置は求めているものの満たされることはない。
ハッキリいって、私一人で処理する業務としては既に手が足りていない。
そういう状況であるにも関わらず、相変わらず上司からは別の業務をねじ込まれる始末。
上司なら、見ていて私が既に限界突破しているという事に気付いてくれと言いたい所だが、実際に直訴しても「でもやるしかない」という答えしか持ち合わせていない上司からしてみれば、この状態が常態なのかもしれない。
…私の本来の業務を後送りにして、目の前の処理を優先しているという事すら、気付いて気付かぬフリをしているのかもしれない。
ま、そんな状況にある私だからかもしれないが、今日、自宅でちょっとした事から突然身体に異常を感じた。
ちょっと身体を動かした際、心臓の鼓動が当然早くなるわけだが、今日は何故かその鼓動が鎮まる事がなく、気がつけば常態と比較して2倍くらいの鼓動を刻み続け、30分経過してもそれが収まらないという状況になった。
最初は安静にしていれば鎮まるだろうと思っていたのだが、5分経っても変わらず、10分だっても収まらず、15分だっても変化がみられず、20分経った頃には息苦しさを覚え、30分経った頃には、この異常事態が通常でない事を感じ、私の手は電話を手にしていた。
動悸息切れ…というヤツなのか?
とにかく自分の身体の中で異常事態宣言を発していたのである。

心臓の専門家

主治医のいる病院が救急病院でもあるため、夜中の10時30分ごろだったが、とにかく電話して受診できるか電話で問い合わせた。
正直、話すのもツライ。
だが、このままで耐え続けても改善するか全くわからない今、とにかく医師に診てもらうしか道がない。
電話したところ、病院側が受け入れてくれた為、早急に病院に行くことにした。
こんな状態なので、車の運転はマズイかな、とも思ったが、手段を選んでいる余裕がなかった事と、一刻を争う状況だった為、即座に車に乗り込んで病院へと向かった。
実は…この時点で私は二つの可能性を考えていた。
一つは不整脈からくる心臓への血液供給の異常。可能性としてはコレが最も高いのではないかと予測していたが、問題はもう一つの可能性。
それは心筋梗塞の一歩手前という事。
こちらだと、イキナリ状況が進行した時、もう手が付けられなくなる…というか、自分一人ではどうにもならない状態になる。
なので、ここは一刻を争う状況と考え、病院へと急いだわけである。夜間の病院は静けさしかない診察を担当する当直医師は、運良く心臓を専門とした医師だった。
医師は聴診器で心臓の音を確認したところ、異音がないので不整脈ではないと判断。
ただ、当然それだけでは判断できないので、心電図を採って調べるという事になった。
心電図を見た医師が、一言。
ちょっと普通じゃない部分があるので、念の為にレントゲンと血液検査をする、というのである。つまり、可能性として心筋梗塞を考える必要がある、との事であった。

結果的に…

レントゲンで胸部のX線写真を撮り、血液検査の為に採血した後、私はとりあえず処置室で点滴を打ちながら待つ事となった。
点滴を打つ事になったのは、後からその理由を知ったのだが、万が一心筋梗塞だった場合、即座に血栓を溶かす薬剤を打つ為の準備だったようだ。
その為、処置室で打っていた点滴は、中身はただのブドウ糖だったようだが、この点滴を打つという行為そのものが、何かの処置が行われているという精神安定になるとの事で、患者に対する配慮らしい。
とりあえず、その後結果が出るまでずっと処置室で血圧を測りながら脈を測り、点滴を打つという状況で待っていた。

検査結果が出た後、医師から診断結果を聞いたところ、最悪の予想としていた一大事という状況だけは避けられたようである。
心電図の異常を考えると、一度は不整脈のような異常が起きていたとは考えられるが、突発的な発作のようで、血液検査の結果でいうと、深刻な状況ではない、との事だった。実際、処置室に入ったあたりから、脈も正常値に落ち着き始めていた事もあり、現状として症状は通常に戻っていた。
ただ、突然今回のような事が起きないとは今後言えないという事もあり、動悸が激しくなった際に処方する薬は出してもらった。
釈然としない部分はあるものの、現状がそういう状況なので、あまりにも動悸が激しくなる事が頻発するようであれば、日中、本格的に医師にかかるように言われた。

とにかく、今日の所は大事に至らずに済んだワケだが、正直、今の私はいろいろな爆弾を抱えている状態なのだろうな、という気がしてきた。
かつて、自分がこんな自分になるなんて想像もしていなかったが、私もとうとうそういう自分になったのか、と痛感した。
そして今日思ったのは、自分の身体で「アレ?」と思ったら、迷わず病院に連絡した方が良いという事。
時は止まらないのだから、手遅れになる前の一手は重要である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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