あれから10年経ってるのか…

攻殻機動隊ARISEの制作が行われるという情報が流れ、攻殻機動隊という作品がまだまだ終りを告げるコンテンツでない事がわかった段階で、私個人としてはそれをとても嬉しく思うワケだが、その攻殻機動隊ARISEの製作発表会が2月12日21時に全世界同時にライブ配信される。
現在、YouTubeには公式チャンネルが登場し、その発表会を今かと待ち構える体制が整っている。これは期待せざるを得ない出来事と言える。
そして、この攻殻機動隊ARISE製作を記念して、2月1日~2月20日の間、攻殻機動隊Stand Alone Complexの全26話が無料公開される。

攻殻機動隊ARISE 公式チャンネル
http://www.youtube.com/user/GITSchannel

攻殻機動隊Stand Alone Complex(以下S.A.C.と略)のこの記念すべき第1話が初めて公開されたのが2002年のスカパー・パーフェクト・チョイス。既に10年という月日が経過しているのに、この作品を今観ても実に新鮮に見えるところが素晴らしい。
人によっては、押井守監督が製作した攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL(以下G.I.S.と略)の方が映像美が素晴らしく内容も良いという人もいるだろうが、私個人としてはこのS.A.C.は攻殻機動隊として最高の出来だと思っている。
そもそも攻殻機動隊というコンテンツは、作られた数だけ世界観があると思った方がよいタイトルではないかと思う。その全てが同じ設定を共有しつつ、世界観と時間軸だけが違う…そういう作品ではないかと思うのである。
実際、S.A.C.は原作やG.I.S.に登場する“人形遣い”が登場しない。原作やG.I.S.ではこの“人形遣い”が世界のキーになっていて、人形遣いとの関係が物語りのコアになっている。
しかしS.A.C.では電脳化した近未来社会における電脳犯罪やそれに纏わる社会的現象を中心に物語が作られていて、その社会の中で渦巻く社会動向と公安9課が戦い続ける話になっている。私としては、こういう刑事ドラマっぽい作り(実際にはそんな生やさしいものではないが…)が良い味を出していて好きな物語となっている。


ま、私が今更こんな事を説明する必要のないぐらい有名な作品ではあるが、残念なのはエヴァほど一般には知れ渡っていないという事である。
エヴァは社会現象になるぐらいの作品になったが、その面白さとしては、私はS.A.C.も同等かそれ以上の面白さなのではないかと思っている。
S.A.C.が一般に向かない部分があるとすれば、それは近未来の電脳化という設定がちょっと分かりづらい部分がある、という事かもしれない。いや、それが最大の問題なのは間違いないだろう。
ただ、実写のハリウッド映画でも近未来の話はあるし、それらの世界設定でも受け入れられるならば、S.A.C.の設定も理解できるだろう。つまり、難しい未来設定も今ならばそんなに高いハードルにはならないのではないかと思う。
しかし、今から10年前ではどうだったか?
エヴァの設定も難しかったが、エヴァはそこまで難しい事を理解しなくても記号化された設定が人々を虜にした。それが特徴あるキャラクターであり、人類が滅亡するかもしれないという死の恐怖であり、宗教的側面をもつ滅亡への畏怖であり…。
しかしS.A.C.はその科学的設定の難しさ、そしてエヴァほど派手な作りではなかった事が問題だったのかもしれない。
ま、エヴァには巨大コンテンツになるだけの要素は沢山ある事は間違いないが、それでもS.A.C.ももっと理解されても良い作品だと思うワケである。

とりあえず、今回の攻殻機動隊ARISEの製作記念として、まだS.A.C.を観たことがないという人がいるならば、ぜひS.A.C.を観て欲しい。
私のBlogに来る人で観ていない人はいないと思うが、それでも見た事がなければ今はチャンスだ。まず26話を観て、面白いと思えば続編のS.A.C. 2nd GIG、そしてS.A.C. Solid State Societyと、観てもらえれば、きっとこのS.A.C.シリーズの面白さがエヴァと肩を並べるものと思えることだろう。

電脳からゴーストが芽生えるのか?
S.A.C.では、タチコマが最後にその片鱗を見せてくれるが、次回作の攻殻機動隊ARISEはそのあたりの答えを出してくれるのだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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