Digi-Fi No.10を購入した

 季刊のステレオオーディオ雑誌であるDigi-Fiという雑誌の第10号が5月28日に発売になった。この雑誌の第7号には、Olasonic製USB DAC付パワーアンプが付録として付いてきたが、今回はOlasonic製USB DAC付ヘッドフォンアンプが付録として付いてきた。
 Olasonicと言えば、つい最近はNANOCOMPOシリーズを発売し、小型でパワーのあるオーディオ機器を発売しているが、今回の付録ヘッドフォンアンプはそのNANOCOMPOと併行開発したものになっていて、お得意のSCDS(スーパー・チャージド・ドライブ・システム)を使用して、2.5WというUSB電力から20Wの電力を瞬間的に得る工夫が盛り込まれている。
 詳しい説明は、下記の開発者インタビューを読んで貰えれば分かる。

Digi-Fi付録制作者インタビュー
http://www.stereosound.co.jp/review/article/2013/05/17/21329.html

 今回、何故私がこの雑誌を購入したかというと、先日も記事にしたstereo誌付録のLXU-OT2との聞き比べの為。
 LXU-OT2はノイズ問題が出ていて、あまり音が良くないという噂が広まったものであるから、別のものでいろいろ比較したい、という気持ちがあった。私が普段から使っているDr.DAC2と聞き比べた結果で言えば、あくまでも私の耳の話でいえば、確かに音は悪い…とは言わないものの良くない、という感じだった。もちろん数万円という価格のものとの比較だから、フェアな比較ではない。
 だからこそ、同じ価格帯に来るであろう今回のDigi-Fi No.10付録ヘッドフォンアンプと比較して、実際の評価はどんなものか? という事を試したかったのである。


 で、実際に聴いてみた。
 使用したヘッドフォンはいつも私が使用しているShureのSRH940で、比較するヘッドフォンアンプはDr.DAC2、LXU-OT2、そしてDigi-Fi No.10付録ヘッドフォンアンプの3種。とりあえず基準とするヘッドフォンアンプは私が常用しているDr.DAC2とする。
 PCと接続するUSBケーブルはオヤイデのd+ class Bの1m品。一応オーディオ用ケーブルである。
 使用した音楽プレーヤーはWINAMPで、それをASIO4ALLドライバで駆動させた。視聴音楽は折戸伸治氏作曲、Lia氏が歌う“Light colors”を選択した。

 Dr.DAC2で視聴する…いつも聞いている構成なのでどう説明して良いか微妙だが、結構フラットな感じでありながらメリハリが随所に効いている感じ。ノイズも少なくクリアな音に聞こえる。
 次にLXU-OT2だが、先日の記事の通りノイズが結構載っているものの、個人的には「聴ける音」という感じ。ただ、Dr.DAC2と比較すると明らかに解像感も足りなければ音の広がりも足りない。こう書くとひたすら悪いという感じに思われるかもしれないが、あくまでも比較対象と比べての話。当然だが、PC内蔵音源から比べれば格段に良いという事は言っておく。
 最後に、Digi-Fi No.10付録ヘッドフォンアンプ(以下Digi-F10と略)を聞いてみる。…まず最初に驚くのはそのボーカルの音圧である。思った以上の…いや、これが3,000円台で購入できる雑誌付録か? と思わせるだけの解像感と迫力を持った音が出てくる。ギターの音がズシリと響き、低音のシッカリした音が出てくる。
 LXU-OT2よりもずっとクリアな音であり、クリアさだけで言えばDr.DAC2並と言えるかもしれない。またUSB給電とは思えないほど音全体にパワーがある。たかだか2.5WのUSB給電とは思えないほどの低音が響くこのパワー感は、明らかにOlasonicお得意のSCDSによるものではないかと思う。
 雑誌付録である事を考えると、音はLXU-OT2もDigi-F10も余り変わらないだろうと思っていたが、ココまで違うと驚きである。個人的にはDigi-F10は1万円台クラスの市販ヘッドフォンアンプと比較しても負けない…いや、それを超えるものではないかと思う。

 もちろん、LXU-OT2をコケにするワケではない。そもそもLXU-OT2とDigi-F10はコンセプトが違う。オーディオである以上、その音の良さという側面は無視はできないが、LXU-OT2はユーザーの手でいろいろテコ入れをして楽しむという方向性があるわけで、Digi-F10はそこまで手を入れて改造するという方向性のものではない。
 だから自分で音作りをしたい人はLXU-OT2で楽しめると思うし、低価格で音の良いヘッドフォンアンプを手軽に欲しいという人はDigi-F10を入手するのが良いと思う。

 もう一度言うが、Digi-F10はその価格に見合わない程の良い音を出すヘッドフォンアンプだと思う。特に低音の力強さはとてもUSB給電とは思えないほどだし、クリアな音を再現する。3,000円台でこれだけのものが手に入る事はまずないと思う。
 もし、今手持ちにヘッドフォンアンプを持っていないという人は、Digi-Fi No.10を購入して付録を手に入れるのも良いかもしれない。ケースは自作でも良いし、雑誌内には専用ケースを購入できるサービスの紹介もある。専用ケースと付録の値段を合わせても6,000円台。かなりお買い得なヘッドフォンアンプだと思う。
 ただ、一つ注意がある。
 このDigi-F10の音量コントロールはオペアンプの機能を利用していてWindowsのボリュームを直接コントロールしている。つまり、このDigi-F10のボリュームを変更するとWindowsのサウンドボリュームそのものが変化する。Windowsのボリュームを最大にして運用している人は、接続時にイキナリ大音量になる可能性があるため、そこだけは注意である。

 個人的にもう一冊Digi-Fi No.10を買いたいと思ってしまうほどの付録だと思っている。
 恐るべきはOlasonicであり、こうなるとNANOCOMPOが非常に気になる製品と言える。
 久々に良い買い物をしたと思っている。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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