ゴーストハンター13 タイルゲーム

ゴーストハンターというコンテンツがある。
古くは『ラプラスの魔』というPC-8801系のゲームから派生しているのだが、いわゆる幽霊退治モノのコンテンツだ。
これが今、ちょっと変わったボードゲーム風となって発売されているらしい。

TRPGってなんぞや?

TRPGという言葉は、このBlogでも今まで何度か説明してきている。
もともと欧米の娯楽でゲームと言えばカードゲームかTRPGが主流だった(言い過ぎかもしれないが)が、日本ではこのTRPGをデジタル化したテレビゲームが大ヒットしてしまい、TRPGをあまり知らないまま、シナリオを進行させていくゲームが流行りだした。
ドラゴンクエストやFinalFantasyはまさしくその系統であり、それを確立したのが堀井氏であり坂口氏であったと言える(坂口氏に関して言いたいことは沢山あるのだが…)。
で、TRPGである。
原点はすべてそこにある。
ゲームマスター(GM)がシナリオを作成し、そのシナリオを役割に応じて演じる(これをロールプレイという)人たちがあつまって、更なる新たな物語を作り込んでいくゲーム…これがTRPGの真意である。
役割に応じて演じる…といっても、何も台本に演じ方まで書いてあるわけではない。行動は自由だ。ゲームマスターはプレイヤーの行動を予測し、あらゆる対応策を予め用意し、物語の幅を広げていく。
そうしてプレイヤー達の辿った軌跡が、TRPGの物語となる。
日本に広まったRPGは、これらを限定的にした上でデジタルに落とし込んだものだ。もちろんオリジナルとなる作品の大部分は欧米にも存在していたが、ここまでの大ヒットにまで押し上げたのは日本メーカーである。

TRPGは日本事情に合わなかったのかも…

TRPGは、GMが考えたシナリオをプレイヤーが演じると言っても、結局かなりの人数が一堂に会して成り立つ。これが日本事情に合わなかったと言える。
学生時代にハマった人は、学校という多人数が集まれる環境を持ちやすかったからハマったと言えるが、一般人はどうだろうか?
かなり難しいといえる。
だから一人で遊べるテレビゲームがヒットしたのかもしれないが、この複数人が一堂に会する、という問題は、今後オンラインという手段をもってすれば解決するかもしれない。既に一部のサービスではそうしたオンラインを利用したTRPGの提供を始めているようだが、認知度は今一つのようである。

ともすれば、他に普及しない理由があるのかもれないワケだが、その理由の一つとなり得るのが、GMの役割となる人が少ないという事かもしれない。
GMは純然たるクリエイターに近い。創作活動をある程度許容できる人でないと、GMになる事が難しい。
用意されたシナリオの上で役割を演じる方が好き、という人の方が圧倒的に多いのは、多分世界共通だろうと思うが、創作活動を許容できる人の絶対数において、日本はそれが少ないからこそ、TRPGの普及は進まなかったのかもしれない。
人を楽しませる事を楽しいと思えなければGMは難しい。これは私の体験談でもある。
そうした、GM不要、あるいはGMの負担を極端に下げる仕組みを持つのが、本題のゴーストハンター13 タイルゲームである。
モンスターコレクションみたいな感じもするが…

それでも一堂に会する必要はある

ゴーストハンター13タイルゲームは、ボードゲームというジャンルに近いと言える。
それでいてTRPGの要素を盛り込んでいるのは、限定的な舞台の中でプレイヤーに目的を与えるという部分に活かされている。
ボードゲームでなくてタイルゲームとしているのは、その限定的な舞台をタイルによって表しているからであって、似たようなゲームをボード上で展開していた作品も過去にはある。
一堂に会してでなければ遊べないが、GMの負担は小さく、また不在でも予めシナリオが用意されていればプレイが可能と言える。
各プレイヤーは自分の分身となるキャラクターを選択するところからゲームは始まるが、ここではシナリオに応じてそれぞれの役割を分担しながら決めていく事になる。これこそTRPGの醍醐味である。
そして、役割が決まったなら、中央のタイル「エントランス」にそれぞれのコマを置き、準備は完了となる。

プレイそのものは視覚化されたTRPG

タイルゲーム≠ボードゲームではあるが、そのプレイは視覚化されたTRPGと言えるように思う。
エントランスに繋がるタイルをめくると、それは一つの部屋を意味している。このゲームは幽霊屋敷の探索がメインであるから、このタイルが一つの部屋を表す事になる。
そのタイルには遊び方となる指示が書いてあり、それに従ってプレイヤーはコマを進めていく。
この部屋に書かれている指示というのが、TRPGで言うところのGMの状況説明であり、一部プレイヤーの行動指針が含まれた内容になっている。
そうしてプレイヤーは自分のターンになると山札からタイルを取り、部屋を繋いでいき、探索範囲を広げていくのである。
部屋タイルには当然危険な部屋もあるわけで、そういったカードの左下にマークが書かれている。そのマークに対応したカードをめくり、そのカード内に書かれている内容をプレイヤーが演じていくことになる。
中でもハートマークは多分この系統のゲームの醍醐味になるのではないかと思うのだが、ハートマークによって開かれるカードは狂気カードとよばれ、精神的ダメージを受ける事になる。この精神的ダメージによってMP(マインドポイント?)が0になると、そのプレイヤーは発狂した事なり、一時離脱状態となる。
他にもイベントカードをめくって部屋内にイベントが起きたり、アイテムカードによって武器を手に入れたりする事もあり、それらの指示は全てタイルに書かれている。
このような行動、すべてカードとタイルによって行われているが、テレビゲームではこれがプログラムによって自動的に処理される事である。
つまり、やっている事そのものは、テレビゲームと何ら変わらず、ゲームの見た目がデジタルであるかアナログであるかの違いでしかないという事がよく分かるのではないかと思う。

一堂に会することが出来れば…

詳しい遊び方やレビューは以下を見るのがよいだろう。

グループSNE公式
http://www.groupsne.co.jp/products/bg/gh13/gh13_index.html
4gamer.net ゴーストハンター13 The Tile Game
http://www.4gamer.net/games/244/G024475/20140115071/

普段、テレビゲームやPCゲーム、或いはスマホなどのSNS系ゲームしかプレイしない人にこそ、こういったゲームを知って欲しいし、プレイしてほしい。
そもそも遊びの本質が異なるのだ。
友達いない…という人は厳しいかもしれないが(爆)、オフ会に集まる人達がいるというのなら、そういう人達とぜひ遊んで欲しい一作である。
本作は勝敗があるゲームであるため、最終的には勝者と敗者が生まれる事にはなるが、ゲーム内ではおそらくそうした勝ち負け以上のやり取りが行われるハズだ。それを楽しいと感じられる仕組みは多数用意されているハズだから、負けても自らの意思を貫き通す事ができれば、絶対に楽しいと感じるハズである。
気になる人は、知り合いに話を持ちかけてみてはどうだろうか?

私はTRPG大好き人間である。
この系統は昔から「電源なしゲーム」と呼ばれているが、電源なしゲームは今の日本人に足りないコミュニケーション力を必要とするゲームであり、一度この面白さに嵌まると自然とコミュニケーション力も身につくのではないかと思う。
「オンラインで人とのコミュニケーションが確立できている=現実のコミュニケーション」とは言えないという事は、ほとんど全ての人が知っている事ではないかと思う。
今本当に必要なのは、現実に即したコミュニケーションであって、そうしたものを利用して遊べてしまう本作は、一見の余地があるように思う。
気になる人は是非プレイしてみて欲しい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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4 Responses

  1. ruser より:

    ボードゲーム化したのかー、懐かしいタイトルですねぇ。
    みんな集まってワイワイやるのが楽しいって事は、携帯ゲーム(モンハンとか)やスマブラの人気が一部証明してるけど、やっぱり物理的に集まる必要があるのがネックですよね。
    あと、欧米と違って面と向かってハッキリ意見を言う事に慣れてない事なんかも広まらない一因になってそう(武上さんの言うとおり、だからこそコミュニケーション能力向上に向いてると思う)。
    コンピューターTRPGの経験がない今の世代の人は受動的になりがちな気がするんで、能動的に何かを発信する人になる練習に良さそう。
    …今はもういないけど、私の会社の新人研修講師は、本気で研修に取り入れようとしてました。
    実際に「人狼」はやったそうです(呼んでくれればひっかき回して混乱させたのにっ!)。
    最近はニコ動でリプレイを公開する人が結構いて、しかも再生数多いことを考えると、やってみたいって人は結構いそうですね。

    …ところで、私もリアルで人と会う時間が作れないにんげんですが、ボードゲームやりたいなぁ…。

    • アバター画像 武上 より:

      人と人とか直接話をしながらゲームをする事も面白さは、予想を超える変化がそこで起きるという意外性と、共闘感を想像以上に得られるという事。
      この面白さを知らないのは、ある意味とても残念であり、もったいない事だと思う。
      さらに言うなら、遊びだけでなく、ビジネスの世界でも想像力は創造力となる事実があるが、その想像力を高めるのにもTRPGは向いていると思う。
      だが、やはり問題はその敷居の高さ。
      ゴーストハンター13TGは、その敷居を少しでも下げる意味で、とても良いシステムではないかと思う。
      ま、場所の問題は相変わらず残るワケだが。

      このタイルゲームがアーカムホラーでなかった事が唯一の救いではないかと思う。あれは戦っても勝てない難易度の高い世界観なので…。上位すぎるw

  2. 関西の人 より:

    ゴッドイーター13に見えた(爆)
    まさかの、ゴルゴ13とのコラボをやってのけたのかとw

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