釈然としない次世代PC

Intelが次の世代のBroadwellを、ソケット版LGAパッケージとして提供する事を発表し、AMDはKaveriに次ぐAPUを開発中という話が出ている。しかし、それら単体ではPCは成り立たない。

消費者が使う事ができるのか?

IntelやAMDからの発表で、次世代PCのコアに関しては情報が比較的潤沢に出てきているが、それらが搭載する機能を使用する事が実際に消費者が利用できるかどうかは、実はこの時点でハッキリとはわからない。
そもそも、Intelが提唱した“Connected standby”(後にInstant Go)はWindows8から利用が可能という話だったが、実際、このInstant Goを可能にしたPCは、私が所有するVAIO Duo 13しか存在しない。
Connected Standby(InstantGo)に対応している唯一のモデル何故かというと、これらの機能を使用するにはIntelのハードウェアだけでは実現できず、MicrosoftのOSだけでは実現できず、また両者を合わせたとしても、対応するデバイスハードウェアとそのドライバが対応していないと使用する事ができないからだ。
SonyのVAIO Duo 13開発陣は、そうした独自に必要な要件を橋渡しし、製品レベルで実現可能にした。これは並ならぬ努力の賜物であり、仕様に合わせて作ったからとりあえず動く、とかいうレベルの話ではないのである。

たったInstant Goだけでも搭載されているはずの機能を利用できるまでに相当な手間がかかっているのが現状だ。
いくらCPUレベルでいろいろな機能を可能にした…といっても、マザーボードベンダーがそれらに対応しないと意味がない。
実際には、CPU/APU、チップセット、デバイスコントローラー、デバイスドライバ、(統括的に)マザーボード、これらのものが足並みを揃えないと実現は難しいのである。

最近、こうした新機能実装の足並みが揃っていない事をよく見かける。
前述のInstant Goもそうだが、モニタの4Kにしても、製品はあるのにOS側やビデオカード側の問題で上手く使えないという事態が発生している。
これらの機能は消費者が使用するために開発されているのにもかかわらず、最終製品で利用する事ができないという、実に本末転倒な事態が今起きている。

4Kモニター利用の実態

私も欲しいと思っている高解像度モニター、いわゆる4Kモニターだが、これが実に不具合が多いという話を聞く。
どういう事かというと、何故か4K解像度として認識するのに再起動後に解像度がリセットされていて、4K解像度に起動時毎に合わせ直さなければならない事態になるようだ。
これは、どうもWindowsレベルの話のようで、100ppi以上のモニターを基本的に考慮していないようだ。
もっとも、全ての理由がそこにあるワケではなく、Windows8のモニタの扱いそのものに問題があるような話もある。というのは、モニターの電源を切るという行為そのものを、モニターを物理的に切断した、と認識しているようで、接続毎にそのモニターを再認識するという仕組み事態がこの悪さをしている、という話もある。
例えばデュアルモニターで使っている場合、メインモニターの電源を切るとセカンダリモニターの解像度に合わせるのだが、再びメインモニターの電源を入れても、前の解像度に戻ることはない。新たに接続したモニターとして認識するケースがあるのだろう。
ただ、これは全ての環境で言える事でもなさそうだ。だから困るのだ。
それにノートPCでも一部高解像度モデル等があるが、それらはメーカーが細かな対応をして出荷しているため、問題は出ていないようだ。当たり前かもしれないが、メーカーが全てのハードウェアをコントロール下に置ける場合は、問題は起きる事はほとんどない。
だが、モニターだけ外付けで使用する場合、つまりDellから発売された格安4Kモニターなどは元々のPCとDellのモニターとの間に因果関係はないため、汎用的な接続方法で対処するしかない。そこで問題が発生するというのである。

また、この4Kモニターのハードウェアにも実は問題がまだある。
今現在、画面のリフレッシュ(書き換え)を60Hzで行うコントローラーチップは4Kという解像度を一手に賄う事ができないらしい。つまり、4Kモニターは2個のコントローラーチップを並列処理して動作させているようで、横に1920×2160ドットの縦型パネルを2枚並べているような状態で動作している。この2個のコントローラーチップの仕様を逆手に取って、右画面と左画面で別々のデバイスからの表示を可能とする、なんて付加機能を持たせたモニターもあるが、この機能は2個のコントローラーチップが存在するから容易に付加する事ができた機能である。
だが、2個のコントローラーを60Hzという同期を取りながら動作させるのは、思いの外難しかったりする。4Kモニターが爆発的に増えないのは、価格的な問題が主だが、その価格をつり上げているのはパネルだけの問題ではない、という事だ。
ちなみに、このリフレッシュレートをコントロールするチップは、2014年に新型が投入され、1チップで4Kモニターの60Hzを可能にするものが登場する、と言われている。
4Kモニターは2014年の後半以降にならないと、本当の意味で真価を発揮できないのかもしれない。

Windows8.1 Update1

今年の4月~5月に、Windows8.1のメジャーアップデートが配信されると言われているが、これ、実はメジャーアップデートというよりは大型バグフィックスみたいなものらしい。
ところが、新しいハードウェアへの対応というのも、その内容の一つのようで、いくつかのカーネルの新しくなるようだ。
この内容が正式にどんなものかは解らない為、予測でしかないのだが、この段階で4Kモニターへの対応をより進めていくのではないかと予測する。
モニター解像度が反映しないというのはバグだろうし、接続したモニターの電源を切るという動作が「物理的に切断」という扱いになる事への変更は、ひょっとしたらカーネルレベルの対応となるかもしれない。
また、実はこれが一番大きな問題なのだが、DisplayPortの対応が全く駄目だという事に関しても、ドライバレベルで改善される可能性がある。というか、おそらくこれが改善されれば、モニタ関連のほとんどの問題は解決してしまうのかもしれないが。
とりあえず、Windows8.1を入れている人はアップデート自体はすぐにでもやってしまった方がいいだろう。メジャーアップデートという割には、Windows8.2になる事もないアップデートである。私は思いきって踏み込んでみようと思っている。

…ただ、Windows8.1 Update1、と言われているが、すぐ翌年にはWindows9が登場するワケで、Update2というものが来るのだろうか?
そもそも、短期間でのOSメジャーアップデートである事を考えると、Windows8.1 Update1とWindows9のシステム上の違いは、どこまでになるのか…。
この辺り、MicrosoftがAppleを見習った結果らしいが、まだまだその内容には差異があるのではないだろうか。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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